犬も歩けばデモゴルゴンくらいには当たる
オーガニックな食事や成功者のキラキラした暮らしをSNSでアピールする生活の裏に、ギトギトした精神構造と暗い承認欲求が透けて見える。noteでそんな鋭過ぎる考察をしている方がいた。全てその通り。見透かされている。慧眼だ。ハッとさせられた週末休み。
物価が高い。田舎でも泣きたいくらい高い。アメリカでBBQが人気なのは、なんだかんだで安くつくレジャーの過ごし方だからの気がする。いかにお金をかけずに休日を楽しめるか。ふらふらと自然の中に身を任せることで、私は泣かずに済んでいる。自然と足が海や山へと向かう休日。
貯金残高と娯楽と友人がもっと多ければキラキラした休日があるのかもしれない。せめてできる範囲でドラマチックに時間を過ごし、承認欲求くらいは満たしてみようと意識して、ハイキングしてみた。以下時系列。
①海辺を歩く。
いい感じのスタート。疲れないように高低差のほぼ無いハイキングコースを選ぶ。その時点でドラマチックなことが起こらない予感はうっすらしていた。景色と空気はキレイ。とにかく気持ちいい。
②浜辺を歩く。
流木を集めて何かするのはアメリカあるある?至る所にこういうのがある。が、人がいない。何も起こらず、ひたすら平坦でのんびりした時間が流れる。
③はぐれ牛と出会う
出会った瞬間が冒頭の写真。散歩中の犬と向かい会い、緊張感はあった。が、何のドラマもなく通り過ぎて行った。牧歌的な時間が流れる。
④角刈り
わかりにくいかもしれない。雑木林のてっぺんのラインが、角刈りシルエットに見えた。アメリカ人には絶対わからない。そろそろハイキングトレイルも終わりに近づく。
⑤デモゴルゴン
Netflixドラマの『ストレンジャーシングス』に出てくるデモゴルゴンの親玉ような木。人間に寄生する未知の世界の生命。わかる人はわかるはず。ある意味ドラマのような風景。けど、こういうのは珍しくない。何なら動き出さない限りドラマチックとは言えないかな?と思った。
⑥ハイキング終了
ロードサイドで飲んだリンゴとザクロのノンシュガースムージー。フォトジェニックさを意識して撮ってみた。魅せ方にもスキルがいることは知っていたが、肝心のスキルは無かった。けど、ただただ美味しかった。
⑦帰宅
YouTubeを見ながら作った陳健一さんの麻婆豆腐。近い材料を揃えるくらいのサプライチェインは整備した。赤坂四川飯店、万歳。
以上、アピールして承認欲求を満たせそうな体験は出来なかったが、身の丈にあった休日の楽しみ方はできたと思う。日常のドロドロした感情から自分を解き放ち、安息日の刹那に身を任せる。ドラマチックであろうが無かろうが、犬も歩けばデモゴルゴンぐらいには当たる。これは効率と生産性の名の下に、競争に晒される日常に対する抵抗だ。非生産的でどうでもいい思考は、ギトギトした感情を洗い流す至福の時間を産む。
とか何とか言えるくらいにはリラックスできた。これでまた次の一週間を生き抜ける。
※ストレンジャーシングスのデモゴルゴンの元締めはこちら。
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