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製造業でよく使う「治具(じぐ)」ってご存じですか?毎日のものづくりを支える縁の下の力持ち。

こんにちは、製造部の松田です。

製造業では「治具(じぐ)」なるものをよく使います。
業界のご経験がない方は馴染みがない言葉かもしれません。

毎日の業務=ものづくりにおいては、
表立って治具をどうこうするわけではないですが、

極端な話、治具が仮に存在しなかったとすると
ほぼ全ての製造業は成り立たないとも言えます

それに、皆さんも家具などをご自身で補修する場合、
知らずのうちに治具または同様の概念を使っているはずです。

今回は、治具を通じて製造業の内側をチラ見せ致します。




治具とは、位置を決め固定させるもの

製造業では同じ規格=サイズ・形状のものを
何百、何千と加工し生み出すことになるため、

決まった位置&決まった場所で
加工ができることが不可欠です。

ドアノブの高さがドア1枚1枚違っては困りますし、
そもそもドアが玄関よりも大きすぎor小さすぎでは
家がそもそも成り立たない、というイメージです。

治具とは、加工物の位置を正確にする道具のこと
製造業において欠かせないものと言えます。

治具の種類【基礎】使い方と事例、考え方』(Mitsuri Media)

例えば上の図の例で説明しますと、
真ん中の灰色の加工物に穴をあける際、

毎回必ず同じ位置に穴をあけるために
灰色の加工物をクランプでまず固定し、
そして穴を正確な位置に持ってくるよう
緑色の治具が穴の位置を指ししめす、

という構造になっていることが分かります。


治具と密接にかかわる「原点」という概念

治具が位置を決め、固定するものだとしたとき、
それと一緒に「原点」についてよく取り扱います

皆さんも中学や高校の数学でグラフを描いた際、
原点を書くので馴染みがあるかもしれません。
あの原点です。

原点O(オー)ですね。懐かしい。
高校の数学で、グラフに原点を書き忘れ、
数学の先生から大目玉をくらった記憶があります。

現代の製造業ではNC(数値制御)の加工機を用いるため、
ものの加工は機械が数を読み取ることで成り立ちます。

しかし機械が考える数字と人が考える数字が
食い違っていては不良品ができ大問題です。

そこで、機械と人間が認識を合わせるために
まず人間が機械に「原点」を教える
工程があります。

人間側はAから100mmと考えているのに
機械はBから100mmと考えていたら大問題です。

まずは機械に原点を入力する、
あるいはそもそも原点を作る(当て板を添える等)

というのは製造業に初めて入った誰もが
新しく体験するあるある通過儀礼な気がします。


当社も治具は自分たちで手作りします

はなしを治具(じぐ)に戻しますが、
このようにまずは機械と原点の認識を合わせて、

機械が教えたように加工してくれるよう
人間が加工物を正しい位置に置くのを
サポートするために治具を用いるということです。

機械と製品の組み合わせの数だけ
使い勝手のよい治具が存在します。

市販の治具(クランプなど)で対応できる場合もあれば
ニッチすぎるなどして自作せざるをえない場合もあり、

私の予想ですが当社のような小規模製造業では
自作の必要がある場合の方が多いのではないでしょうか。


当社が自分たちで製作し日常利用している治具を紹介させて下さい。

こちらはエッジ材を丸鋸で切るための治具です。

当社では机の天板製品を加工しているのですが、
小口を隠すためエッジ材をはめこみます。

エッジ材は3m規格で購入しており、
そこから指定寸法を切りだすために
治具として使用するのが写真の設備です。

"治具ポイント"としては

  • 3mのエッジが水平になる長尺フラット台にしている

  • 台にはスケールをテープ貼りしており長さをすぐ測れる

  • エッジをクランプ留めでき、切断時にブレないようにしている

  • 丸鋸の部分は切断刃が角度付きでも下ろせるよう大き目に開口している

  • 切断時にでる削りカスが掃除しやすいよう塵受けを手前に設置している

などなどが挙げられます。

工夫次第で作業が楽になり、おまけに掃除も楽になります。
治具自体の大切さを感じるとともに、
治具を自作することの面白さもありますね。


ところで、「じぐ」は実は英語らしい

いきなり話は変わりますが、
皆さんは「治具(じぐ)」という言葉が
実は英語由来であることご存じだったでしょうか。
(私は去年知りました)

ジグ(jig:英語)(機械分野)工作物を固定して切削刃 具(ドリル、リーマなど)を加工物に正しく当て、正確・迅速に加工するため に用いる道具(「治具」は当て字

広辞苑

治める(道)具ですから的を得た表現のため
純日本語かと思いきや完全に英語ですね。

というトリビアを紹介したかっただけです。以上です。


おわりに

ここまで記事をお読みいただきありがとうございました。

製造業の考え方や、実際に何をしているかは、
業界外の方からはなかなか見えにくいのが実情です。

今回は製造業の縁の下の力持ちである
治具(じぐ)にスポットライトを当て、
製造業の日々の取り組みをご紹介させて頂きました。



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大サイズ平面材(パネル等)の異種どうし貼り合わせ加工、
および切断加工を得意としています。


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