在野研究一歩前(35)「学究メモ:震災と活字③」
今回は「雑メモ:震災と活字③」ということで、友人たちとの間の「本好き談義」で取り上げられた「震災後文学」について纏めていきたいと思う。
紹介例:著者名『書籍名』(出版者、刊行年度):未読or読書中or読了、リンク先(※時に本文から引用や簡単な感想)
○「震災後文学」篇(「詩歌句」も含む)
●川上弘美『神様2011』(講談社、2011)⇒読了
⇒川上弘美の1993年のデビュー作「神様」と、東日本大震災後に改稿した「神様2011」を収録した書籍。
●角川春樹『白い戦場―震災句集』(文學の森、2011)⇒未読
●俵万智『あれから 俵万智3・11歌集』(今人舎、2012)⇒読了
●黒川創『いつか、この世界で起こっていたこと』(新潮社、2012)⇒読了
●谷川健一、玉田尊英『東日本大震災詩歌集 悲しみの海』(冨山房インターナショナル、2012)⇒未読
●いとうせいこう『想像ラジオ』(河出書房新社、2013)⇒読了
●柳美里『JR上野駅公園口』(河出書房新社、2014)⇒未読
●木村友祐『聖地Cs』(新潮社、2014)⇒読了
⇒原発事故による居住制限区域内で被曝した牛を飼育し続ける牧場で、東京から来たボランティアの女性が感じたことを描く。
●和合亮一『昨日ヨリモ優シクナリタイ』(徳間書店、2016)⇒読了
●黒川創『岩場の上から』(新潮社、2017)⇒読了
⇒かつて、拙者(本ノ猪)が小さく開催する読書会において、本書を取り上げたことがある(⇒読書会ブログ(本好きのぬたば))。
●和合亮一『続・和合亮一詩集』(思潮社、2018)⇒読了
⇒「予測不可能なハプニングが生じた所に積極的なベクトルが見えた事実。やがて新しい方法を見出すことの出来る可能性のあるものとして、そこに着目し始めてから、内容も発想も様々に変容を遂げ、現在に到る」(P139)。 この文章には、和合さんが東日本大震災などの災害と如何に向き合ってきたのか、という姿勢が感じられるとともに、自分の生き方の指針を定める上でのヒントも含まれていた。
*
今回、友人たちとの談義を通じて、「震災」関連書籍について考えていく中で、新しく気付けた点が幾つかありました。そこには、「自分があまりにも「震災」関連書籍に触れてなさすぎる……」という後悔と、「やはり本好きの友人たちは種々の書籍にふれているなー」という羨望の眼差しが含まれていますが、何よりも発見であったのは「私たちには、いつでも「震災」について考える方法として、「書籍」が身近にある」ということでした。私はこのことをきちんと心に留めて、今後も読書を続けていきたいと思っています。
今回の纏めは、あくまで友人たちとの「本好き談義」が話題となった書籍を取り上げているため、全体として「この書籍が取り上げられていない」という意見も多々あるかと思います。今後も、「震災」関連書籍として読むべきものを発見した際には、本記事の方に追記していきたく思います。
以上で、「雑メモ:震災と活字」を終ります。お読み頂きありがとうございました。