見出し画像

著…コリン・ソールター 監修…布施英利 翻訳…小林もり子『解剖学者全史 学者とその書物でたどる5千年の歴史』

 「解剖学」の中でも、特に「解剖学者」の人物像に注目して書かれた本。

 珍しい視点ですよね。

 かなり分厚めの本ですが、人体の様々な部位に関する古今東西の研究の移り変わりを知ることができて興味深い一冊です。


 ⭐️単行本版


 現存する最古の解剖学の記録自体は、約3600年前のエジプトのパピルスだが、その中には5000年前にさかのぼる、それ以前の記録の写しも含まれている。そのうちのあるものは、頭部外傷を含むさまざまなけがの手当てについての軍用の手引き書だったらしい。

(著…コリン・ソールター 監修…布施英利 翻訳…小林もり子『解剖学者全史 学者とその書物でたどる5千年の歴史』P16から引用)


 という記述を読み、わたしは頭がくらくらしました。

 しかもそこには、

 頭蓋の損傷が身体の他の部分に与える影響についての記述がある。

(著…コリン・ソールター 監修…布施英利 翻訳…小林もり子『解剖学者全史 学者とその書物でたどる5千年の歴史』P16から引用)


 と書かれていて、更に驚きました。

 そんな大昔から人類は脳のしくみに関心を持っていたのですね。

 さて、人が人の体について深く知りたいと思うのは当然のことかと思います。

 が、実際に「脳はどんな形なのか?」「どこにどんな並びで内臓が入っているのか?」といったことを調べるためには、やはり人の体を切り刻んで、中を覗いてみることになりますよね…。

 宗教的にも、倫理的にも、全く問題が無いとは言えません。

 そんな中で、解剖学者たちが解剖を行い、記録をとり、それに伴って医学が発展してきたことが、この本を読むと伝わってきます。

 内臓、筋肉、骨を描いた大昔の絵を見ると、よく特徴を捉えていて驚かされます。

 すごい…。

 わたしが特に興味を惹かれたのは、レオナルド・ダ・ヴィンチによる子宮内の胎児の素描(P87掲載)。

 胎児が体を丸める姿や、臍の緒もリアル。

 数百年も前の人なのに、こんなにも詳細な図を描けるなんて…。

 他にもダ・ヴィンチは素描をいくつも残しています。

 その知的好奇心や探究心が非常に魅力的です。



 〈こういう方におすすめ〉
 「解剖学者」に関心がある方。

 〈読書所要時間の目安〉
 合計7時間くらい。

いいなと思ったら応援しよう!

G-dark/本好きの頭の中
いつもスキ・フォロー・コメント・サポートをありがとうございます😄 とても嬉しくて、記事投稿の励みになっています✨ 皆さまから頂いた貴重なサポートは、本の購入費用に充てさせていただいています📖

この記事が参加している募集