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【連載開始】組織づくりのための理論①

高校生の時に文化祭の準備で”男子と女子の対立”が起きたり、大学のサークル内で不仲になる人たちがいたというような経験は、誰しもありませんか??

社会人になっても、基本的には会社やコミュニティの「チーム」に属して活動するけれど、そのチームに関する理論って少ないよね?という問題意識から、noteを書いてみます。

ベースとなるのは、堺屋太一氏の『組織の盛衰』という本。1996年発売だけど、理論としては全く古くない。多分、2050年に読んでも、目から鱗が落ちる内容ばかりで、没頭して読むこと間違いない名著

今回のnoteでは、『組織の盛衰』の内容を参考にしながら、関連する経営組織論や組織開発の理論も織り交ぜつつ、「組織づくり」についての理論を描いてみたい

時代は変われど、人が集まればグループが形成され、コミュニケーションが発生する。でも、必ずしも全ての人間関係が円満となる訳ではなく、揉め事・争いごとが発生してきた。いわば、人間関係の悩み事は人類の宿命だ。

【組織とは】


組織の定義といえば、サイモンの組織論やバーナードの理論が有名。特に、バーナードが提唱した「組織が成立するための3つの条件」が分かりやすい。

バーナードは、組織が成立するためには、次の3つ全てが必要だと説いている。

①コミュニケーション
②協働意欲
③共通の目標

これら3つのうち、どれか一つでも欠けている場合には不完全な組織として、組織が健全に機能しなくなる。加えて、組織とは「意識的に調整された2人、またはそれ以上の人々の活動や諸力のシステムである」と定義づけられる。

【チームとグループって違うの?】


より、組織を分かりやすく理解するために、「組織ではない」ものとの比較をしてみる。そこで参考になるのが、スティーブンP.ロビンス著『組織行動のマネジメント』における「チームとグループの違い」という考え方だ。

身近な例でいえば、グループは大学のサークル活動、チームは軍隊や勝利至上主義の部活あたりをイメージすると分かりやすい。たとえば、ゆるーくテニスが出来ると思ってサークルに入会したのに、大会で優勝することを至上命題とする「部活みたいなサークル」だったというエピソードは、よく聞く。

このような認識のズレは、まさに「チームとグループの違い」から生じているといっても過言ではない。ロビンスの言葉を借りれば、「集団的な業績(大会で優勝すること)」を求めて「積極的・共同的」な参加が求められるのだ。

【堺屋さんのいう組織の定義】


一方で『組織の盛衰』では、組織は次のように定義される。

①組織を構成する人
②共通の目的と共通の意思
③一定の規範
④命令と役割
⑤共通の情報環境

少し解説すると、①は構成員として”ヒト”の存在が筆頭だよねという話。②はバーナードの視点と極めて似ている。

特に興味深いのは、次の3つ。

③一定の規範
牛やネズミの群れが、獲物を追いかけて一斉に同じ方向に走り出すことがある(共通の目的は獲物の獲得)。ただし、それは組織とは呼べない。そこに、共通の美意識や倫理観(これが規範)があって初めて、組織といえる。組織の中には、「善/悪、美しい/醜い、正義/悪逆」といった規範が必ずある。ロビンスのいう「目標」あたりと符合する。

④命令と役割
いわゆる、ヒエラルキーとしての命令と役割を想像されるかもしれないが、それだけに限定されない。家族や地域社会のような共同体的コミュニティでは、誰が命令権を持つかが曖昧であったりする。それでも、常に何かの”力学や政治”が働き、コミュニティは運営されていく。ここに組織の複雑さ・難しさがある。

⑤共通の情報環境
組織に属しているということは、その組織特有の情報へのアクセス権を有する。仮に、組織の構成員ではなくなった時(退職等)には、その情報が入ってこなくなることを意味する。同じ組織に属していると思っていたけれど、異なる情報環境が生まれ、異なる規範ができたとしたら、その組織は分裂したと言わざるを得ないかもしれない。

この5つの要素を備えたものが組織であり、それが強ければ強いほど組織としての存在感が明確になると堺屋氏は言う。

組織づくりというと、ヒトに注目してしまいがちですが、「規範」や「情報」も同列で扱っている点が斬新

ということで、初回は組織の定義について深ぼってみました。次回以降は、組織の運営形態・組織が「病む」原因・歴史に学ぶ組織の失敗ケースみたいなコンテンツをお届けする予定です。目標は、月間1記事で、ゆるーくシリーズ化していくので、引き続きよろしくお願い致します!!


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