読書 -「世界は贈与でできている」から学んだ今を生きるありがたみ。
閉塞感ある今の世の中においてタイトルに惹かれて読んだ本が今回の「世界は贈与でできている」という本です。
ギブアンドテイクや等価交換を前提とする資本主義の世の中において、贈与がどのような位置づけであり、価値を持つのか。そもそもの定義まで含めた、文字通り「贈与」に特化して考察された内容でした。 個人的に面白かった内容をシェアします。
■ 贈与は必ずプレヒストリーを持つ
まず最初に、贈与は全て受け取ることから始まり、 必ず「プレヒストリー」を持つという考察です。
そして上記観点から、贈与、偽善、自己犠牲の違いは、それ以前に贈与を既に受け取っているか否かで説明が付くことです。
「プレヒストリーを持つ」という明確な主張は、今後の自分の行動の変化(強化)に繋がる有益なメッセージでした。 なぜ行動変化に繋がるのか?それは、筆者が定義する「勉強」がキーになります。
■ 勉強とは「被贈与」に気づくこと
筆者の言う「勉強」とは、自分がプレヒストリーを持っている =「贈与を既に受け取っていること」に気付く、認識する。それが勉強であると言っています。
つまり、現在も過去も含めて「勉強」を通じて、自分が様々な恩恵を受けていることに気付く。そうするとヒトはどうなるのでしょうか。
■ 被贈与に気付くと、自ら贈与し、幸せが循環
自分が偶然にも産まれた環境から、親や家族、友人、同僚等の人間関係まで、自分が運よく、あるいは「不当」にも、また「誤配」にも受け取ってしまった贈与を、今度は自分も同じように、あるいはできる範囲で世の中に還元しようとペイ・フォーワードの連鎖が生まれるわけです。幸せの循環といえるかもしれないですね。
■ 無機質な現代社会において特に有効
思えば、現代社会は資本主義の下に循環しており、特に社会人は、"Give & Take"(ギブアンドテイク)、等価交換、経済合理性等を前提とした環境に身を置きがちです。
その特性ゆえに、無機質でドライな人間関係であったり、ギスギスした雰囲気は決して少なくありません。社会人の方であれば心当たりあるのではないでしょうか。
つまり、そのような状況において「贈与する」という考え方や行為は、閉塞的な世界からの脱却に繋がり、本来人生は最も美しいものだと感じる機会が増えることで世の中全体が幸のスパイラルを帯びるのではと思います。
■ 贈与されていることを認識することが入口
そう考えると、考え方ひとつで幸せな空気みたいなものに包まれる可能性があるのであれば「人生捨てたものじゃないかも…」と思える人もいるのではないでしょうか。
そのための第一歩は、先ずは過去に自分が贈与されている事実を認識することから始めていきましょう。人生を豊かにするために教養が必要という意味を改めて感じました。
■ 子育てから思うこと
ちなみに、贈与について特に個人的経験として強く想起されることがあります。子育てです。
子どもが喜んでくれるとき、無邪気な笑顔を見せてくれたりする時は勿論ですが、最近では、小学生になった娘が登校する後ろ姿を見ている時、そして、時折こちらを向いて手を振ってくる姿に本当に穏やかな幸せを感じます。
しか~し、子育ては毎秒普遍的に幸せが続くものではなく、いかんせん小さな聞かん坊2人相手ですから、3回言っても直らない、家でも外出しても色々と危なっかしいことが日常茶飯事であり、ハラハラしますし、色々と世話を焼きます。
そんな時、ふと自分の親を思い出し、よく世話してくれたなぁ~としみじみと感謝の念を抱きます。自分がしてもらったように、自分が親になったら、自分の子どもを育てる。子供が社会人になった際に、今まで0歳から育てた食事代や教育費、その他諸々全部返済してねなんて言わないですよね。ペイフォーワードの構造で繋がっていると体感しています。
ただ自分でそう言っておきながら2点補足があります。
1つ目は、実際は子どもから十分に幸せを貰っているので、決して厳密にはペイフォーワードではないこと。言うこと聞かないで駄々こねている時は「…憎たらしい…が、かわいいやつめ」となりますよね。なのでともすれば「無償の愛」というのも本来はないのかもしれないですね。
2つ目に、家庭環境に恵まれずに育った人はその限りではないケースも多分にあると思います。私は経験していないので軽はずみなことは何も言えません。
■ 自分起点の贈与はない
ちなみに筆者は、自分を起点とした贈与という形はないと明確に主張しています。その点については、個人的にはそうなのかな?と若干疑問はありますが、私も本書から受け取った贈与を自分なりの方法で誰かにペイフォーワードできればと思い書いてみました。
そんな素敵な気持ちにさせてくれた筆者の近内さんに感謝です。
皆さんも先ずは「勉強」から始めてみると幸せのジャブを受けると思います。是非試してみて下さい。