使える!読書推進運動実践事例

1 はじめに



本を読んでほしい。
読書の価値や魅力を知っている保護者や教育者であれば,多くの手立てを打つと思います。
しかし,誘惑にあふれた日常でなかなか本を手に取る習慣を身に着けるのは難しいですよね。
今回は,学校でできるやってよかった取り組みを,紹介したいと思います。
少しずるいものもありますが(外発的動機付けに頼っている)本を手に取らせる,図書室へ足を運ばせる必殺技ということで自分を納得させています。
効果は絶大ですので,取捨選択して読書推進活動に取り入れていただければと思います。



2 本を手に取る取り組み① 本の紹介



本の紹介。
これは外せませんね。
目に見える大きな成果は期待しにくいかもしれませんが,全校生徒の一人でも,気になって手に取ってくれる生徒がいるならば成功ぐらいのつもりでやっています。
ただ,アプローチの仕方で反応が違うのも実感します。
紹介と一口に言っても

・同級生がよく読んでいる本
・読書好きの人が読んでいる本
・先生おすすめの本
・先生が子どもの時に読んでいた本

など,さまざまな視点があります。
大切なのは,どんなふうに紹介するか,ということと誰が紹介するかということもかなり大きなポイントです。
本を読みそうにないけど,影響力のある子ども,いますよね。
本を手に取るきっかけを作ってあげたり,好きな本を訪ねてみましょう。
その本を紹介する許可を取れたらしめたものです。
目立つように写真とともに掲示しましょう。

掲示方法も,目を引かなければ意味がありませんよね。
おすすめは,

子どもと本を一緒に撮る

そして

写真に動きが見える

ものです。

例えば,

本を読みそうにない野球少年が愛読している本があれば,

ピッチングの格好で本を突き出した写真を撮る

タイトルに合わせた写真を撮る

本屋大賞を受賞した「鏡の孤城」を紹介した子どもは,鏡越しに前髪を整えながら本の表紙を見えるようにして写真撮影をしました。
そこに,子どもが書いた紹介文を添えます。

このように,子どもの目を引く工夫をしなければなりません。
読書時間やページ数を記録させて,トップ5人の月間読書ページ数や本のタイトルを大きく掲示したこともありますが,廊下に掲示すればよく眺めています。
その横には,私の今月のおすすめ図書を掲示もしていました。
注意をしなければならないのは,読書活動は個人的な側面が大変大きく,プライバシーに配慮しなければならないことです。

必ず,掲示したり通信に載せたりする場合には,本人に確認を取りましょう。
子どもたちはナイーブです。
良かれと思って傷つけたり,周りからからかわれたりすることがないように最大限の配慮が必要です。



3 本を手に取る取り組み② 図書室に行かなくても本が借りれるシステム



本を読まない生徒に焦点を当てた活動です。
その名も,
図書の宅急便
デリバリー図書

などいろんな名前を付けました。
生徒がイメージできやすいと良いですね。

紹介の時も生徒に工夫をさせましょう。
普通に声掛けしても面白くないですよね。
「Amazonよりも早く届けます」
などのユーモアが子どもと一緒に考える中で出てくると盛り上がります。

具体的な活動内容は,図書室に行かなくても廊下や教室においてある紙に名前と借りたい本のタイトルを書けば、図書委員が代わりに本を借りて届けてくれるシステムです。

これの良いところは,人気の本のリストを掲示しておけば,朝読書などで本を持ってきていない生子どもに,声掛けがしやすいことです。
昼休みなどに図書室ではなく外で遊びたい子どもも,紙に書くぐらいなら取り組みやすいです。

ポイントは,
返すの自分で行く
ことです。

期限が来れば返さなければなりません。
なんでもしてあげるサービスではなく,返すのは自分で行うことで,図書室に足を運ぶきっかけ作りにもなります。



4 本を手に取る取り組み ③魅惑のスタンプラリー



これはかなり効果が高いです。
スタンプをもらえるというシステムは小学生には絶大な人気があります。
なかには,スタンプがもらいたいがために大量に借りて,ほとんど読まずに返す子もいます。
そんな時は,無理につめたりせずに優しく本の内容について語る機会を作りましょう。
少しでも読んで本の中身について話ができたり,おもしろかったという感想が出てくると嬉しいものです。
しかし,中学生くらいになると,スタンプでは満足しません。
欲求に応えてやりましょう。
景品です。
これは賛否両論あるかもしれませんが,何も手立てを講じなければ,一年間で一冊も本を読まない生徒はざらにいます。
本を読むきっかけ作りとして許してもよいのではと個人的に思います。
ただ,景品につられてやってくる生徒は,本を読む習慣が身についていません。
話をしながら,どんなものに興味があるのか,どんなアニメが好きなのか,読書レベルに合わせて読みやすい本などを提示できると,読書の魅力に気づくかもしれません。
それは,子どもの一生にかかわる問題かもしれませんので,ぜひツボをつかめるようになりたいですね。
取り組みを通して,外発的動機付けから内発的動機づけへと変化すると信じています。
ただし,スタンプラリーに景品を取り入れる注意点としては,会計からお金を落とすのはふさわしくないことです。
本の掲示用に道具を買うのとはわけが違います。
一部の生徒の欲求を満たすために教育内容や授業にかかわらないものにお金をかけることはできません。
例えば先生方に協力を募って.

回転ずしの景品など,もらってきてもらう
使わないノートや小物入れなどをもらう
保護者に景品なりそうなものの寄付を募る
出版社等に聞いてみる

など小さなことでも結構集まるものです。
子どもが喜ぶものがあると喜びも倍増ですね。



5 おわりに



本を手に取ってもらいたい
という明確な思いがあれば,たくさんの情報収集と実践が積み重なっていきます。
一人で無理しないこと
管理職に相談しながら進めること

で,客観性や妥当性を鑑みて取り組みましょう。
子どもは楽しいことや嬉しいことに熱心になります。
プライバシーに配慮しながら,ゲームばかりではなく本を手に取る仕組みを作り上げましょう。
みなさまの実践も教えてください!

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