「よい移民」のトークイベントに登壇しました
神戸の古本屋ワールドエンズ・ガーデンさんで行われた、書籍「よい移民」のトークイベントに登壇してきました!
イギリスで出版された本書を翻訳した栢木さんと、本のファンである私が読者目線から対談するという内容。
「よい移民」は、イギリスに暮らす移民2世・3世が自身の経験をつづったエッセイ集です。
私はまず、全体の感想として「自分も外国に住んだことがあり、夫は日本に移住した外国人、さらに外国ルーツの子ども支援をしている中で、そういった人々に理解がある方だと思っていた。しかし、理解しているつもりになっているだけ、何もわかっていないということがわかった」とお話ししました。
イギリスの話ではあるけれども、個々のエピソードが具体的で生活に密着しているため、「移民」というテーマを超えたリアリティがあります。イベント後にもらった感想でも、「自分は外国ルーツではないが、社会の中でマイノリティだなと感じる瞬間はある。女性であることだったり、周囲との格差だったり。そこで抱いたモヤモヤが言語化されている」というのがあり、その通りだと思いました。
この本の印象的なエピソードの1つに「モデルマイノリティ」に関する話があります。移民であっても、スポーツに堪能だったりすばらしい事業を成し遂げたり、その国に溶け込む努力を惜しまなかったり。そういう「よい移民」は受け入れられるが、それ以外の移民は「悪い移民」として見られてしまう。
例えば「日本人は勤勉だ」などの一見「よい」イメージであっても、そのステレオタイプを受け入れることで窮屈な人生になるのではないか。なぜ、外国ルーツというだけで人一倍「よい人間」になることが求められるのか。
私が最近気になっているのは、Netflixの番組「テラスハウス」に出てくるイギリス人の青年です。
この番組は、基本的には日本人の男女6人がおしゃれなシェアハウスに住み、恋愛や夢を成就させようとするリアルバラエティ。そこに最近、漫画家を目指すイタリア人の青年が入居してきました。
彼は、番組出演の理由をこう語ります。「日本でイタリア人と言うと、遊び人、不真面目みたいなイメージがある。僕がテレビに出ることで、そうじゃないイタリア人もいることを知ってほしい」。
彼もまた、ステレオタイプのイタリア人像を自分の中に取り込み、それに反発することで「よい移民」になろうとしている。その努力は否定されるものではないと思います。
番組は今のところ、彼が何かよいことをすれば「イケメン」「さすがイタリア人」と持ち上げます。しかし、今後もし彼が普通の若者のように、恋愛で心変わりしたり、誰かに思わせぶりな態度をとって傷つけたりしたら言われるのでしょう、「やっぱりイタリア人だ」と。
栢木さんはイベントで、自分の生き方に悩みながら日本で暮らす人がいつでも手に取れるよう、書籍「よい移民」は図書館や古本屋に並ぶ本になって欲しいとお話されていました。多様性を考える本がもっとたくさん出版されて、「色んな人生の選択肢があるんだ」と伝わる社会になればと。
そんな栢木さんの思いを伝える「よい移民」トークイベントは、今後も続きます。
今週28日(土)は福岡・天神で
https://docs.google.com/…/17KF2xjwqOEBTarob_E5DwN…/viewform…
10月18日(金)は京都・出町柳で。
http://cvbks.jp/2019/09/10/goodimmigrant/
気になる方は、本を読んでいなくても大丈夫ですのでぜひ足を運んでみてください。
本に関する概要を書いたブログ→「21人の人生の物語~「よい移民」刊行トークイベントレポ」
和歌山で行われたケイン樹里安さんとのイベントレポ→「よい移民」和歌山トークイベントレポ
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