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女優猫さんに学ぶ。

※見出しの方は御本人ではありません。



仕事に行けなくなって半月。

まだ、長時間直立二足歩行はキツイんだけど、あんまり動かないとこのまま回復できなくなりそうで不安になる。

私は自分のお部屋が大好きだけど、お散歩も好き。


よし、歩くぞ!


そうして私は今回の週末に「観光客ごっこ」をしていた。


素足にサンダル履いて、あっちゃこっちゃと坂を登ってゆく。


気が済むまで坂を登り、「まぁいいか」と足を止めた。

小さな喫茶店。

うーん、ここ前と店名違う気がする…
オーナーさんが代わったのかな?

あ、猫さんだ…

とりあえずコーヒーをお願いして、ゆっくりした。

お店の入口の植え込みにまだ猫さんがいた。

一度帰りかけた私は、やっぱり猫さんを見たくて戻った。

植え込みの前にしゃがんで猫さんに失礼にならない程度に視線を送った。

すると猫さんは植え込みから出てきて、私の足元に寝転がり、
「よしよしさせてあげるわ」
と“よしよしポイント”を私に向けてくれた。

実はこの猫さん、有名な動物番組にお出になった(笑)ため、私には「女優さん」に見えていた。
なんか、楽屋からわざわざ出てきてくださった、みたいな(笑)。

この女優さん、実に気持ちよさそうに目を細めて私によしよしされていた。
あごではなく首の後ろから背中にかけてがツボらしく、私の足元で勾玉のようにまるかって満足そうにしていた。


なんと言うか、社会的な居場所をなくして「必要とされない感」をMAX抱えた私に、
「よしよししてよ」と寄ってきてくれたことがプルプルするほど感動した。
(正確には「よしよしさせてあげる」「よしよししてみせよ」なのだが)

※※※※※

愛想が良すぎて周りから信用されなかった私は、接客の仕事というよりチームワーク展開の仕事に行き詰まっている。
「何考えてるかわかんない」
まぁ、そう言われるのもわかる。
だがなぁ、私に意見がないわけでも、決められないわけでも、ましてや何も考えていないわけでもない。
「人に頼る」
それが苦手なだけなんだよ。
プライドが高いんじゃない。
《お願い事をしたら、殺傷能力抜群の暴言が跳ね返ってくる》
それが〘身体〙から抜けていかない。
「具合が悪いから病院に連れて行ってほしい」
こんな言葉さえ何十回何百回飲み込んでしまったことが、今現在にも響いている。

〘身体〙には脳も含まれる。


※※※※※


猫さんには言葉も接客スマイルも通じない。

だからこそ嬉しかった。
愛想うんぬんではなく、この猫さんは私に近づいて来てくれたのだから。
少なくとも「ひどいことしてきそうなヤツ」「怖そうなヤツ」とは思わなかったろう。
人馴れしているとはいえ野良さんだから、私から「イヤ〜な感じ」がしたらきっと寄ってきてはくれなかったろう。

猫さんに「孫の手」としてでもええから必要とされて嬉しかった。



この猫さんには素晴らしい対人能力があった。
私がよしよしポイントを外したらしかった。
彼女はやんわり私の手に爪を立て、口を開け、噛むふりをした。
私の目をじぃっと見ながら、
「これ以上ちがうとこよしよししたらガブッだぞ!?」
とプチ怒りを表明してくる。

ああ、この子のほうがよっぽどコミュニケーション能力が高いではないか。

嫌なことをされたら「耐えきれないところまで耐えずに、“イヤだ”アピールする」
………で、できねぇぇえっっ😱

やっぱり野良として生きていくには人間相手のコミュニケーションにも長けていたほうが有利なんだろうな。

実際にガブッとやってしまっては人間に叩かれるかもしれないし、こう何と言うか「さじ加減」が素晴らしい猫さんだった。


まぁ、次の目標は、
「うーん、それ苦手かも」
が言えるようになることに決まった。



思いつきの「観光客ごっこ」から、女優さんに出逢い、何だか救われた週末。


これから梅雨が来る。
今のうちに柔らかそうな緑と青空を見ておこうと思った。

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