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VUCA時代にこそ必要なフレームワーク

「この本読んどけ」

私が新人コンサルタントだった時、猛烈に働く尊敬する上司から1冊の本を渡された。

その本の名前は「戦略プロフェッショナル―シェア逆転の企業変革ドラマ 」(日経ビジネス人文庫)。

コンサルタントが戦いながら企業を変革する小説で、その主人公の姿からコンサルタントとしての「技」と「熱」を学んだ。

その著者は、三枝匡氏。ボストン・コンサルティング・グループの国内採用第1号で、ミスミグループの第二の創業(現ミスミグループ本社名誉会長)や内閣参与等も務められたコンサルティング業界のレジェンドの一人だ。

その三枝氏は、DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー2017年4月号で、フレームワークについてこう定義している。

「(フレームワークとは)物事の本質や構造を理解し、わかりやすく説明するための枠組み」

フレームワークは食材の切り方

料理の世界では、千切り、ざく切り、銀杏切り、みじん切り等、目的や素材に合わせて適切な切り方・捌き方がたくさんある。

この切り方の選択を誤ったり、何でもかんでも同じ切り方をすると食感や味、完成までの時間等に大きな影響がある。

ビジネスの世界でこの切り方に該当するのがフレームワークだ。

マクロ環境を理解したいのか、市場を理解したいのか、社内を理解したのか等、何を理解したいのかによって適切なフレームワークは異なる。

当然、出来るだけ多くの対象(素材)に対して適切なフレームワーク(切り方・捌き方)を知っていた方が色々な場面で潰しがきく。

見せびらかすと嫌われる?

一方、フレームワークを使いこなすビジネスパーソンやコンサルタントに対して冷ややかな声があるのも知っている。

確かにフレームワークの使い方を深く理解されずにそれ自体がひけらかされるケースはあり、それ自体は好ましい事ではない。

私だって、素人がYouTubeを観て見よう見まねで捌いたフグ料理を食べたいとは思わない。(それが毒を持たないフグ以外の食材であったとしても)

しかし、食材によって適切な捌き方がある事を知り、その捌き方の幅を広げ、日々練習する事自体はスキルアップに不可欠だと私は考えている。

複雑性が高まる程役立つフレームワーク

昨今VUCA(ヴーカ)という言葉をよく目にする。

VUCAとは、「Volatility(変動性)」、「Uncertainty(不確実性)」「Complexity(複雑性)」「Ambiguity(曖昧性)」の頭文字を組み合わせてできた造語で、もともとは冷戦により戦局の見通しが不透明になった状態を示す軍事用語だったようだ。

つまり見通しが立てにくく、今後の動向が分かりにくい時代に突入している。

過去の投稿で、分からないものを理解しようとする時、その対象を「分ける」と「分かる」様になるという話をしたが、その「分け方」こそがフレームワークだ。

つまり、複雑性が増し単純化が難しいVUCA時代こそ、冷静に分析対象を適切フレームワークで分け、本質を理解する姿勢が大切になる。

フレームワークとは世界中の研究者の成果物

そもそもフレームワークとは、世界中の学者やコンサルタントが数々の事例を調査し、成功の鍵を事後的に抽出したものだ。

日経ビジネスの特集「星野リゾート代表「100%教科書通り」の経営が会社を強くする」の中で、星野リゾートの星野佳路代表は以下の様なコメントを残している。

私が使うのは研究者が書いた教科書であり、いずれも企業の事例の積み上げから法則を導いています。その内容は例えば医学や化学と同じ科学の世界であり、正しさが証明されています。私は教科書を通して証明された法則を知り、それを経営に活用しているのです。

これを読む限り「教科書のまとめ」とも言えるフレームワークは、一部の意識高い系ビジネスパーソンだけでなく、ありとあらゆるビジネスパーソンの役に立ちそうだ。

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