リモートワーク マネジメント Vol.6
さて、このシリーズはこちらで最後になります。今回は、テレワークを始めた際の「評価」についてです。
僕は、個人的にテレワークを始める際の一番難しいマネジメントは、「評価」だと思っています。なにしろ、これまでテレワークを想定していない評価制度だったと思うんです(会社の制度として)。なので、テレワーク体制での評価をする方も、される方も慣れていないわけですし。
そもそも、会社によっては、評価制度そのものが曖昧で、なんとなく、なあなあになっちゃってるって日本の会社は多いのではないでしょうか?
私の以前の会社は、テレワークはなく、まあまあの大手だったので、揺るぎない評価制度がありました。制度自体がいいか悪いかは別として、その時に、海外に現地法人を作りました。私は兼務で現地の代表をし、出張ベースで月一のペースで行っていました。基本的に海外現地法人は、みんな出社しているものの、僕から見れば100%テレワークしている状態です。私は日本にいますので。
そうるすと、どうしても本社の評価制度のままだとうまくいかない評価項目があるわけです。困りました。
(特に、外国人は評価に関しては、日本人よりもシビアなので全く納得してもらえません。泣)
例えば、、
- 日常的に周囲への気遣い、サポートを積極的に行っている。評点;1から5
・・・わからんし。知らんし。
ってなるわけです。社員からも当然言われました。
「ヤマシタさん、ワタシたちといっしょ、いないから、わからないですよ」
はい。そうですねーー。困るーーってなるわけです。
プロセス評価と結果評価
会社によっては、評価のタイミングで会社で作られた評価項目にのっとって評価をしていくというのが概ね多いのではないでしょうか。その中には、目標設定に対しての結果を評価する項目と、プロセスを評価する項目がミックスされていることが多いと思います。さらには、態度とか意識とか抽象的なことを評価する項目が多めなのが日本の評価制度の特徴です。
なので、テレワークとなると日常の勤務態度とかプロセスがほとんどわからないので、結果をベースとした評価しかできないわけです。
評価方法を部下と上司両方で共通認識を
まずは、「評価」を考えるにあたって、目標に対しての結果への「評価」を軸とするべきです。なので、ベースとなるマネジメントは、「結果コントロール(Vol,1参照)」によるマネジメントをベースにしておく必要があります。
そして、評価の仕方を結果ベースでどのように行うかを事前に部下と、さらには、上司ともすり合わせておくことが大事でしょう。なにしろ、既存の会社の評価制度とは食い違ってくる可能性があるからです。
本来であれば、評価制度自体を見直してからテレワークをスタートするのが望ましいですが、今のコロナ の緊急事態的にテレワークしちゃってますみたいな流れでは、やむなしといった柔軟な対応をせざるを得ないのではないでしょうか?
権限移譲の度合いの評価
評価の軸としては、結果コントロールにより結果重視ですが、日常から部下への信頼を厚くし、積極的に権限移譲(Vol,2参照)を行っておくことで、結果の達成だけでなく、権限移譲度合い(どれだけ任せられるようになったか)というもう一つの指標ができます。結局、結果の達成率が90%だったとしても、ほぼ部下が自分でできた90%なのか、他人におんぶに抱っこで90%の達成だったのかは大きな違いです。
日常からこの姿勢を貫くと評価のフィードバックの際「この辺りは、よく自分でできたね」とか、「あの時は、僕が代わりにしたからできたんだよね?」とか「ここまで任せれるかなと思ったら、まさかこんなところまでできちゃうとは!?」みたいな結果到達までのプロセスもフィードバックができるようになります。権限移譲の度合いというのは、実は、プロセスを追いかけていることにもなっているんですね。
レポートを振り返る
上記のようなプロセスに関しては、レポーティングでリアリティ(Vol.4参照)のあるレポートを作成しておくと、レポートを振り返りながら評価もすることができます。また、オフィシャルな情報として残っているため、振り返っていくだけで、評価の根拠となり効率的だし、部下・上司ともに納得感がますでしょう。
今後の方向性を導くアドバイスの評価
評価をしながら、自分が部下へ結果が出せるようにするためのアドバイス(Vol,5参照)をしたことを振り返ってみてください。これは、部下の評価ではなく、自分の振り返りになります。自分のアドバイスによってどう部下が伸びているのか?またいないのか?
今後のアドバイスの仕方はどうしていくべきかを、部下の評価をしながら考えてみてください。部下と直接話し合ってもいいかもしれませんね。
と、いうように、これまでシリーズでお話ししていたトピックは、実は今回の「きちんと評価する」というマネージャーとして一番大事であろう役割をテレワーク時にできるようにするための一連のプロセスになっていたんですね。
最後に
部下を正しくマネジメントするということは、同時に正しく評価することだと思うのです。そうすることで、部下は目標達成に対しての正当な評価を受けることで次へのチャレンジへモチベートされていくものだと思います。
テレワークは、今後当然のワークスタイルとして定着していくでしょう。というよりこれだけのテクノロジーが発達しているわけなので、定着していくべきだと思ってます。
また、テレワークのマネジメントは、通常よりも格段にマネジメントスキルが問われることになります。
このコロナ騒動を一つ逆手に取れるとすれば、テレワークという実証実験を通じてマネジメントの新たなcapabilityを獲得することではないでしょうか?
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