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インテントデータとは?活用ポイントや種類、おすすめツールを紹介(BtoBマーケ・セールス向け)
今日はいつもと違って、私が担当している事業領域について書いていきます。インテントデータとは何か?何がすごいの?過度に期待してはダメ?など質問いただくことが多いので、改めてNoteにまとめてみました。
もし営業を効率化したい、顧客解析を時短しつつも最適な解を出したいなど考えられている方にオススメの記事となっております。
ぜひ最後までご覧ください。
はじめに
B2Bのマーケティングと営業では、見込み顧客の「今ほしい」「今困っている」をいち早く察知できるかが競争優位の鍵になります。その手がかりとして注目されているのが インテントデータ です。しかし、インテントデータを過大評価しすぎると期待外れに終わることもあり得ます。
本記事では、インテントデータの基本から種類、効果的な活用ポイントと注意点、主要なツールと選定のポイントまでを解説します。バランスの取れた視点で、B2Bマーケターや営業担当者が実践に活かせる具体的な知見を提供します。
インテントデータとは何か
インテントデータ とは、ユーザーや企業がWeb上で示す「購入意向や情報収集の意図」を反映した行動履歴のことです。
例えば、比較サイトの閲覧履歴、関連キーワードの検索、SNSへの投稿といったオンライン行動が該当します。
これらのデータから「どんな課題に直面しているのか」「購買プロセスのどの段階にいるのか」を推測できる点がインテントデータの特徴です。
B2Bビジネスでは、近年購買プロセスの大半が匿名での自己調査によって進むようになりました。複数の担当者が問い合わせ前に情報収集を完結させてしまうケースも多く、従来は「顕在化しないニーズ」を見逃しがちでした。
そこで、自社サイト外での見えない行動を捉えて隠れたニーズを可視化できるインテントデータが重要視されています。
適切に活用すれば、これまで接点を持てなかった潜在顧客にもアプローチするチャンスを得られます。
インテントデータの種類
インテントデータは主に 1stパーティデータ、2ndパーティデータ、3rdパーティデータ の3種類に分類できます。それぞれデータの由来や特性が異なり、活用方法も変わってきます。
1stパーティデータ: 自社が自ら収集・保有しているデータです。例えば、自社サイトの訪問ログ、フォーム送信情報、メールの開封履歴などが該当します
2ndパーティデータ: 信頼できる提携先(パートナー企業)から提供を受けるデータです。他社が保有する1stパーティデータを共有してもらう形で、業界内のデータ共有スキームや共同キャンペーンで得られる情報などが該当します
3rdパーティデータ: 外部のデータプロバイダーから購入するデータで、一般に「インテントデータ」と言う場合はこの第三者提供データを指すことが多いです
インテントデータ活用のポイント
インテントデータを有効活用することで、マーケティングや営業活動の効率と精度を飛躍的に高めることができます。ただし、「魔法の杖」のように万能ではないため、正しい理解のもと戦略に組み込むことが重要です。
以下、効果的な活用戦略と誤解を防ぐための注意点を紹介します。
効果的な活用戦略
ホットリードの優先アプローチ: インテントデータに基づき見込み企業の関心度をスコアリングし、購買意欲が高い企業から優先的に営業リスト化します
既存顧客の離反防止: インテントデータは新規開拓だけでなく既存顧客の動向モニタリングにも有効です。
ABM(アカウントベースドマーケティング)の強化: 特定のターゲット企業に対し、その企業が今関心を寄せているトピックに合わせたコンテンツや広告を提供します。
コンテンツ戦略の最適化: 見込み顧客がよく検索しているキーワードや閲覧しているページを分析し、自社のブログ記事やセミナー内容に反映します
ファーストパーティ×サードパーティデータの統合: 自社保有データ(1stパーティ)と外部の閲覧・検索データ(3rdパーティ)を一元管理して突合することで、今まで埋もれていた有望顧客を発掘できます
マーケ&営業の連携強化: インテントデータの解釈や活用はマーケティングチームと営業チームで共有し、連携して取り組みます。営業現場の知見(顧客ごとの細かな状況やニーズ)とデータを組み合わせることでターゲティングの精度が向上し、「誰にどんな提案をすべきか」を組織全体で統一できます
活用時の注意点(誤解を防ぐために)
インテントデータを活用する際には、いくつか注意すべき点があります。最大のポイントは 「インテントデータはあくまで購買の兆候であって、確実な意志表示ではない」 ということです。
たとえば特定の製品ページを訪問したからといって、すぐにその製品を購入するつもりとは限りません。インテントデータが示すのは「興味・関心のサイン」であり、これ自体を「購入の確約情報」と誤解するとミスリードを招きます。データを過信しすぎて「この企業は絶対買うはずだ」と決めつけてしまうと、早合点したズレた提案をしてしまいかねません。
また、インテントデータだけに依存するのも危険です。インテントデータはマーケ・営業活動を 「補完するツール」 に過ぎず、それ単独で自動的に商談や売上を生み出すものではありません。
データの裏にある文脈(なぜその行動を取ったのか、本当にニーズが高いのか)を見極めるのが重要です。他の顧客データ(問い合わせ履歴や自社との接点履歴など)や営業の直接ヒアリング情報と突き合わせ、総合的に判断することで初めて効果を発揮します。。過度な期待を避け、まずは「有望そうだ」という手がかりとして扱う のが成功への第一歩です。
インテントデータの限界と課題
便利なインテントデータですが、万能ではないため押さえておきたい限界や課題があります。
すべての購買意向を網羅できるわけではない: インテントデータで捉えられるのはあくまで一部のデジタル行動に過ぎません。見込み客の購買シグナルを可能な限り拾い上げることはできますが、「完璧に把握する」ことは不可能です。データに表れない動きも多々あり、例えば社内での検討プロセスや紹介、口コミなどは数字に出てきません。単一の行動データポイントから真の意図を読み解くのは難しく、誤った解釈につながる可能性があります
競合サイトやオフラインでの行動は捉えにくい: インテントデータの多くはWeb上の行動履歴に基づきます。そのため、自社や提携データネットワークに含まれない 競合他社のサイト閲覧 や、展示会・セミナー参加、同僚との相談といった オフライン活動 は原則として把握できません。例えば、ある見込み企業が競合メーカーのサイトで詳細資料を閲覧していたとしても、競合がデータ提供していなければインテントデータには現れません。また、対面での打ち合わせや電話での問い合わせといったオフラインの購買兆候はデジタル履歴に残らないため見逃してしまいます。このようにインテントデータには取得できる行動の範囲に限界があることを認識しておくべきです。
データの精度と信頼性の課題: 特に3rdパーティデータの場合、収集元や識別の仕組みによっては データにノイズや誤差が含まれる 可能性があります。
コストの問題: 高品質なインテントデータや統合プラットフォームは費用が高額になる傾向があります
インテントデータを活用する主要ツール一覧
現在、国内外でインテントデータを活用した様々なツール・サービスが提供されています。ここでは代表的なものを紹介します(ウルテクをはじめ国内ツール、海外ツールを含む主要サービス)。各ツールの特徴や強み、価格帯の概要について触れます。
国内主要インテントデータツール
ウルテク (URUTEQ) – ログリー株式会社提供: 自社サイト内外の行動データをAI解析するアカウントインテリジェンスツールです。「BtoBの顧客理解をもっとシンプルに」をコンセプトに掲げ、外部の検索動向や自社サイトアクセスから潜在ニーズを持つ企業をリアルタイムに可視化します
セールスマーカー (Sales Marker) – 株式会社Sales Marker提供: 日本初の「インテントセールスSaaS」として登場したツール。Web上の検索行動データと約510万社の企業データベースを掛け合わせ、購買意欲の高い企業をリアルタイムで特定します
Select DMP(セレクトDMP) – 株式会社インティメート・マージャー提供: 20億件以上のウェブキーワードをリアルタイム解析し、購買意向の高い企業を抽出するインテントデータ活用プラットフォームです
uSonar (ユーソナー) – ユーソナー株式会社提供: 約820万件という日本最大級の企業データベースを基盤に持つデータプラットフォームです
infobox (インフォボックス) – 株式会社インフォボックス提供: 企業基本情報・キーマン情報・業界ニュースなど複数ソースを統合し、営業リストのスコアリングや受注分析まで行える市場開拓プラットフォームです
スピーダ (Speeda) – 株式会社ユーザベース提供: 企業情報プラットフォーム「Speeda」に、IT製品のレビューサイトであるITreviewのデータを連携させてインテント分析を行う仕組みです
SalesNow (セールスナウ) – 株式会社SalesNow提供: 約540万社の企業データベースを備えた営業支援ツールです
おわりに
インテントデータは、適切に使えばB2Bマーケティング・営業活動に大きな変革をもたらす強力な武器となります。一方で、その限界も理解した上で過信せずバランス良く活用することが重要です。自社の戦略に合ったツールを選び、マーケと営業が一体となってデータを活かせば、「見込み客の潜在ニーズが今まさに高まった瞬間」を逃さずキャッチし、的確なアプローチで競合に打ち勝つことができるでしょう。
インテントデータを味方につけ、科学的かつタイムリーな営業・マーケティングでROIの最大化を目指してみてください。