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消費者は、商品・サービスではなく、〇〇を買っている【ヒットの因数分解#2】
商工会議所および商工会には、「専門家派遣」という経営課題の解決に最適な専門家に個別の経営相談に無料でのってもらえる会員向けサービスがあります。
私も商工会議所・商工会ではIT活用などの専門家という立場で個別相談をお受けしています。
この専門家派遣でご相談をお受けする内容で多いのが「売上拡大につながるSNSの使い方を教えて欲しい」というもの。
それでも専門家か!?と言われそうですが、これが簡単そうに見えて、実は非常に難しく、いつもどこからお答えしたら良いか悩む相談です。
なぜなら、SNSは情報を届ける「手段」であり、それ以前に人は欲しいもの、必要なものしか買わないので、まず欲しいと思われる状態になっているか?が重要だからです。
そのため、個別相談でもSNSの使い方の指導から入らず、必ず商品・サービスの特徴をヒアリングし、売れる状況になっているか?をまずは確認しています。
今回の記事では、SNS活用の前に、商品・サービスがお金を払う対象になっているか?を整理してみます。
人がお金を払う理由
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端的にいうと、人がお金を払う理由は課題や悩みの解決、もしくは欲求を満たすためです。
逆にいうと、商品・サービスそのものが欲しいわけではないのです。
その商品やサービスを購入することで抱えている課題や悩みが解決できたり、欲求を満たすことができるからお金を払って購入するのです。
たとえば、サプリや薬を買うのは、サプリや薬そのものが欲しいわけではないですよね?
何かしら体調不良があって、それを治すために薬を買い、不足している栄養を補うためにサプリを買っています。
また、高級寿司店が今の時間だけ80%オフで食べれます!というキャンペーンを目にしたとしても、焼き肉を食べて満腹であればたとえ高級寿司が80%オフで食べれるとしても食べようとは思いません。
空腹であれば飛びつきますが、満腹であれば買いませんよね。
でも、商品そのものが欲しいのであれば、80%オフのお得な時に買うはずです。
つまり買うか買わないかの判断は、商品側にあるのではなく購入者の状況に依存するのです。
伝えるべきは、商品の魅力ではなく、顧客のメリット
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まずこれを理解していないとSNSがうまく使えません。
なぜなら、商品・サービスの売り込みばかりをしてしまうからです。
では、SNSでは何を発信したらいいか?といえば、商品・サービスを購入することで、どんなメリットがあるか?です。
メリットとは、どんな課題が解決できるのか、またはどんな欲求を満たせるのかです。
自分が消費者として何かを購入する際は、当たり前のように無意識でこのような購入によるメリットを考えて購入の意思決定をしているのですが、無意識だからこそ売り手になると商品・サービスをアピールしがちです。
なぜそうなるかというと、自分の時間とお金を投資して生み出した思い入れの強い商品・サービスであるため、その商品・サービス自体が素晴らしいものであることを理解して欲しいという思いからきます。
ここで誤解の内容にお伝えしておきたいのですが、商品・サービス自体の素晴らしさは、それは購入して体験してみないとわからないため、初回の購入理由にはならないということです。
ただs、リピート購入はこの質に依存しますので、継続的に売れ続けるためには品質の高さが最重要です。
SNSは基本的に潜在顧客を発掘し、新規顧客になってもらうことが狙いとなるため、アピールすべきポイントは商品・サービスそのものではなく、それを購入するとどんなメリット(課題解決、欲求の充足)があるかか?という点になります。
ここがしっかり理解できていない中で何時にSNS投稿をしたら反応がいいのか?、1日何回投稿するのが最適か?などのテクニックだけ覚えても、伝わらないことを伝え続けても徒労に終わります。
だからこそ、SNSを使う前に伝えるべきポイントがしっかり理解できているかを確認し、できていなければ一緒にポイントを整理することから行っています。
600者以上の事業者さんのお話を伺ってきた経験からいうと、業界のプロになればなるほど当たり前にやっていることが、外から見たら売りのポイントだということは非常に多くあります。
中小企業庁が全国の各都道府県に「よろず支援拠点」という無料の経営相談窓口を設置しています。
私が宮崎県よろず支援拠点のコーディネーターとして支援した事例が全国の優良事例に選ばれ、その中の3つだけがITメディアエンタープライズというWEBメディアに掲載されています。(事例の2です)
ご興味ある方は、ぜひご覧ください。
欲しいのは、商品ではない。変化である。
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さて、話を戻します。
お客さんが欲しいのは、商品・サービスではなく、課題解決であることはすでに述べましたが、課題解決というのも抽象的でわかりにくいので、もう少し別の表現をしてみたいと思います。
現在は薬機法で表現が規制されていますが、以前はダイエット商材などでBefore Afterの写真を見たことある方は多いのではないでしょうか?
まさにこれが「痩せたい」という課題を持つ人に、「痩せれますよ」という解決策を伝えているものです。
言い換えれば、課題のある状態(Before)から、商品・サービスを購入した後(After)の「変化」を期待して買っているのです。
消費者はなりたい未来像があり、そうなるために自力ではできないため、その未来を手にするための「手段」として最適な商品・サービスを購入している訳です。
・空腹(課題)→満腹になりたい(変化)→ご飯を買う(商品購入)
・肌が荒れている(課題)→綺麗な肌になりたい(変化)→サプリを買う(商品購入)
・最近太った(課題)→痩せたい(変化)→ジムに行く(サービス利用)
このように、商品・サービスを買う理由は、このような(自分の)状態の変化が欲しいのです。
ただし、変化の方向は、
・マイナス状態→±0
・マイナス状態→プラス状態
・±0→プラス状態
のプラス方向への変化をもたらすものでなければなりません。
(お化け屋敷や肝試しを除く)
だからこそ、SNSで発信すべきは、どんな課題を解決できて、未来にどんな変化が得られるかです。
ただし、このBefore Afterは、薬機法や景表法などで誇大表現とみなされる場合もありますので、美容・健康などのアピールには要注意です。
売れるか売れないかは、まずはここが重要なポイントです。
あなたの商品、サービスはどんなお悩み解決ができますか?どんな欲求を満たせますか?
SNSを使う前に大事なのは、まずはこれをしっかりと言語化できるようにしましょう!