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ストーリー

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ホロスコープのハウスや惑星の象徴のキーワードからの創造のお話 一人の人間の中に、一人の人間の外になにがあるのか。
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2021年12月の記事一覧

0と1  第九話 あかいりんご

りんごの皮むきをしていた。

7歳のころには0はりんごの皮むきが上手だった。果物ナイフで器用にりんごの側面に角度を合わせ左手の指先の位置をずらしていく。

誰かの為に、りんごを剥いたことはない。
皮むきを初めてしたのは6歳の頃だ。

多分生まれて初めて自分の為にやろうとした行いだ。

祖父母の家で暮らす前の頃。当時暮らして居たマンションには、菓子パンとりんごが、いつもリビングにあった。

りんごが

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0と1  第八話 0への色

「ねえ、新しいワンピースこのオフホワイトのかボルドーどっちか、迷ってるんだよね。1はどっちのが好き?あたし、1の好みに全然あわせるよ。」

1はスカーレットの色についてぼんやりと考えて居た。

暖かく、鮮やかさより深みと融合を感じる赤。それについて考えていた。マリの声に遮られても、考えは中断しなかった。

俺は、あまり赤って好きじゃないんだけど。

なんでこんな事を考えて居たのか?

「ちょっと、

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0と1  第七話 故郷望郷

訪問者は日常の外側にいる。

けれど何時もそこに居る。

片方の手のひらを差し出し、虚空のなか打ち合う音を聞く時、我々は同じ空間にいる。

隻手。その境地にいる者なのかもしれない。

僕らは、見ようとする。

何時も絶え間なくある音を聴くのも忘れて。

音は純粋な情報だ。見る事よりも先だ。音は形をつくる。作られたモノを僕らは見つける。そして心が動くように思う。

心は、音を聞いた瞬間に分かっていた

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0と1   第六話 ぼくは

僕はずっと誰かの感情がわからなかった。
いや、わからないフリをしていた。

いつからだろう?

それを考えるといつも想い出す記憶がある。

ずっと昔。まだひらがなも書けないくらい幼い頃。

誰かが泣いていた。
ああ。弟だ。

痛いな。

弟のすすり泣く声に僕の体が痛むのだ。

「どうしたの?痛いの?」

弟は壊れた壁掛けのカラクリ時計を指差して
「壊れたの」 
と言う。

「壊れたから悲しいの?」

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0と1 第一話

私は 01010。通称ゼロ。

特徴は肩まである黒いストレートのしっかりした髪だ。

体格は痩せ気味。だと思う。

骨格、体のラインはいくらかストレートな線を保って居る。

 

午後
何時だったかうろ覚えだが 1 と会う約束をしてた。
”1”は”101011”私は「いち」って呼ぶ。

付き合いはそんなに長くない。初めて会った時はまだ桜も咲いていないくらい寒い季節だったと思う。

全部うろ覚え。だ

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0と1  第四話 言葉と距離

二人は窓際の2名席に向かいあって座っていた。

外の銀杏並木が程よく色づき始めている。

モンブランケーキを君が目を細めて、しっかりと幸福の味を堪能している。

ストレートのダージリンをゆっくりとポットからしずかに注ぐ0。
細い指先が白い陶器に添えられるとぐっとその無機質さと対照さをます。それは一つの美しさだ。1はそっと視線を外しながら思った。

「で、彼女とは今後も付き合っていくわけ?」
「付き

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0と1  第五話 盲目と毒

私の思いは、いいえ。夢は自分の存在ごと消え去ること。

別れた恋人の家にわざと自分の持ち物を置いていく女もこの世界にはいる。

わたしは相手に残った、私の記憶ごと消し去りたい。

心を深く通わせた人ほどそうだ。

私という者の痕跡が一切残らないように消え去りたい。    

自殺願望じゃない。 

一切を、この世界のすべてと私を切り離しておきたい。

境界線をきちんと自覚する為。
それが私が幼少の

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0と1 第三話 距離

二人は改札を抜けホームへ。
丁度階段を降りた頃に電車が到着。

そのままシートへ腰をかける。平日のこの時間の車両は程よく人気がない。
アナウンスがなってやがてドアが閉まる。

0は閉まり切るのを目視していた。

通路を挟んだ向かいに1が腰をかけている。
柔らかな前髪が彼の美しい額にかかる。
傾いた日差しが1の横顔のラインをぼかしている。

二駅先で降りるのに、彼は本をまた開いた。0の方へ顔はあげな

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0と1  第二話待つ君

駅の改札横のコンビニの壁にその姿はあった。

スカーレットレッドのニットのミトン手袋を脇に挟んで壁にもたれて小説を読んでいる。時折本を閉じかけ人の行き来を黒い瞳がせわしなく追う。

約束時間から15分経過。

そろそろかな。ロータリー側に目をやる。

白いシャツに黒いパーカを重ねた、細いシルエットを見つける。

0だ。

「ごめん。またせて。」
「全然。何時もより早めについたね」

「・・・合格?

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