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幸福な生活

幸福な生活 
百田尚樹
648円+税
337ページ

読む速さ ★★★★☆
満足度 ★★★★☆
立ち読みオススメ度 ★★★☆☆

主人公の私と妻の孝子は、娘の蓉子の帰りを待っていた。今日は蓉子が初めて恋人を我が家に連れてくる、とのことで2人はそわそわしていた。娘を待っている間、2人は今までの人生を振り返りながら、幸せを噛み締めていたのだが‥。

「永遠の0」「海賊と呼ばれた男」などで知られる百田尚樹さんの短編集。冒頭であらすじを一部紹介した表題作に加え、「母の記憶」「夜の訪問者」などの計19編が収録されている。

この本の1番の特徴としては、全ての話がラスト1行でのどんでん返しがある、ということだろう。本の構造としても、各編の最後のページをめくったら、ラスト1行のみが書かれた状態で終わる、というようになっている。話をピックアップして読む場合は、うっかり前話のオチを読んでしまわないように注意したい。

とりあえず一編だけ読むつもりが、次の話はどんな終わり方をするのか、興味の赴くまま読み進めていくうちに、気づいたら読み終わってしまった、といった体験をすることができる。

オチを知ったあとに読み返すと、短い話の中に精密に伏線が張られていることに気づくだろう。2回目に読むと違った視点から楽しむことができるので、一冊で二度美味しい作品である。

コメディティストのものから、サスペンス調のものまでかなり幅広い内容である。読み始めと読み終わった後では全然印象が違うこともあり、ジャンル分けの難しい話が多い。

いずれの話も10〜20ページ程度の長さであるため、立ち読みで読むことは十分に可能である。話のテンポも良いので非常に読みやすい。

全てがひっくり返るような驚きを味わいたい人、スリルを求める人、百田尚樹さんが好きな人は手に取ってほしい一冊。


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