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クラシックルートから甲斐駒ケ岳へ!

6月はテント泊で北沢峠(長野県側)から登りましたが、今回はクラシックルートである黒戸尾根(山梨県側)から甲斐駒ケ岳へ登ってきました。
日本三大急登に数えられる黒戸尾根ですが、北沢峠が開通するまでは甲斐駒ケ岳のメインルートだったそうで、ルートが開かれたのはなんと江戸時代。
山岳信仰がこのルートの発祥であり、実に歴史ある登山道です。
登山口から頂上までの標高差は2300m程あり、とにかく長い。急坂に崖に鎖場、梯子とバリエーション豊かで修験者の道らしく登山道はなかなかに過酷。しかし、低山の雰囲気から3000m付近の高山帯をひとつの山で体験できる貴重なルートです。

強者達は日帰りで踏破したりするそうですが、私はテント泊でも登れる気がしなかったので今回は7合目にある七丈小屋に1泊し甲斐駒ケ岳を登頂してきました。

1日目

スタートは尾白川渓谷。日向山登山道整備の記事でも紹介しましたが、日向山と甲斐駒ケ岳の登山口になります。登山道整備WSは土曜だったこともあり駐車場(無料)は満車でしたが、今回は平日のためかなり余裕あり。

ちなみに、甲斐駒ヶ岳のバッジは駐車場の売店おじろで買うことができます。七丈小屋では売っていないのでほしい方は注意(七丈小屋バッジは売ってます)

序盤は樹林帯。というか7合目付近の七丈小屋まではずっと樹林帯です。標高は700m程度なので暑い

急坂ではありませんが、長い長い登りを進んでいきます。
広葉樹の明るい森できっと新緑や紅葉の時期はとてもきれいなのではと思います。しかし、この登山口から2合目までが実に長い。下りでは心が折れました。どうも登山口から2合目までで距離だけなら甲斐駒ケ岳頂上までの半分あるそう。通りで長く感じるわけだ、、、

広葉樹の森を登っていくと2合目へ到着。馬止観音という名があるだけにこのあたりまで荷揚げのため馬が入っていたのでしょう。

2合目からは比較的急な斜面が増えてきます。そして以前参加した登山道整備WSで北杜山守隊の方が2合目から3合目は登山道の崩壊が激しく、早く手をいれたいと言われていたように、確かに状態のよくない箇所がいくつか見られました。通行に注意したい区間です。

土砂が流出、深い溝ができています
そして登山道が広がり、一部崩れてしまっています
ここも同じような状況
もっとひどい箇所もありました

3合目から5合目までは緩やかな登りだけでなく梯子や鎖を使って登る区間が出てきます。3合目の後に刃渡りがありますが、ここはそれほど高度感はなく鎖がしっかり設置してあるためすんなり通過できます。しかし滑り落ちればかなり危険なため集中力を保ちながら歩きたい箇所です。

道中にはあちこちに山岳信仰の史跡が見られます
刃渡りはこんな状況
鎖が設置され足場もしっかりしています
特に急なところにはしっかりとした梯子が設置されています

写真ではもう立っていますが、1日目に登っている際、北杜山守隊の方々がちょうど4合目の道標を立てているところでした。重さは1本18キロもあるとか。これを担いで黒戸尾根を歩いたなんて、、、

5合目には広いスペースがあります
ここから先は崖、鎖、梯子の連続になります

5合目からは特に急な区間となり、崖のようなところを梯子や鎖で登っていきます。修験者の道らしくなかなかに険しい。当日はここで雷雨となり、写真を撮る余裕なく黙々と通過しました。

写真はありませんが、けっこう崖でした。
そして6合目の道標撮り忘れた、、、

どうにか七丈小屋にたどり着くと予約した通りに受付てもらい小屋の中へ
事前決済でクレジットカード払いができるのはありがたい。1泊夕食+朝弁当で11000円でした。
当日の宿泊者は私をいれて10名ほど。平日らしく定員までに余裕があるためスペースが多く、ゆっくり使うことかできました

ちなみに黒戸尾根から七丈小屋、甲斐駒ヶ岳頂上まですべてdocomoの電波は入りました。北沢峠及び仙水峠はさっぱり入らなかったのですが、黒戸尾根側は電波良好でした(なお、ソフトバンクは入りにくかったようです)

とても山小屋らしい雰囲気
寝る場所は2階で1階は食事及び休憩スペース

小屋の外に水場があり、南アルプスらしく豊富な量の水が出ています。リアルアルプスの天然水でとても美味しい。小屋で話した方は、この水でウイスキーの水割りを飲むためにここまできた!と言っていたぐらい。
このあたりの水はサントリーが工場を建てるぐらいの名水で、それを飲み放題なんてなんと贅沢なんでしょう

小屋泊やテント泊の方は無料
日帰りで補給したい方は100円とのことです
夕食はカレー(おかわり無料)、ハンバーグ、そうめん
子供と変わらない味覚の私にはサイコー!

夕暮れ近くには雨も上がり、木々の間からは富士山も見れました
1日目はこれで終了。20時の小屋の消灯とともに疲れもあり、あっという間に寝てしまいました

2日目

3時頃に目を覚まし、お弁当を食べると行動開始
実に久しぶりの夜明け前からの登山。
20年前のヘッドライトと比べてはいけませんが、今のLEDライトはほんと明るいですねぇ
これならナイトハイクもそれほど苦ではないように思えます

しばらく歩くと夜明けを迎えました。
8合目でご来光を受けるのがベターなのでしょうが、まぁそこは無理せずのんびりと

7合目の道標は小屋から少し登ったところ。小屋は7合目ではないそうです

甲斐駒ケ岳を開山した小尾権三郎は8合目でご来光を受け、その後甲斐駒ケ岳に登頂したのだとか。広々として景色よく気持ちのよいところでした

朝の素晴らしい景色をしばし堪能しました。

向かうは甲斐駒ヶ岳の頂上。北沢峠側は駒津峰から山の全貌が見えましたが黒戸尾根は9合目近くまで見れません。ここでやっと見えました。

駒津峰からは白く大きい印象がありましたが、黒戸側からは違う印象
9合目はここにあります。2本剣は烏帽子岩という名のようです

黒戸尾根ではもしかしたら最も有名は眺めかもしれない、2本剣。こんなところに誰が設置したんでしょうねぇ。ここでちょうど9合目ぐらいです

9合目を越え頂上まであと少し。七丈小屋で1泊したこともあり高度障害はほとんど出ず快調に歩くことができました。

晴天で風もあるため涼しく、ウインドシェルを着てちょうどよいぐらいでした
駒ヶ岳講、駒ヶ岳神社の本社がここになるそうです

北沢峠との分岐点。山頂まであと5分の標示がありました。
北沢峠側からも続々と登山者が上がってきます

駒津峰からの巻道コースと合流します
奥に富士山。手前に鳳凰三山
甲斐駒ヶ岳巻道コースのザレた白い道が特徴的

そして2967m甲斐駒ヶ岳今シーズン2度目の登頂!
以前訪れた際にはなかった山頂看板が設置されていました。この看板、表裏で表記が違います。というのも甲斐駒ヶ岳は山梨県側からの名称で長野県側(正しくは伊那谷)からは東駒ケ岳が一般的だったそう。そのため山頂看板は表裏で違う名称が書かれています。これから名物看板になるかもしれませんね!ちなみにこの看板も北杜山守隊の方々が作成し設置したそうです(※正式な整備事業として)

南アルプスからは実によく富士山が見えます。八ヶ岳からも見れるのですが、大きさが違いますね。麓から見る富士山もよいですが、標高の高い場所から見る登山も実によいものです

山頂でゆっくりしたかったのですが、当日はかなりの強風で長居は厳しかったので早々に帰路につきました。七丈小屋までは稜線歩きのため涼しいこともあり快適に下りました。

小屋では荷物を預かってくれるので山頂を往復する間は少し軽量化することができました。荷物を回収し小屋番さんに挨拶をして下山開始。
黒戸尾根は下山が核心なんて話がありますが、下山道ここからのがある意味本番です

そして長い長い下りを5時間ほど歩き下山完了。黙々と下ったため写真はありません。それでどのような下山道か理解していただければ、、、(笑)
2合目からの下りはほんとうに長かった!

黒戸尾根は日本三大急坂に数えられ過酷で長いイメージがありますが、今回歩いてみて確かにしんどいですがとても魅力溢れるルートと分かりました。登山道からは歴史を感じ、景色は広葉樹の森から森林限界を越えた絶景も見れる。体力勝負の登山もでき、冬は通年営業の七丈小屋があるため簡単とは言えないものの登ることが可能です。
日本百名山の深田久弥は、百名山が十名山になったとしても甲斐駒ヶ岳を入れるだろうと言われたそう。今シーズン2度登ってみてその気持ちに強く同意したいと思います。
黒戸尾根に興味ある方、甲斐駒ヶ岳に興味ある方、ぜひとも訪れてみてください!


今回も地元岡崎のブランドMIYAGENのクレスト40を使ってきました。
使いなれてきたのでそろそろレビューを作ってみようかと思います


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