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違う人の違う感情、思想を同時に表現。オペラだからこそできる2~6重奏_大野和士さん_2018年1月21日
新国立劇場で、来シーズンからオペラの芸術監督になる指揮者、大野和士さんのお話を聞いて来ました。
「2018/2019シーズン」のラインアップの概要から抱負や意気込み、見どころ聴きどころをご案内いただいた中で、小説をオペラ化するときのお話がとても心に残り、現在進行形で作曲している西村 朗さんの言葉に感動しました。
石川淳の小説「紫苑物語」を基にしたオペラをラインアップに加えるにあたり、大野さんは、「2~6重奏はオペラだからこそできること。違う人の違う感情、思想を同時に表現できる、立体的な芸術」だと言い、作品を選ぶにあたり「その可能性を探っていった」そうです。
作曲家と台本作家との気が遠くなるほどのぶつかりあい、綿密なやりとりを経てオペラはできあがります。
西村さんは、トークイベントの1時間ほど前まで「紫苑物語」の作曲をしていたそうで、「作品の登場人物に入り込んでいる」ので、「作曲で苦しんでいる最中に人前に出るのはつらい」とおっしゃっていました。
他にも、印象的だったコメントを3つほど。
<印象的だった西村 朗さんのコメント>
・「紫苑物語」は比較的短い小説で、読み返すたびに多面的な意味が出てくる。
・この物語は何を言わんとしているのか、その本質を作曲家と台本作家がコンセンサスとして共有しなければならない。
・台本は原作に忠実に進み、大きく逸脱していないが、テーマは、われわれが原作から行き着いた、掴み取ったものだ。
誰もが、西村さんほどの作曲家なら素晴らしい曲ができると知っているのですが、公演日が決定してチケットも発売されている状態で、現在進行形で創作しながら人前で話すのは、いくら著名作曲家の方でも大変なことだと感じました。
この頃ちょうど私はチェーホフの「桜の園」の小説化に取り組み始めた頃だったので、個人的な理由から、上の言葉を今このタイミングで聞けた幸運に震えていました。
また、現代だからこそ見ることのできる斬新で豪華な演出についてのお話や、新作と1年ごと交互に演奏する「バロックオペラ」のお話も、何度も聴きたいほど魅力的でした。
日本にはバロックオペラの潜在的なファンが多く、CDの売上は全ヨーロッパよりも日本1国のほうが多いのだそうです。
内容はもちろんのこと、大野さんの話し方や表現が、ずっと聴いていたくなるほど魅力的でした。
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