北口大輔さんによる「バッハ:無伴奏チェロ組曲の秘密を探る」_2022年12月14日
日本センチュリー交響楽団首席チェロ奏者であり、パシフィックフィルハーモニア東京(PPT)の客演ソロ首席チェロ奏者。北口大輔さんによる講座「バッハ:無伴奏チェロ組曲の秘密を探る!」を聴きました。
開催地は大阪の中之島だったので、私はリモート受講。
チェリストにとっての旧約聖書とも言われているJ.S.バッハの「無伴奏チェロ組曲」について、それが作曲された背景をJ.S.バッハの生い立ちとともに辿り、組曲の成り立ちと各曲の特徴、さらに踏み込んだ楽譜の構造などについて、実演を交えて教えていただきました。
という基礎から話していただけたので、楽譜がほとんど読めない私にとって、ものすごくわかりやすかった。何より演奏しながら教えていただけたので、後半の楽譜の構造や「版」、チェロの指使いや弾き方について触れたときも話がすんなりと頭に入ってきました。
有料コンテンツなので詳しくは書けないのですが、J.S.バッハの楽譜の解釈や出典、まつわる数字について教わると、とてもミステリアスでわくわくします!
楽譜がこんなに立体的で美しい構造をしているとは思ってもみませんでしたし、まさかオーケストラの中から見るとこんなにも遊び心のある構造になっているなんて知りませんでした。
音を維持したまま「7章節ごとにボウイング(弓の動かし方)を変えて、こっそり楽しんでいる」というコメントを聞いたとき、私も大きく頷きました。
同じレベルでお話するのは申し訳ないのですが、私も文章を書く時に、オファーいただいた文字数ピッタリに収めては密かにニヤニヤしているのです。
たとえば「4800~5200文字で」と言われて、内容を妥協せず5200文字ピッタリで収めては喜んでいるという具合です。
小説でいえば、京極夏彦さんの作品に「見開きや1ページの終わりで必ず文章を終える」というルールが徹底されていることは、よく知られる話でしょう。私も一時期真似してみたのですが、これは難しくてトライすればするほどに畏怖にも似た敬意が生まれたものです。
今回の講座は笑えるエピソードも聴けたので、こんなふうに自分の経験とも重ねてイメージすることができました。
何より、仕事柄人に説明することが多いわりに、いつになってもたどたどしいという課題を抱えている私にとって、北口さんの1秒も無駄のない構成はもちろん、聞き取りやすい話し方も大変勉強になりました。
さらに「質疑応答」というアドリブの時間を入れているにもかかわらず、時間ピッタリに終了したことにも震えました。
(あ、ここはカブれて「アドリブ」ではなく「カデンツァ」と言ってしまおう)
J.S.バッハを象徴する数字のひとつである「14」。2022年12月14日にこの講座を聴けたことにも、何だか必然を感じてわくわくしました!
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