[無料]妊婦さんに対しての鍼灸基礎治療 臨月・生産期編
前回の妊婦さんに対しての鍼灸基礎治療 妊娠初期〜後期編に続き
今回は臨月〜生産期編です。
臨月が36週〜39週6日、
生産期は37週〜42週前までのことを定義します。
■臨月
◉臨月期の主な主訴と治療
胎児の成長や母体の具合に特に以上のない場合は肩こり腰痛などのアプローチをしても特には問題ありません。
(ただし禁忌穴や腹部などを除く)
他に多い訴えとしては坐骨神経痛、恥骨痛、不眠、精神的緊張や不安などが挙げられると思います。
*腰痛・坐骨神経痛
腰部の刺鍼度に気をつけるなどして比較的通常治療で行いますが、冬場で寒冷による筋肉の緊張などあれば施灸するなどその方の状況や具合をしっかり診て判断し臨機応変に治療していきましょう。
この時期の妊婦の方の腰痛・坐骨神経痛は臀部から下が全面的に張っていることが多い印象で、冷えがある人もまた多いです。
歩行など見ると、特に股関節が固まっていて(動いてなくて)膝で歩いてる様子が見受けられたりします。
原因はいくつかあり、元々腰痛などがあり臀部周囲の緊張が強く動かせていない、そもそも妊娠関係なく元からそういう歩き方、
当事者的には「お腹が重すぎて苦しいし すぐ息も心拍も上がるし、少しでも楽に歩きたい〜」という気持ちなのでアライメントや歩行を見て、こうなってるからダメですね〜とかいうクソカス下痢コメントは絶対にしないでください。基本は好きでこうなってるわけではないので。
股関節を動かす気にならないし辛いしめんどい、ので
・股関節を動きやすくしてあげること
・腰臀部から下の筋緊張を取る
・妊娠中であればアライメントや歩行が崩れていても楽な姿勢や歩き方で過ごして、産後以降にちゃんと戻すようにすれば全然問題ないです と伝えましょう。
またお尻の筋肉を十二分にほぐしておくことで出産時に骨盤が開く際スムーズだと思うのでしっかり時間をかけてやるとその後も良いでしょう。
処方穴に関しては腹部以外通常治療配穴と同様のものをほぼ使用しますが
特に 環跳・居髎・風市・陽陵泉・腰腿点などおすすめです。
*恥骨痛
ご存知かと思いますがこの時期はホルモンの関係上、骨盤一体を開こうとするためバランスが破綻し恥骨(結合)や仙腸関節に痛みが生じることがあります。
骨盤周りが開こうとしてるのは止める必要はないですが、疼痛は除去したいので
仙腸関節のラインから側臀部(できれば鼠径もだけど深追いしなくてもいい)、
内転筋群のアプローチで片付けていきましょう。
特に内転筋群の張りや硬さがある場合は症状が強い傾向にあるかもしれません。
大腿前面含めしっかり診て解しましょう。
また一歩も動けないような場合(往診などで診れる時)は三陰交の追加も良いと思います。
響かせないで長めに刺鍼、もしくは千年灸など温灸で熱い手前まで据えるくらいで良いでしょう。
その他、陰包・血海・陰陵泉・太谿・照海など良いでしょう。
骨盤ベルトも予防や症状軽減になるのでお勧めしましょう。
(私は特に痛くなったりはしなかったけどつけてると楽なのでしてました。)
*頻尿
私もそうだったのですが、膀胱が押されるため尿意を感じてトイレに起きるなどの場合 正直鍼をもってしても難しいケースもあります。私は幸いにもトイレに起きてもまたすぐ眠ることができたので特に何もしませんでしたが、人によってはそのまま眠れなかったりする場合もあるでしょう。
圧迫しているのは胎児のいる子宮であり、水分は必要量取るべきなので
圧迫が第一の原因である以上その原因を取り除くという事は産後までできません。
ここである種のテクニックなのですが、もちろん上記の例の場合だったら水分調整などの治療もしますが
こういう仕組みでこういう具合で今こうなっている、ということをわかりやすく患者さんが納得するまで説明することが第一です。その後私だったら
『(説明後)頻尿で起きてしまう原因がお子さんが成長した子宮による圧迫なので、多少体の水分循環調節をする事はできるけれど、子宮をどうこうする事は残念ながらできません。治療をしても夜起きてしまう事は変えられないかもしれない。就寝前の水分を少なめにしたり体を冷やさないようにしたりなど自宅でできることもあります。トイレ後、眠れなくても横になっているだけでも体は休まるので、無理に寝ようとしなくていいし 昼間眠れるようであれば寝れば良いし、1番患者さんの最大限『楽』な方を選択してください。
大変だと思いますが出産までの間うまく付き合うために私もできる限りのことをしていくので○○(患者)さんの力を貸してください。』とあくまでも例ですが、このような感じで説明に添えます。
要するに治療的に『詰み』の状態だとしてもどれだけ患者さんに寄り添えるかどうかなので、自分があなたに対して尽力したいという姿勢があればきっと伝わるでしょう。(まあ 妊娠に限らずだけど)
説明を聞いて納得したかどうかでなどで上記を加えたり加えなかったりします。
臨機応変に状況次第ですが、いわゆる「おはなし」のスキルも治療家にとっては重要能力だと思いますのでぜひ皆さん手を抜かないようにしてくださいね。
(昔、話しただけでぎっくり腰を治した話はいつかします。いつか…)
水分代謝には
三陰交(浅めに長く打つ・小さい灸頭鍼・温灸などいずれも低刺激)・陰陵泉・豊隆など
(自宅で 会陰をローラー鍼でコロコロしてもらう、やり方もあるけど現実的でないかなぁ)
*精神的緊張・不安
妊娠中から不定愁訴やイレギュラーな問題にあれこれ悩みが尽きなかった私ですが、やはり最大限と言っても過言ではない
「出産の痛み スーパー恐怖!!!!」
というのがありました。案ずるより産むが易しというけど
あ?だからなんだよ?
うるっせ〜〜〜〜〜〜〜〜!!パ〜〜〜〜〜ンチ!!!!!!と思ってました。
世間一般的には、痛みもそうだけど無事に出産できますようにとか、健康に生まれてきてほしいなどだと思いますが
妊娠し今日まで抱えた不安は赤ちゃんに会うまで解消されません。
ですのでこちらも本治ではなく標治で行っていきます。
内関・神門・膻中・天柱・風池・頭部の反応点など
また、憂鬱でやる気が出ない、不安で眠れないなどその他訴えに合わせてプラスして処方してください。
■生産期
いよいよ といった事ですが、通院していた方はそもそも来れなくなることが多いと思うので治療する機会は殆ど無いかもしれません。
もし可能であれば出産に向けて
出産時の痛み軽減、出産時の促進、出血過多防止、後陣痛軽減など施しができるかと思います。
直接治療ができなくても置き鍼を置いておくだけでも十分効果があるし、セルフケアもやっておくだけで違うということをわかってもらうのも技術です。
じゃあどこに置き鍼を置くか??
出産期間近のセルフケアってどんなことしてもらったらいいの??
そもそも産痛緩和のツボって??
出産の促進てどうしたらいい??
……と最重要事項ですが 申し訳ないのですが、無料公開記事はここまです。
(一般向け記事など一部無料で読める物も結構あります)
続きは
にて公開しています。
実際自分の産前産後・分娩前後に使用した経穴や効果、どう行ったかなど
細かくお伝えしていきます。
マジで鍼やっといてよかった〜という点も
もっとこれ旦那(付き添い人)にやらせとけばよかった〜という点もあるので
結構参考になると思います。
鍼灸師など治療家さんはもちろん助産師さんやこれから出産を控えてる一般の妊婦さんにも読んでほしい…!
気になる方は是非購読してみてください!
いただきましたサポートは感謝の舞を踊り祈ったのち、記事制作等に使用予定です。