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著…アリソン・マシューズ・デーヴィッド 訳…安部恵子『死を招くファッション 服飾とテクノロジーの危険な関係』

 人体に害をもたらした世界中のファッションの歴史をまとめた本。


 本来なら体を美しく飾るだけでなく保護するための衣服や化粧によって、怪我をしたり亡くなった事例が幾つも載っています。

 ●コルセットをきつく締め過ぎて内臓を損傷して死んだ人

 ●合わない靴を履いて足が変形してしまった人

 ●厚底靴で歩いていて転倒し頭蓋骨を骨折した人

 ●ふわふわしたスカートに火がついて重篤な火傷を負った人

 ●水銀を含む帽子を作り続けて死んだ人

 ●大量の鉛入りの化粧品を使い続けて体が麻痺した人

 ●汚染された衣類を介して感染症にかかった人

 ●鮮やかな緑色にするためヒ素を使った髪飾りやドレスを身につけて死んだ人

 ●睫毛と眉を染めようとして失明した人

 ●画期的な生地として発売されたアスベストの服を着て肺を病んだ人

 …こうした事例のあまりの恐ろしさに、わたしはゾッとしました。

 「けれども問題はおおむね持ち越されており、さらにまったく新しい問題も生じているのが実情だ」
(P204から引用)


 と著者が指摘している通り、こうした死を招くファッションは決して過去のものではありません。

 現在流行しているファッションだって、危険な要素を孕んでいます。

 世の中には「お洒落は我慢」なんて言葉がありますが、この本を読んでいると健康と安全の大切さに気付かされます。

 勿論、見た目だって大事ですが…、一見美しく見えるそれは、実は死をもたらす禍々しいものかもしれません…。

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