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感激性が高い人

今日のおすすめの一冊は、安岡正篤師の『安岡正篤 運命を思いどおりに変える言葉』(イースト・プレス)です。その中から「生きている限り変化し続ける」という題でブログを書きました。

本書の中に「感激性が高い人」という心に響く文章がありました。

早く老いることの原因は、肉体より精神にあります。 精神に感激性のなくなることにあります。 物に感じなくなる、身辺の雑事、日常の俗務以外に感じなくなる、向上の大事に感激性を持たなくなる、これが一番いけません。》 (安岡正篤)

明治時代はわが国において最も若い感性にあふれた時期でした。黒船の来航をきっかけに長く続いた幕藩体制が崩壊し、近代日本の黎明期となったのが明治です。この時代の指導者はすぐに感激して泣いたと安岡は指摘しています。 

「明治の人達、と言っても詔勅に関係ある人達ですから、当代一流の人物ばかりであります が、みなよく泣いておる」「兎に角昔はよく泣いておる。天下国家を論じては泣き、書を読 んでは泣いておる」(『論語に学ぶ』) 

この時代の指導者たちの感激性は天下や国家を論じ、何をなすべきかという「義(すべきこ と)」に重きを置いたところにあります。彼らの精神的な感激性が世俗的な欲求から解脱させていました。 

しかし、時代がくだるにつれて義は廃れ、利害や打算を胸に私利私欲に走るという小粒な指導層が現れます。すると「利(お金)」のために特権を使うようになり、これを法律で取り締まろうとする現代では誰も泣かなくなりました。

この感激性が薄れた時代とは「民族精神の悲しむべき衰退に外ならない」(同書)と安岡はいいます。 何かを成し遂げた人は、みな感激性が高い

現代人は「感激性」や「驚愕する」という「感性」が摩耗(まもう)している感性が鈍(どん)になると、感動しなくなり、驚かなくなる。感性が鈍い人間ほど、つまらないものはない。人間の魅力の源泉は「喜怒哀楽」にあるからだ。その振幅が激しい人ほど、魅力がある。

かつて、江戸城を無血開城に導き、命懸けで江戸を火の海から救ったのは、幕府としてたった一人で敵陣の官軍に乗り込んだ山岡鉄舟だ。鉄舟は西郷隆盛に対し、涙を流してその是非を説いたという。

涙ながらの説得に、最後は、西郷も目に涙を浮かべてその申し出を了(りょう)とした。鉄舟も西郷もまた、涙の人であった。

「何かを成し遂げた人は、みな感激性が高い」

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