保育は繰り返し言葉でできている
繰り返し言葉とは
ワンワンやパクパク、トコトコなど同じ言葉を2回以上繰り返す言葉を畳語(じょうご)と言うらしい。
一般的ではないので分かりやすく「繰り返し言葉」と言うことにする。
繰り返し言葉を使う理由
保育園で働いている自分の姿を客観的に見たら、普段の生活よりも繰り返し言葉を多く使っていると思う。
もし、保育中に繰り返し言葉を禁止したら、何を話すかものすごく考えないと子どもとコミュニケーションをとれない。
そのくらい無意識に使っている。
多用しすぎると幼く感じる上、本来の日本語での言い方も伝えていきたいと思っているけれど、子どもの年齢が低年齢であればあるほどよく使っていると思う。
繰り返すリズムが心地よく、子どもたちも好んで使っている。
冒頭の
ワンワン=犬
パクパク=食べる
トコトコ=歩く
は、日本語ネイティブなら通じ合える言葉だと思う。
他言語に訳す時は、「犬が吠える」などと訳すだろうから、日本語独自の文化でもあると思う。
保育園でよく使う繰り返し言葉を私なりの視点で独自にまとめてみたので紹介していこうと思う。
繰り返し言葉①オノマトペ
ワンワン、トントン、パチパチなど
音を表す言葉。
ドアをノックする時、トントンとドンドンとコンコンでは微妙に違いがある。
日本語って繊細だなぁと感じる。
繰り返し言葉②動詞の最初2文字
ぬぎぬぎ(例:服を脱ぐ)
ふきふき(例:タオルで手を拭く)
ぬりぬり(例:ノリを塗り広げる)
繰り返し言葉で伝えた方が子どもが分かってくれる気がして使っている。
でも、もしかしたら、大人が「こう言った方が子どもには伝わりやすいだろう」と思い込んでいるだけなのかもしれない。
繰り返し言葉③状態や様子を表す
フワフワ、ダラダラ、ピロピロ、トコトコなど
少し①とかぶる部分もあるかもしれない。
子どもに「ん?」という顔をされて、「〇〇ってことだよー」と説明することがある。
「びしょびしょになってるよ」と言って、伝わらなくて「水が床にたくさんこぼれているよ」など。
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ここから、最近自分の周りで使われだした新しい言葉について。
新しい言葉①「きりきり」
ままごとのナイフとお手玉を使って何かを切っている子が何か言っている。よく聞いてみると、「きりきり」と言っていた。
包丁で何かを切る時の言葉は、「トントン」が一般的なのかなと思ったけど、トントンは包丁がまな板に当たるときの音のイメージ。
人参や大根を切る時などある程度固いものを切る時に使う気がする。
お手玉が何か柔らかくてスムーズには切れないものに見立てていたようで、あてはめる言葉が見当たらず、「きりきり」が登場した模様。
切る時は「チョキチョキ」もあるけど、これははさみのイメージが強い。
「きりきり」・・・柔らかいものを切る時の新しい繰り返し言葉かもしれない。
新しい言葉②「のみのみ」
人形の口にままごとのコップをあてて「のみのみしてねー」と言っていた。
「ゴクゴク」と喉を潤すように勢いよく飲むほどではなく、穏やかに何か飲み物を飲むときに使う模様。
(例)「リンゴジュースだよー。のみのみしてねー」
子どもから出た言葉で、その日は「微笑ましいよね」と話していたのだけど、気づいたら、先日同僚が使っていた。
言葉って、大人から子どもに伝えていくものでもあるけれど、子どもから大人に広がっていくものでもあることを改めて思い出した。
【保育園で使われる謎の言葉】
ちゅるちゅるめんめん・・・給食に出てくるうどんやスパゲッティ、焼きそばなどの麺類のこと。
保育園で話される繰り返し言葉のうち一番長い言葉。(私調べ)
使用例「今日の給食、ちゅるちゅるめんめんだよー」
私は使っていないし同僚も使わないので今の園の園児たちも使わない。でも、使う先生がいると、子どもが使うようになり、ままごとにも登場し、周りの子どもも使うようになる。
そうすると、子どもたちに共通の認識ができるので、「ちゅるちゅるめんめん」を使った方がイメージが共有しやすくなり、他の保育士も使い始める。
私も、他の保育士が使うなら使う。他の園では使っていた。
言葉は文化
日本語の獲得途中にいる保育園の子どもたち。
保育園や家庭で大人が使う言葉から、「日本語繰り返し言葉ネイティブ」としての感性を身につけていく一方、子ども独自の発想で作り出した言葉が大人との意思疎通をはかる方法にもなっていく。
一方通行でないところが面白い!
おしまい
【おまけ】世界各国の動物の鳴き声を紹介している絵本。なぜ牛は世界共通なのか。。。不思議。
あと、ギンビスのビスケットの箱にも世界の動物の鳴き声紹介が書かれていて、目につくと毎回ながめている。
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