【血虚と貧血は何が違う?】治療法で解説!
血虚の治療法
血虚の治療には「補血」と「活血」が欠かせません。
補血(ほけつ)
補血は、血を補うことを目的とした治療法です。補血剤には、血を補充する「補血薬(ほけつやく)」、血の材料を作るための気を補う「補気薬(ほきやく)」などが含まれることが多く、血虚による不調の改善に用いられます。補血剤は、血を補うことで全身の栄養を行き渡らせ、体調を整えるための漢方薬です。
※西洋医学的に言うと鉄分が挙げられますが、中医学的には多くの生薬で考慮します。登録販売者試験ではこの概念がないので、生薬や漢方薬が意味不明です。活血(かっけつ)
活血は、血の流れをスムーズにし、血の循環を改善する治療法です。血虚の症状がある場合、多くの補血剤には活血薬も含まれており、これにより血の流れを良くし、血が滞りなく行き渡るようにします。血の滞り(血瘀)が原因で血が不足している場合、活血によって血の循環を改善し、不足を補います。補気
血を補うためには「気」も重要です。気は血の生成や循環に関わるため、気の不足も血虚の一因となり得ます。気血同源(気=血)といい、気が減ると血も減ります。つまり気が増えると血も増えます。そのため、補気薬も補血剤に含まれていることが多く、気を補うことで血の生成と流れを助けます。
血虚と貧血の違い
西洋医学の「貧血」は血液成分の問題であり、赤血球や鉄分の不足など、血液中の成分の不足に着目します。一方、中医学の「血虚」は、血そのものの不足だけでなく、血の生成、流れ、栄養供給の総合的な不足も含む概念です。そのため、血虚の改善には血を生成するだけでなく、循環を整え、気を補って血の生成と流れを助けることが重要視されます。
血虚の予防と対策
血虚を予防・改善するためには、日々の食事や生活習慣が重要です。以下のような対策が有効です:
栄養豊富な食事:血を補うために、レバーやほうれん草、黒ごま、ナツメなどの補血食材を積極的に摂取します。また、これらの食材に加え、豆類や根菜類なども補気に役立ちます。
ストレス管理:肝を痛める原因の一つがストレスであるため、リラックスや適度な運動、目の休養が肝の保護に役立ちます。目を酷使すると肝に負担がかかり、血虚が進むことがあります。
適度な運動:軽い運動は血の流れを助け、血虚や血瘀の予防に効果的です。血流を促進することで、全身に栄養が行き届き、血虚を防ぐことができます。
体を温める生活習慣:冷えは血虚を悪化させるため、体を温めることが重要です。温かい飲み物を摂取したり、体を冷やさないように服装を工夫することで血流が改善され、血虚の予防に役立ちます。
抗凝血薬と血虚治療
ワーファリンなどの抗凝血薬は、血液の凝固を防ぐことで血栓症を予防しますが、血そのものの質や栄養供給を改善するわけではありません。抗凝血薬が必要な場合でも、血虚改善のためには漢方薬による補血や活血療法が併用されることが推奨されます。抗凝血薬は医師の指導に従って服用し、生活習慣や食事による血虚改善も併せて行うことで、健康を維持することが望まれます。※西洋医学は対処療法で中医学は根治(今回は血虚という)が目的となります。
血虚は、血の生成と流れの不足が複雑に絡む状態であり、単に血の量を増やすだけでは根本的な改善に至らないことがあります。