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栄枯盛衰、盛者必衰のコントラストは、とても美しい ~「ラストエンペラー」(イタリア・中国・イギリス・フランス・アメリカの合作映画)

映画の冒頭。

何もわからぬままに、全てを手に入れた3歳の皇帝が紫禁城から見下ろした圧倒的な数の従者がひれ伏している風景。

最後。

時代に流されるままに、全てを失い、おそらくは幽体となった元皇帝が、かっての居城にて、見上げた、誰もいない紫禁城の風景。

この、すさまじい栄枯盛衰、盛者必衰のコントラストは、強烈な色彩と共に目に焼きつく。
そして、そのどちらのシーンもとても美しい。

紫禁城を眺める男の立場は変わった。
大きな時代のうねりに巻き込まれ、完全に真逆の方向に、男の立場は変わった。
しかし、紫禁城と周囲の自然は変わらない。ただただそこにある。

人の悲しみも、人が生み成した出来事の数々も、すべては歴史のうねりの中に飲み込まれ、やがて忘却の彼方に去っていく。
しかし、その営みの背景にあった物や自然は、そのままに、ただただ、泰然と、そこに存在している。

冒頭と最後のシーンの対比。
それは、ただただ美しいとしか言いようがない。

この作品は、映画としては、冗長な気がするが、当時の衣服の状況、建物の様子、坂本龍一の音楽をエッセンスにして、楽しめばよいのかもしれない。


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hisataroh358
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