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大乗仏教 空の思想

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#お釈迦様

初期大乗仏教の経典

初期大乗仏教の経典

今回から「初期大乗仏教」の記事も書いていきます。初期とは中観派の龍樹(ナーガルジュナ)が登場する以前の大乗仏教を指します。

上座部仏教(小乗仏教)と大乗仏教の分裂については上の記事をご参照願います。今回は初期大乗仏教の経典について簡単にお話ししていきたいと思います。

【初期の頃の般若経典】
最初期の般若経として「八千頌般若経(小品般若経)」や「金剛般若経」が挙げられます(紀元前後~1世紀頃の成

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【大乗仏教】空の思想 切断するものとしての金剛石

【大乗仏教】空の思想 切断するものとしての金剛石

般若経典の一つである「金剛般若経」には、「空」や「大乗・小乗」のような言葉が登場しません。そのため、「八千頌般若経」よりも先に書かれたのではないかとする説もあります。「金剛般若経」では独特な言い方で「空」が表現されています。

※大乗仏教の経典にも釈尊が登場しますが、大乗経典が執筆された頃は既に故人となっているため、学術的には直説とは考えにくいです。しかし、科学を超えた世界観も考慮する場合、大乗仏

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【大乗仏教】空の思想 不来不去

【大乗仏教】空の思想 不来不去

今回は「八千頌般若経」で説かれる「空」について見ていきたいと思います。「金剛般若経」に関する下記の記事の続きになります。

前回の記事にて、初期大乗仏教の「空」は①でなく、②ではないかと筆者は考えていると述べました。これはあくまで筆者の私見であり、一般的には②説よりも①説が有力視されています。

前回の「金剛般若経」において、如来とは「真如・生ずることはないという存在の本質・存在の断滅・究極的に不

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【大乗仏教】空の思想 智慧波羅蜜/随喜と廻向

【大乗仏教】空の思想 智慧波羅蜜/随喜と廻向

今回は「智慧の完成」、すなわち智慧波羅蜜(智慧波羅蜜多)について、引き続き「八千頌般若経」で内容を見ていきます。智慧波羅蜜は別名、般若波羅蜜です。「般若(はんにゃ)」とは智慧を意味するパーリ語(巴語)のパンニャーの音写です。

○六波羅蜜(六種のパーラミター)
菩薩の修行項目である{布施波羅蜜・持戒波羅蜜・忍辱波羅蜜・精進波羅蜜・禅定波羅蜜・智慧波羅蜜}を六波羅蜜または六波羅蜜多といいます。第六番

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