「夕暮れに夜明けの歌を」読了
SNSで知った、奈倉有理さんの著書を読み終えた。
2002年から始まったロシアでの留学生活と、文学を交えたエッセイの短編が連なる。あいにくロシア文学はさっぱり判らなかったけれど、彼女の学生生活の描写から当時の様子が垣間見える。
真面目に仕事をしない大学職員、警察官、国粋主義に心酔する若者。
突然逮捕されて消えてしまった青年、そして「人が消えるのはたまにあることなんだ」との関係者の発言。
…油断出来ない。
彼女の学生生活は真面目そのもの。図書館で過ごす傍らで女友達と外出したり、料理を作ったり。
でも「勉強しかしない日本人の子」との評価を頂く程の研究者体質だった彼女が一番シンパシーを感じたのは懇意にしていた恩師だったのだろう。
その恩師も亡くなられたとの事。
晩年の恩師の生活は、ちょっと信じられない描写。
2018年のロシア社会、しかもモスクワで、そんなことあり得るの?モスクワだから?
彼女が通っていた大学が特殊なの?
この本がその恩師の方へ捧げられてるような気がした。
良い本でした。電子書籍が出てるなら買おうかな(今回は図書館で借りた)