#マイトレーヤ
【大乗仏教】唯識派 唯識二派
六世紀の初頭にナーランダー出身の徳慧(グナマティ)は西インドのカーティアワール半島にあるヴァラビーに移り、彼の弟子である安慧(スティラマティ)に至って、この地の仏教学は最盛期を迎えたと言われます。同じ頃、ナーランダーにおいては護法(ダルマパーラ)が活動していましたが、安慧(スティラマティ)と護法(ダルマパーラ)の間には唯識説の解釈に相違がありました。
前者は阿頼耶識が最終的には否定されることで、
【大乗仏教】唯識派 三性説⑤
弥勒(マイトレーヤ)の三性説の説明が長くなってしまいましたが、今回は無著(アサンガ)の著書である『摂大乗論』における三性説を見ていきます。
・依他起性(雑染と清浄の二分)
阿頼耶識を種子とし、虚妄分別によって集められた表象(相分)です。阿頼耶識という種子から生じた十一種の表象が説かれますが、これらは阿頼耶識の種子から生じた六識の内部にある六根・六境・器世間といった相分と同義と考えられます。
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【大乗仏教】唯識派 三性説⑥
三性説の最後に、世親(ヴァスバンドゥ)の三性説を見ていきたいと思います。世親は『唯識二十論』等において、表象主義的な唯識論を展開していたため、おそらく無著(アサンガ)と同じく有形象唯識論側な唯識観を持っていたと思われます。
依他起にとって、遍計所執がなくなった状態が円成実であると世親(ヴァスバンドゥ)は考えているため、この点は無著(アサンガ)の三性の解釈と同じであることが分かります。
・遍計所