見出し画像

2024年に私がハマった人たち

私は周期的に特定の人物にハマる傾向があり、いったんハマりだすとその人の著作やらSNSやらを徘徊し、ある種無害なストーカー化します。

てぇことで、今年私が追いかけていた人たちを、時系列で振り返ってみました。

花房観音さん(小説家)

お名前を知るきっかけとなったのは、ノンフィクションライター中村淳彦さんの音声配信。

この配信で、花房さんの話がとても面白かったので、著作を読んでみようという気になり、まずはこちらの本を読んでみました。

私は女性のどろどろした闇の部分を描いたストーリーが好きで、特に人の美醜を取り扱った小説に惹かれるのですが、本書はまさにそれ。

本書はおもに女性同士の嫉妬を中心に描かれていましたが、同性か異性にかかわらず、人間て世界のあちこちでずーっと自他を比較してマウンティングをやりつづけている生き物だな、なんて思ってしまいました。

少し間をおいて、こちらも読みました。やっぱり美醜の話が出てきます。

主人公鶴野圭子の生きざまと裏日本という独特の土地柄をうまくリンクさせているのが印象に残りました。本書で私が一番惹かれたのは、圭子が逃亡先で出会うストリッパーのレイラ。それがきっかけで、実際にストリップを観に行ったりもして、「読んだことが行動につながった」1冊でした。

ちょっと脱線。「女性のどろどろとした闇の部分」を描いた小説だと、少し前の作品ですがギリアン・フリンのこれも良いです。

デヴィッド・フィンチャー監督で映画化もされています。なかなか原作に近い描写で好きでした。

肉乃小路ニクヨさん(経済愛好家、コラムニスト、ニューレディ)

今年前半は仕事のできない同僚に振り回され、精神的にも参っている日々が続きました。

どうやったらこの悩みを解決できるかと、5月の連休後半にYouTubeを徘徊していた時に出合ったのが、肉乃小路ニクヨさんのお悩み相談。一度聞いたら忘れられない、お名前の破壊力。

結局、私の同僚に関する悩みは、ニクヨさんの動画では解決されませんでしたが、このお悩み相談シリーズで語られるニクヨさんのお金や投資に関する考え方に共感し、ストーキングを開始。

まずはこちらのご著書を拝読。同書の発売記念イベントにもオンラインで参加し、アクスタも入手いたしました。(アクリルスタンドのことをアクスタと呼ぶことを、この時に知った。)

ちなみに、Audibleは本日時点では聴き放題対象です。ご本人の朗読なので、可能であればこちらも読んでいただきたい。

内容は至極まっとう。特に、自分を株式会社に見立ててお金をやりくりしていくという考え方は、木下斉さんに通じるところがあったので、木下ファミリーの皆さんにも共感ポイントの高い1冊かもしれません。いつかお二人で対談してほしいなと勝手に思っています。

新刊も出ていますが、追い付けておりません…。

翻訳界隈のみなさまには、鴻巣友季子さんとの対談動画がおすすめ。鴻巣さんが翻訳家になったきっかけなどもお話しされています。ていうかこの対談の組み合わせを思いついた担当者、センス抜群ですね。

前編

後編

ニクヨさんは有吉佐和子ファンのようで、よく著作を紹介されています。「推しの推しは推し」ということで、今年私も有吉佐和子の「仮縫」と「悪女について」を読みました。

といいつつ、私はニクヨさんのファンになる以前から、有吉佐和子はマークしておりました。だって、有吉佐和子は文楽の三味線弾きを主人公にしたこんな小説を書いているんですもの。

私は旧版で読んだのですが、この復刊版は解説を酒井順子さんが書いているようなので、買いなおそうかと思ってるぐらいです。

有吉佐和子の小説は映画化されているものも多く、数年前ですが「紀ノ川」と「花岡青洲の妻」を観ました。逆境の中でしたたかに生きる女性を題材にした作品が多く、これまた私が好きなテーマ。

タイムリーなことに、今月はNHKの「100分de名著」でも有吉佐和子が取り上げられていました。

彬子女王殿下

今年の夏に大阪へ文楽を観に行ったときに、なんばの髙島屋に入っている丸善で平積みになっていて気になったのが、この彬子女王殿下の留学記。

その時には購入に至らなかったのですが、後日Audibleの聴き放題対象に入っていることを知り、読んでみることにしました。

そしたらまあこれが良かった。想像に反して全く気取ったところがなく、留学中の失敗談も要所要所に織り交ぜつつ、本音で、等身大で書いている。全くレベチではあるものの自分の留学経験と重ね合わせつつ、留学初期の英語が聴き取れないもどかしさとか、うまく伝えられない歯がゆさとか、あーわかる、そうそう、と辛かった当時の思い出がよみがえってくるような感覚に陥りました。

でね、殿下の研究テーマが日本美術なのですよ(厳密には特定の時代の日本美術)。私も日本の文化芸術全般に興味があるので、さらに親近感がわきました。

そして偶然にも、本書を読み終わった直後の11月のはじめにNHKカルチャー主催で、彬子女王殿下の特別講演があったのです。これはなにかのご縁かもと思い、即申し込み。

講演時に言及されていた、日本の伝統文化を後世に伝えていく「心游舎しんゆうしゃ」という団体での活動内容にも、深く共感しました。私も常々、日本の文化を世界に広めることに関する仕事がしてみたいと思っているので。

「赤と青のガウン」を読み終わった後は、こちらも拝読。

京都愛の感じられる1冊で、ガイドブックみたいな読み方もできると思います。本書に書かれている京都の様々な場所を訪れてみるのも、楽しそうです。

そしてどうやら最近、殿下の新刊が出たようなのですよ。

これまた私の好物であろうこと間違いなしの、日本の美というテーマを扱っています。これは紙の本で買って大事に読もうと思っています。

そうそう、イギリス留学記といえば、鴻上尚史さんのこちらもおすすめです。文庫版が絶版のようなので、Kindleのリンクを載せておきます。

三宅香帆さん(文芸評論家)

三宅香帆さんにハマったきっかけは、もちろんこの本。

読んだ後、こちらの投稿で本書について軽く触れました。

で、その後も三宅さんの動向を静かにウォッチしていたのですが、最近また別の著作を読んでストーキングを本格化させました。

noteを始めてから、映画や本の感想に特化した記事を投稿したいと思いつつ、なかなかできていない。どうやったら本や映画の良さをうまく伝えられるか、ずっと考えていたのですが、三宅さんがこの本でしっかり解説してくださっております。

とにかく感想文を書くためのコツが盛りだくさんなので、本書の通りステップを踏めば、面白いと思ってもらえる感想文が書けそうです。

三宅さんは各種媒体で発信されているので、フォローのしがいがあります。

X

note

先月よりマガジンの購読を開始。

YouTube

最近だとこちらの動画がお気に入りです。三宅さんの本への愛がさく裂している回。動画内で紹介されている福井の本屋さんにも行ってみたくなりました。

あと、ご本人のYouTubeチャンネルではないのですが、こちらの動画も面白かった。三宅さんが書店で書籍1万円分を買うところをひたすら眺める。

ちなみにこの出版区の1万円選書のシリーズは、他の方々の回も面白いので、本好きには是非観ていただきたいチャンネルです。ニクヨさんも登場します。

Podcast

こちらのポッドキャストは、ライターの谷頭和希さんとの対談形式で、読みたい本のアイデアを出し合いつつ、日常のあれやこれやを雑談する番組。テンポよく会話が進むので、聴いていて飽きないです。

三宅さんはInstagramやFacebookのアカウントもお持ちのようなので、ご興味あるかたはフォローしてみてください。ただ、三宅さんのSNSをフォローしていると、読みたい本がどんどん増えていくのである意味危険です。


こうして「2024年の推し」を振り返ってみると、自分自身の主義や思想が丸見えな気がしてきました。若干のフェミニストっぽさを感じなくもないです。自覚症状はほとんどないのですが、その素養はあるかもしれない。

「推し」というのは自分の鏡のような存在で、「推し」を分析することが自分自身をより深く知るきっかけにもなるような気がします。

いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集