長距離深夜バス
子の刻だというのに
新宿バスタは
若い人で溢れている。
ヘソ出しの女の子、
冷房の効いた
バスの中ではきっと寒い。
満員の待合室で
ようやく席が空き、
ボクは座り込んだ。
隣はインド系の夫婦か?
しきりに自分たちの
バスの時間を気にしている。
ボクが話しかけると
チケットを見せてくれる。
「ここのゲートでOK!
あと40分でバスに乗れるよ」
笑顔で「Thank you」、
「You’re welcome」。
「どこから来たの?」
「ネパール」
「大阪に行くんでしょ」
「友だちがいるんです」
「ネパールの人?」
「はい、そうです」
彼らは出発していった。
そしてボクの番。
富山、金沢に行くバス。
深夜の高速バス。
乗り込むと隣は
綺麗な女性じゃなかった。
太ったむさ苦しい男性。
いきなりカーテンを被り、
誰かと携帯で話す。
話し終えたと思ったら爆睡。
大きないびきをかき始めた。
ああ、眠れない夜の始まり。
オフコース「眠れぬ夜」が鳴る。