Hiro at Kanazawa University

金沢大学人間社会環境研究科の博士後期課程在学中です。法学部→アメリカMBA→経済学博士後期ときて、その間の仕事も色々とあってはや50代。ただ、今となっては経済と社会のことを考える上で全部ためになった経験です。主な研究分野は交通経済、地域経済の実証、因果推論です。

Hiro at Kanazawa University

金沢大学人間社会環境研究科の博士後期課程在学中です。法学部→アメリカMBA→経済学博士後期ときて、その間の仕事も色々とあってはや50代。ただ、今となっては経済と社会のことを考える上で全部ためになった経験です。主な研究分野は交通経済、地域経済の実証、因果推論です。

マガジン

  • Common Pool Resourceとしてのインフラ学

    社会的インフラ、特にネットワーク性のあるインフラを、Ostromが理論の体系化を行ったCPR(Common Pool Resource)として考えます

最近の記事

政策の矛盾と学会

先週、今週と、2週連続の学会発表が終わりました。8月の反省を踏まえ、時間がオーバーしないよう相当集中しました。説明のロジックが甘いと長くなるので、前日夜も投影資料の修正やキーメッセージの確認を結構やりました。まあなんとか8月の失敗は繰り返さずに済んだかなという感じです。 今年は、夏から秋を目標に、8月、懸賞論文を1本と学会発表1本、10月に発表を2本と、全て違うネタ、データでのアウトプットとなりました。特にデータを使っての統計実証は、GISデータの扱い、統計的因果推論の基礎

    • 研究の対象と方法の堂々巡りについて

      この1ヶ月ほど、学会発表の準備や、その後の論文投稿のことこも考えながら、博士論文計画の構成と文章を考えだしました。要は、これまでのインプットや用意しているアウトプットを、どうやってまとめていこうかということです。まだまだこれで良いのかがわからないのですが、先が長い道のりなので、忘れないようにと思って、備忘録的なものを書いてみました。 リサーチクエスチョン(RQ)以前も書きましたが、やっぱりスタートはここです。 というか、今大学院にいる理由でもあるので、単純に、 なぜ「そ

      • 学会発表の反省

        昨日、今日と福井で開催された学会において、発表を一本こなしました。 10月には学会二つで発表予定なのですが、それに向けての反省事項です。 その反省で最大のものは、 タイムマネジメント 内容以前の問題です。苦笑 今回は実は少し時間的には余裕があり、15分で終わることを目指して、実際には20分くらい、と思っていたんですが、この緩さがダメでした。 やるべきだったこと 始める前に開始時間の確認 次に終了予定時刻の確認 開始と終了の中間時刻の確認 練習←一番大事、ほんとは

        • その努力に結果はついてくるのか

          8月です。3年目の前期の授業も先月末で終わりました。学部と修士の皆様は夏休み前の試験期間です。博士後期は基本的にテストというものはないので、学期ごとのプレッシャーはありません。ただ楽かというとそうでもないな、ということにあらためて2年目あたりから気づくことになります。 長期的な締め切りの中で、結果を目指す、というのは仕事にも共通するなと感じています。しかも、努力に応じて結果が出るかというと、そういうものでもなく。楽した分は後でちゃんと返ってくるんですよね。。。 研究って。

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        • Common Pool Resourceとしてのインフラ学
          8本

        記事

          How Toは最後に腑落ちする

          博士課程3年目博士後期3年目も、ずいぶん時間が経ってしまいました。今年はアウトプット中心の年にせねば、というこことで、2年間のインプットの整理から始めて、論文のアウトプットの締め切りがこの夏にいくつか控えていいます。そんな中なので、改めてアウトプットのハウツー本なんかも読んでいますが、気付いたのが、「わからないことがわかってきた」かな、ということです。 具体的には、アウトプットに関してわからないこと、というのが、 何を書けばいいのかわからない 研究ってなんなのかがわから

          How Toは最後に腑落ちする

          Google Colabで衛星データを扱う(2)

          具体的なコードを書いてみましたので、備忘録的にノートの記事にしてみます。 やること夜間光データの指定 日本の領域の夜間光各年データのクリップ、データ("mean")取得 上記データのデータフレームへの変換とグラフ化 準備準備としてまず、必要なライブラリを読み込みます import eeimport geemapimport numpy as npimport pandas as pdimport seaborn as snsimport matplotlib.pyp

          Google Colabで衛星データを扱う(2)

          Google Colabで衛星データを扱う

          Google ColabとPython突然ですが、今回は統計やデータ解析のプログラミングの話題です。エクセルでも相当なことができるんですが、エクセルの難点は、色々とやってるうちに操作を忘れてしまう、同じことを違うデータソースに当てはめるのがなかなか難しいということにあります。 また、統計手法の多様さなどについても、やはりエクセルでは限界があります。そこでプログラミング環境が必要になるのですが、これまでRという言語環境を主に使ってきました。 ただ、もうひとつ学術と実務の世界

          Google Colabで衛星データを扱う

          JR地方路線問題を考える

          もはやJRは地方路線を支えきれないのか昨年法改正があり、地方の公共交通の維持が新聞やマスコミ、そしてネットでの話題に上るようになりました。 以前その業界で働いていた身としては、実はそんなに目新しいこともなく、自分が生まれた頃の国鉄問題、2000年の摩訶不思議な「規制緩和(参入と料金規制はそのままに、退出のみ自由化)」による私鉄の廃線、そして今と、ほぼ同じような問題が繰り返し起こっています。 日本の鉄道政策の問題 問題の構造もほぼ同じなので、「鉄道大国」日本は、実は政策的

          JR地方路線問題を考える

          ゲーム理論と社会、経済

          もう一つの均衡分析:均衡としての協力、または紛争必ず経済学の教科書には現れるが、いまいち何がそんなに大事なのかがわからないというのが、ゲーム理論に関する自分のこれまでの感覚でした。最初に「囚人のジレンマ」を25年以上前にMBAのミクロ経済学のテキストで習った時からです。 「ナッシュ均衡」という名前にもなっている、ジョン・ナッシュがノーベル賞を受賞したり、その半生を映画化した「A Beautiful Mind」がアカデミー賞を受賞したりと、話題性もあるのですが、いかんせん、「

          ゲーム理論と社会、経済

          さよならサンダーバード

          今日はちょっと前職の鉄道に関する地元の状況についての雑感です。 北陸新幹線の敦賀延伸私が住んでいる福井県では、先月北陸新幹線が敦賀まで延伸開業し、しばらくお祭り騒ぎ状態でした。福井駅の新幹線駅と商業施設オープン、駅西側の再開発ビルのホテルオープンなど、東京福井間が乗り換えなく、乗車時間も3時間を切るという、ある意味地味な地域の、歴史的悲願達成ということです。 新幹線の代償:並行在来線 国鉄後の新幹線整備については、政治主導で地方部の不採算路線が建設され、東北上越の新幹線

          さよならサンダーバード

          Elinor Ostrom "Governing the Commons":3回目

          日本語タイトル:『コモンズのガバナンス―人びとの協働と制度の進化―』 引き続き、ひとり勉強会のため、Elinor Ostrom "Governing the Commons"のまとめを書いていきます。 今回は"Governing the Commons"の第2章のまとめです。 https://amzn.asia/d/evFiP2n 公共財と私的財、クラブ財までは標準の経済学の教科書に説明されていますが、CPR(common pool resource)、共的資源の事は

          Elinor Ostrom "Governing the Commons":3回目

          Elinor Ostrom "Governing the Commons":2回目

          日本語タイトル:『コモンズのガバナンス―人びとの協働と制度の進化―』 ひとり勉強会のため、Elinor Ostrom "Governing the Commons"のまとめを書いていきます。2回目は第1章です。 https://amzn.asia/d/evFiP2n なぜこの本のまとめをしているのかというのは、鉄道ネットワークをはじめとする社会共通資本の性質と政策を理解、分析するために、"Common Pool Resource=C.P.R."という「私的財」でも「公共

          Elinor Ostrom "Governing the Commons":2回目

          Elinor Ostrom "Governing the Commons"

          日本語タイトル:『コモンズのガバナンス―人びとの協働と制度の進化―』 ひとり勉強会のため、Elinor Ostrom "Governing the Commons"のまとめを書いていきます。 https://amzn.asia/d/evFiP2n 著者Elinor Ostromとは2009年のノーベル経済学賞受賞者(女性初のノーベル経済学賞受賞者) 日本語Wiki はじめに(Preface)集団行動問題(collective action)と「共有資源」に関する研究

          Elinor Ostrom "Governing the Commons"

          リサーチクエスチョンについて(2)

          リサーチクエスチョンに関する前回からの続きです。今回は、研究の入り口としてのリサーチクエスチョンを考えるためのツールについて書いていきます。 ツール今はほんといい時代だなー、と思うのが、以下のようなツールが一般化してきていることです。ただ、現状英語が必須というか、やはり英語で書かれた文献の蓄積に圧倒されます。自分の場合は書くのは日本語なので、英語でコンセプトや研究蓄積を頭に入れてから、関連しそうな日本語論文、文献で日本語での用語の使い方を再度確認という感じでやってます。

          リサーチクエスチョンについて(2)

          リサーチクエスチョンについて(1)

          多分すべての大学院生が最初から最後まで悩む「リサーチクエスチョン」について書いてみます。自分もこれは常に悩んでます。 「〇〇を研究する」という目標ではインプットはできてもアウトプットは無理な件勉強と研究の最大の違いは、アウトプットのやり方、目標だと思っています。研究は「論文を出す(書くだけではなくて'publish'する)」ことが最終目標です。勉強はそのための基礎作りの行為ではありますが、とりあえずのアウトプットは理解度確認としてのテストであったり単位で、また目標としては「

          リサーチクエスチョンについて(1)

          冬の角間キャンパスダンジョン

          暖冬ながら雪は積もります先週中頃は強い寒波到来で、約1ヶ月ぶりのまとまった雪が降りました。2、30年前であれば毎週これくらいの寒波は来てて、特段ニュースになるような降りかたでもなかったんですが、予報精度の向上と365日止まらない物流と社会への影響が大きくなったので、温暖化のニュースよりはたまに降る雪の方が大きな扱いになるのが恒例になってしまいました。 あと、北海道が昔の北陸化していて、雪は重いわ降り出したら止まらないわで大変なようです。 金沢大学角間キャンパスは金沢市の

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