苦手な人にこそ伝えたい"シビレ"の魅力 | ヒトサラ社員のリアルめし
「ヒトサラ」の社員による、グルメレポート。曜日ごとの担当が、これから定期的にグルメサイトの社員が日々食べる「リアルめし」を綴ります。
はじめまして、火曜日担当のヒトサラ編集部の郡司と言います。
皆さんの周りには、"麻辣"という名前がつく料理などが出てくるたびに、「四川には"麻"と"辣"っていう二つの辛さがあって、"麻"はシビレ、"辣"は唐辛子の辛さなんだよ」と、聞いてもないのに親切に教えてくれるちょっとメンドウな人、いませんか? そして教えてくれたあとに必ず「シビれる辛さが好きでさ〜」と、なぜか自分のシビレ好きをアピールしてくる四川料理が大好きなアレな人。
私もそのアレです。そして、なかでも花椒(ホアジャオ)が効きすぎてるくらいな麻婆豆腐と担々麺が大好き。
ところが、この花椒のシビれる感覚が好きっていう人が自分の周りには意外と少ないんですよね。「一口ならいけるけど一食は食べきれない」とか、「口が麻痺するとほかの味がわからなくなる」とか。
でも、少しでも多くの人にこのシビレのおいしさを伝えたい!
ということで今回は、私をシビレの世界へと開眼させてくれた原点ともいえるお店の麻婆豆腐をレポートしたいと思います!
麻婆豆腐を目指し、渋谷からバスで20分。
目的のお店は渋谷からバスに乗り、20分ほど。今回は同じくヒトサラnote部で後輩の、東(あずま)も同行します。
バスに揺られてる間、なぜこんなにもシビレる麻婆豆腐が好きになったのかを思い返していました。というのも、実は元々あのシビレる感覚が、全然好きじゃなかったんですよね……
むしろ割と避けるくらいな感じだったのですが、あるとき、当時は移転前で神田にあった【五指山】の麻婆豆腐に出会います。
ぐつぐつの状態で出されるその土鍋の麻婆豆腐は、シビレが強烈で、当時の自分なら完全に好みじゃないんですが、シビレを我慢してもいいと思えるくらいに香りが良くて、抜群においしかったんです。
前職の職場も近かったため、そのおいしい麻婆豆腐を求めて、基本は週1、胃のコンディションがいいときは週2ペースで通いました。
当時はむしろ、"このシビレはおいしい麻婆豆腐を食べるための代償"くらいに思っていたんです。
シビレに目覚めた瞬間
そんな風に定期的に食べてると、やはりシビレ自体にも慣れるもので、ほかの店で出会うちょっとしたシビレもすんなり受け入れられるくらいには、克服していました。
そうして【五指山】に通いはじめてから半年ほどたった頃、初めて「あ、自分シビレにハマってたんだな」と気づく出来事がありました。
それは、別のお店で、逆にまったく花椒がきいてない麻婆豆腐を食べたときのこと。なにかとてつもなく物足りなさを感じたのです。気の抜けたコーラを飲んだような……。
その原因が、しっかりとシビレる感じがないことだと気づくまでに、そう時間はかかりませんでした。
だから実は、シビレの魅力に気づいた瞬間は【五指山】の麻婆豆腐を食べたときではないんですが、その魅力に気づかせてくれたのは間違いなく【五指山】に通っていたからなんです。
ちょっと大げさに言うと
ある時には気づけないけど、失って初めて、その存在の大きさに気づいた
のです。
…っと、そんなくだらないことを考えている間に目的の松陰神社前に着いたみたいです。
バスを降りると街の風景はとっても穏やか。そこから歩いて3分ほど、商店街の真ん中に目あての店が見えてきます。
店に入った瞬間から辛旨な感じのいい香りが……
かなり久しぶり、かつ世田谷に移転してからは初訪問。店に入った瞬間から香辛料のいい香りが鼻をくすぐります。神田の店でもそうだったな、と思い出しました。
私は『麻婆豆腐』、同行してくれた東は『担々麺』を一つずつ、それと焼売を注文します。
麻婆豆腐ランチはライス付1000円
これこれ、この、具がぎっしりしていて密度の高い麻婆豆腐!
汁気は少なめで、豆腐は大きなものと細かく粉砕されたものが混じっていてひき肉たっぷり。青ネギを散らし、花椒を惜しみなくかけています。
土鍋で提供されていた神田時代とは変わって、テイクアウトもできそうな容器で出てきますが、麻婆豆腐自体は見た感じまったく同じ。
ああ、久しぶりだ……!
ちなみに、ほんとうにボリューム満点なので、とくに女性なら「麻婆豆腐、ご飯両方少なめで」とお願いするくらいでも満足できると思います。麻婆豆腐単品は900円ですが、ライスは辛みやシビレを中和してくれるので、初めての方はあったほうがいいと思います。
『担々麺(小ライス付)』980円(テイクアウト不可)。注文した東が、食べた瞬間に思わず「胡麻っ!!」と声を上げるほど、胡麻の味と香りが濃い。絶品です。
『焼売(しゅうまい)』は豚肉入りで5コ500円。
圧倒的すぎる香りとシビレ
一口食べた瞬間から、花椒の独特の香りと熱した豆板醤の香りがたまりません。このいい香りが、【五指山】の麻婆豆腐の魅力ですね。さらに"辣"の辛みをまとった挽肉の肉肉しい味わいがじゅわっと広がり、口の中は一気にヒートアップ。
そして、"辣"の辛みのあとにやってくる、"麻"のシビレ……ところが、辛さとシビレとで口の中が麻痺してくると、今度は旨味が際立って感じられるようになってくるから不思議……。
余談ですが、いくらシビレが好きといってもあまりにシビレが強いと、口の中が麻痺してほかの料理の味はよくわからなくなります。とくにビールは味が変わり、別の飲み物かと思うほど。
ふたたび余談ですが、辛くてシビレる麻婆豆腐とご飯を交互にほおばっていると、その繰り返しの動作に次第に無我夢中になります。私はこれを、“マーボーズ・ハイ”と呼んでいます。
焼売はやわらかい食感ながら、肉の感じもしっかり
食後の爽快感こそ、花椒のシビレの最大の醍醐味!
だくだくと汗をかきつつ麻婆豆腐を食べ終わって、冷たいお茶でひと息。
それからちょっとすると、さっきまでの熱々な刺激がまるで嘘のように口から辛さもシビレも取れ、なんとも心地いい爽やかさが訪れます。ちょっとしたお風呂上がりのようなすがすがしさです。
これこそ、シビレの醍醐味……!
私が思うに、その快感の正体は“緊張と緩和”だと推測しています。あえて、強い刺激を与え続けることで、そこから解放されたときに快感を得る。
「最初は嫌だと思うことほど、ハマるとクセになる」
とは、私が愛してやまない『ジョジョの奇妙な冒険』に出てくるセリフですが、私にとってのシビレはまさしくその言葉通り。苦手な人でも…いや、苦手な人にこそ、ぜひ一度【五指山】の麻婆豆腐を味わってほしい。その出会いはきっと、あなたを深きシビレの世界へと導いてくれますよ!
【五指山】、また来ます。
ヒトサラ編集部・郡司 周
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