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哀愁のアクエレッロ

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イタリアのフィレンツェを舞台にしたノンフィクション私小説です。バックパッカーとして旅をする中で偶然知ることとなった、水彩画という意味のレストラン「アクエレッロ」。この店を営む素敵…
11章分を章ごとにアップしていきます。全体は3万4千文字程度。一章分は平均6~7分でお読みいただけ…
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#私小説

小説「哀愁のアクエレッロ」:一章・街角の旅人

「ヴァイ、ジャポネーゼ!ヴァイ!」  粋に訳せば「来てみろよ、日本人!来てみやがれ!」と…

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Fumster
5年前

小説「哀愁のアクエレッロ」:二章・ソクラテスとスケッチブック

 近づくにつれ、それが確かにレストランであることがわかった。というのは、店の前に料理人用…

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Fumster
5年前
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小説「哀愁のアクエレッロ」:第三章・狩り

 翌日は早起きをした。急ぎ身支度を整えると、バックパッカーたちの溜まり場となっているユー…

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Fumster
5年前
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小説「哀愁のアクエレッロ」:四章・ダヴィデに夢中

 入り口を入って左に曲がると、右手の回廊の奥に佇む"彼"が視界に飛び込んできた。スポット…

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Fumster
5年前
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小説「哀愁のアクエレッロ」:五章・お披露目

 店の前に辿り着くと、緊張で体を強張らせながら中を覗き込んだ。そして、昨日の料理人が奥で…

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Fumster
5年前
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小説「哀愁のアクエレッロ」:六章・名もなき絵描きの幸福

 翌日、夜の八時少し前に約束通りAcquerelloに到着した。今度はまるで我が家のように慣れた態…

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Fumster
5年前
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小説「哀愁のアクエレッロ」:七章・独り占め

 ジョットーの鐘楼を過ぎ、アルノ川を越え、ユースに辿り着いたときにはとうに夜中の一時をまわっていた。そしてドアの前まで来て愕然とした。アーチ型をした木製の扉がぴっちりと閉められていたからだ。扉を叩いてみても、空しい音が人影のない路地に響き渡るだけである。よく見ると扉の横に、  門限は十二時です と書かれた貼り紙がしてあるのだった。こんなにも充実した一日でさえ、すんなりハッピーエンドとはいかないようだ。それもまた旅の面白さの一つでもあるのだが。  仕方がないので僕は暗いフ

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小説「哀愁のアクエレッロ」:八章・再会

 三年後の夏、再びヨーロッパに飛んだ。大学四年生として迎える夏である。就職の内定も決まっ…

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Fumster
5年前
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小説「哀愁のアクエレッロ」:十章・トスカーナの魅力

 チャンスが到来したのは、それからさらに二年の歳月が流れた後だった。三十二歳という年齢に…

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Fumster
5年前
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