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体を横に倒した時の痛み【腰方形筋と中臀筋の運動連鎖】

はじめに

今回は体幹側屈時に出現する腰方形筋由来の痛みについて解説します。タイトルの通り体幹側屈時の腰方形筋と中殿筋の運動連鎖について理解を深めることで臨床での体幹側屈時痛の考え方や効果的な治療の進め方などが身に付きます。前半ではそもそも腰方形筋の基礎知識や触察が危ういという方のために腰方形筋を見るうえで最低限必要な情報をざっくり、後半ではメインテーマである腰方形筋と中殿筋の運動連鎖について解説します。補足として腰方形筋がかかわる痛みについても解説します。

腰方形筋の解剖

起始:腸骨稜
停止:第12肋骨
作用:両側の収縮→体幹の伸展、いきみ、呼気
   片側の収縮→体幹の同側側屈

腰方形筋由来の痛みの鑑別ポイント

その1【腰方形筋の特定】

まずは痛みを出している組織が腰方形筋かどうか。とくに腸肋筋は腰方形筋と隣接していて間違いやすく腸肋筋と間違えると治療方法が異なってくるため鑑別が必要です。主な鑑別方法は①圧痛の場所②動診③検査 の3つになります。

①圧痛の場所

→腰方形筋は「上前腸骨棘から上後腸骨棘を結ぶ中点」~「第12肋骨と半側骨盤幅の中点の交点」を結ぶラインに圧痛がみられます。


②動診

腰方形筋では主に体幹の「側屈」で痛みが出ます。
隣接する腸肋筋であれば体幹の「伸展」、「回旋」で痛みが出ます。


③検査

オーバーテスト
ベット側足~股関節屈曲45度 膝関節屈曲90度
天井側足~股関節を体幹のラインに合わせる、膝関節屈曲90度
天井側の足を抱え膝をベッドに近づける
陽性所見:膝がベッドにつかない、健側と比べて早い段階で抵抗を感じる
注意点 : 天井側の股関節は中間位で行う
陽性だった場合:中殿筋、大腿筋膜張筋、腰方形筋の緊張、短縮、機能不全

その2【伸張痛?収縮痛?どっち??】

腰方形筋が伸張痛か収縮痛かによってアプローチするポイントが変わってきます。

①伸張痛

反対側の側屈で痛みが出るパターン。これは単純に「腰方形筋自体の柔軟性がないにも関わらず無理に伸ばされて痛みが出ているパターン」と「骨盤の矢状面での傾斜角度減少により腰方形筋が異常に伸ばされて痛みが出ているパターン」があります。

前者ではストレッチや直接的な腰方形筋のアプローチにより改善がみられます。後者では骨盤の矢状面での傾斜角度の減少に関わる中殿筋や腸脛靭帯、などをアプローチすることにより改善がみられます。

②収縮痛

同側の側屈で痛みが出るパターン。このパターンは少々複雑になります。「腰方形筋自体の滑走不全や収縮不全、共同筋の筋力低下が起きているパターン」「拮抗筋が動きの妨げになっているパターン」があります。

前者の滑走不全や収縮不全の場合、癒着の起きている片方の組織を抑えてもう片方の組織を動かすことで改善がみられます。共同筋の筋力低下(腹斜筋など)の場合共同筋の筋力トレーニングで改善がみられます。後者では拮抗筋の筋緊張を解消することで改善がみられます。


腰方形筋と中殿筋の運動連鎖

腰方形筋と中殿筋は筋膜上の強固な連結はありませんが運動をするうえで両者は非常にかかわりの深い筋です。
タイトルの通り代表的なのは体幹の側屈。体幹の側屈は各関節で動きを分解すると、「股関節の外転」、「骨盤の傾斜」、「脊柱の同側側屈」です。中殿筋と腰方形筋が同時に収縮することでこれらの3つの動きを(体幹の側屈)をスムーズに行うことができます。逆に両者のどちらかの機能が低下していたり収縮不全などがおこると側屈機能が格段と落ちてしまい体幹側屈時痛が出てしまうことがあります。側屈時に腰方形筋に痛みが出ている場合は脊柱の側屈、骨盤の傾斜、股関節の動きが出ているかを分析することが必要です。
また片足立位の姿勢も、体が反対側に倒れないように中殿筋と腰方形筋で支えています。
このことから中殿筋と腰方形筋は運動をするうえで密にかかわりあっています。

補足

腰方形筋と筋連結している筋

大腰筋 → 大腰筋は腰方形筋と連結しています。大腰筋は股関節屈曲位で剣状突起と小転子を結ぶラインの深層を沈めるように手掌圧を加えることでアプローチできます。

皮神経による腰部~臀部にかけてのピリピリ感、痛み

腰方形筋由来の臀部のピリピリ感 → 脊髄神経後枝外側枝は起立筋や腰方形筋を貫通して臀部の表層に出てくるため腰方形筋や脊柱起立筋が硬くなると腰部~臀部にかけてのピリピリ感や痛みが生じます。(上殿皮神経)

まとめ

以上が腰方形筋治療の考え方です。その1【腰方形筋の特定】その2【伸張痛?収縮痛?どっち??】でお伝えしたことは今回の腰方形筋だけに限らずほかの筋肉に当てはめて考えることもできるのでぜひ参考にしてみてください。


画像引用元:visiblebody
@visiblebodyに感謝します

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