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躁とうつ、脳科学と、アート。「右脳優位」について。
躁っぽく眠れないので、ふとNHKプラスを観たところ、興味深い番組を発見した。「フロンティアで会いましょう」という番組で、「(1) あなたの中にも天才脳があるかもしれない!? 最新科学が迫る」という回だ。
この番組を見て、
・鬱を経て、【絵】が描きたくなったこと
・今まであまり興味のなかった【アート】に惹かれるようになったこと
の理由がわかった気がした。
同時に、
・双極性において、なぜ【易怒性】が高まるのか
が、なんとく腑に落ちた。
これらの理由は、一言でいえば、鬱や躁の状態を通じて、"理性脳"である「左脳」が鎮まり、芸術脳である「右脳」が優位になったからだ。
※もちろん、鬱や躁の症状も様々なので、断定はできないけれど。あくまで個人的な感覚です。
↓番組で紹介されていたことを一部シェア。
「獲得性サヴァン症候群」
ごく普通の人が、あるきっかけで天才的な能力を得ること。
例.釣り付きの営業マンが、ある日突然作曲家になった。
例.ボディビル付きの男性が、数学者になった。
これらに共通するのは、あるきっかけが「頭を強打」しているということ。いずれも、左半球だけ損傷していた。
「先天性サヴァン症候群」
いわゆる天才と呼ばれる人たち。500人の共通項は、右半球が左半球に比べ大きいこと。言語・論理思考を司る左半球に対し、視角や聴覚の芸術的な思考を司る右半球が優位らしい。
例.ナディア・チョミンという女性。先天的に卓越した画力をもっていたが、10歳で言語能力習得と引き換えに、絵の才能を失った。発達心理学者ローナ・セルフ博士によると、ナディアの写実性は、私たちの祖先が描いた3万年前の洞窟内の壁画と通じるものがあるらしい。その壁画とは、言語の獲得前の人類の祖先が描いたもの。
さらに日本の臨床神経心理士の緑川晶教授によると、意味性認知症の患者も、絵画の才能に目覚める方がいるらしい。
私たちは、目の前の「みたもの」を、ありのままに捉えられない。特に左脳優位の現代人は、言語により複雑な思考を獲得したが、感覚的な右脳の特性を失ったともいえる。
ただこの番組から、後天的に右脳的な感覚を取り戻している例もあるということだ。意味性認知症患者の写実的な絵画をみると、誰もが納得するだろうと思う。とても素敵な絵なのだ。
この番組で伝えられていたのは、右脳の特性を"失った"のではなく、人類は潜在的には皆芸術脳を皆持っていて、きっかけさえあればそれが花開くということ。そのきっかけは、頭部強打や認知症などであり、客観的に見れば幸福的なエピソードには捉えられづらい。けれどもプラスの側面から捉え直すにあたり、とても有意義な観点だと感じた。
私は鬱や躁の症状によって、悲しいかな、幼少期や老年期の特性に少し近い感覚を持っていたのだけれど、新たに得た?いや、右脳のスイッチがONになった?のかもしれない。
これらの新たな発見に絡めて、私の中で2つの記憶が繋がったので、記載しておく。上記でいう、「獲得性サヴァン症候群」にあたる、後天的に右脳優位になったお二人だ。
「奇跡の脳」の作者、ジル・ボルト・テイラーさん
脳卒中で倒れ、一時的に左脳の機能がなくなり、右脳の機能がわかった、という脳科学者の本。右脳だけの世界で恍惚体験をし、7年のリハビリで復活された感動的なエピソードも含む。本が苦手な方も、TEDも合わせて見てもらいたい。
「アミ小さな宇宙人」の作者、エンリケ・バリオスさん
旅の途中で強盗に頭を強打され生死の境を彷徨った。その経験を経て、2年後に大ベストセラーの「アミ小さな宇宙人」を出版している(たしか・・このことは、アミの世界というエッセイに書かれている)。
鬱や双極性の体験が、これまで私が学んできたヨガや瞑想、脳科学のあれこれも、いろいろと繋がってきている感じがある。それらも改めて、書きとめておきたいと思う。