ラストの笠智衆の演技にもらい泣きする ~「秋刀魚の味」(小津安二郎)
小津安二郎監督の最後の作品。
おなじみの笠智衆に、岩下志麻(かわいい!)、そして佐田啓二が出演。
結婚適齢期を迎える娘の、結婚までの顛末をユーモアたっぷりに描いている。佐田啓二の兄貴っぷりもいいし、岩下志麻のはつらつとした演技もいい。
でも、一番胸を打つのは、父親役の笠智衆の演技。
娘をもった父親にはいずれ訪れるであろう宿命的な娘との別れ。そんな状況に遭遇する父親像を巧みに演じている。
この映画にもいいシーンがたくさんあって、加東大介や岸田今日子とともに、笠智衆が軍艦マーチを聴くところとか、もと教師の東野英二郎を囲む会の風景とか、戦争の記憶がまだ新しい時代だったことを十分にうかがわせるし、そこから自立して、高度成長時代に突入していく日本の姿なんかも垣間見れたりする。
ラスト。
娘の結婚式の夜。
帰りたくないかのように仲間と飲んで、酔っ払って帰ってくる父親。
洗面台で水を飲みながら、ひっそりを涙をながす・・
そのシーンに心を打たれます。
小津監督の遺作となったこの作品。
必見です。
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