【詩】オルゴールとムネ肉
寂しさで胸が苦しすぎる夜
切なさで胸が痛すぎる夜
どうにかどん底にも意味を持たせたくて
底に言葉をがりがり彫っている
「みんな丸くなっていったね」と
ウイスキーの四角いボトル相手に呟いている
オルゴールのピンが歯を弾いて
甘い音楽を奏でるようにして
煙草を指でとんと叩いて灰を落としながら
白黒の思い出を奏でている
そしたら記憶の彼方から君の
果たされることのなかった「またね」が聞こえてきて
胸が粉々に弾け飛んでしまったよ
追憶はオルゴール式起爆装置
散らばった肉片を拾って食べてみたけど
このくそったれムネ肉は
ねぇ、とても苦い味付けだよ