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心理的安全性が高い職場と民主主義の罠

心理的安全性とは

ざっくり言うと、「他のチームメンバーが自分の発言に対して恥じたり、拒絶したり、罰をあたえるようなことをしないと確信している状態」であり、「チームはリスクを取ることに対して安全な場所であるとチーム内で共通認識が持たれた状態」を指します。

元々ハーバード大学で組織行動学を研究するエイミー・エドモンドソン教授が提唱した概念ですが、米グーグル社による社内プロジェクトの結果、「心理的安全性がチームの生産性を高める重要な要素である」と結論付けたことで、ビジネスの世界にも広く広まるようになりました。

最近この心理的安全性が注目されるのには、大きく2つの理由があると思っています。

今心理的安全性が重要な理由①:価値観の違うY世代・Z世代の台頭

これまたざっくり言うと、Z世代は最近どんどん社会に進出してきている2000年代生まれ、ミレ二アル世代を含むY世代は現在の30~40歳を指します。つまり、典型的な会社の新人~課長・部長層までを占めるのがこのY・Z世代です。

このY・Z世代は、役員などの要職を占めるX世代(1960~70年生まれの現在の50~60歳)に比べてデジタルに強いといった特徴以外に、価値観としてリベラル色が強いと言われています。私の理解では、リベラルの特徴は「寛容」と「自由」です。こんなイメージですね。

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つまり権威を持つ人から自由を理不尽に制限されることに抵抗を感じるため、上司の指示に対して「なぜそれが必要なのか」、「他にもっといい方法はないのか」、「自分でやる必要があるのか」を考え、自身の意見を発信することに慣れています。

おそらくX世代からすると、「いいから黙ってやれ」と思うことも多いと思いますが、それをしてしまうと「萎縮してパフォーマンスが出なくなる」、「すぐに会社を辞めてしまう」、「パワハラで訴えられてしまう」リスクが大きいため、組織のボリュームゾーンになりつつあるY・Z世代が働きやすい・成果を出しやすい環境を整えるには、心理的安全性の高い職場環境を作ることが不可欠になってきています。

この構造変化は消費者や顧客企業を含む市場全体で起きていることですので、この価値観の変化に対処できないと、顧客を失うという事にもつながります

今心理的安全性が重要な理由②:イノベーションの重要性 - Change or die

前述の通り市場環境が変わり、消費者や顧客のニーズが変わり、多くの企業がイノベーションを起こそうと躍起になっている中、変化をしない組織のシェアは現状維持ではなく相対的に低下していきます。

環境の変化が早くかつ激しく、今年の延長上に同じような来年があるような時代ではなく(非連続に)なってきていますので、生き残るには変化することが必須の時代になってきています。

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変化をもたらすためにはもちろん既存のオペレーションを何も考えずに淡々とこなすだけではなく、新しい意見・視点を積極的に取り入れる必要が出てきますが、それを実現するために必要なのが職場の心理的安全性なのです。

つまり、心理的安全性の低い(新しいことを提案しても周りがすぐに良い悪いをジャッジし、否定する)環境ではイノベーションの種が摘まれてしまいやすいのです。

しかし、心理的安全性=民主主義ではない

では、みんなを集めてなんでもかんでも意見を聞けばいいのでしょうか?残念ながら、このような民主主義型アプローチにはメリットだけではなく、デメリットがあります。

<メリット>
・メンバーから新しい視点が出る可能性がある。
・メンバーに当事者意識が生まれ、取り組みに前向きになる。

<デメリット>
・メンバーの能力や経験が足りない場合、的外れな意見が多く出る可能性がある。
・聞いたからには無下にできない。あまり雑に扱うと逆に心理的安全性が下がる。

つまり、ビジネスにおいて民主主義型アプローチを取るためには、各ディスカッションでしっかりをテーマ選定し、そのテーマがある程度得意なメンバーを選定すること鍵になります。

もし育成目的でそのテーマが得意でない、経験がまだ薄いメンバーを巻き込むのであれば、決して意見を否定せず、失敗してもいいので一度やらせてみるといった覚悟が必要です。

これがごちゃ混ぜになると、初めは意識してみんなの意見を積極的に聞いたのに、後半になってその議論の質にイライラし始める、もしくはどのように収束させればいいかわからなくなるといったリスクが表面化するので要注意です。

まとめ

・Y、Z世代の台頭やイノベーションへの圧力により、心理的安全性が高い職場づくりが急務になっている。
・しかし民主主義型アプローチには、一度意見を聞いたら有効性が低くそうでも無下にできないという罠がある。
・そのため、ディスカッションをする場合はテーマ選定とメンバー選定に注意する。

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