『世界で一番やさしい 会議の教科書』
グダグダ会議にさようならするための本です。
注目すべきは「新人でもできる技術」が含まれている点ですね。
その意味では、
・会議を経験していないこれから入社する人
・グダグダ会議を経験していて改善したい人(役職関係なく)
など、幅広い社会人におすすめできます。
本書はもともと気になってはいたのですが、尊敬するケツアゴ課長が推薦していたので即購入しました。
本書は、入社2年目の女の子が各種グダグダ会議を父の教えで改善していくストーリー仕立てになっており非常に読みやすいです。
ここでは、ストーリーはばっさり切って私なりのまとめをしたいと思います。
要点
❶確認する
❷書く
❸準備する
わたしが実践すること(◉済み、○今後)
○社内に展開する
◉隠れファシリテーションを意識してやる(一部やってた)
◉書くファシリテーションを意識してやる(一部やってた)
○準備するファシリテーションを意識してやる(一部やってた)
○全員ファシリテーターを目指す!
「約3万時間(8年分)」が一生の会議時間
という衝撃的な数字が出てきて、
「こんな長時間を有効活用しないで過ごすのか?」
と読者に問われます。
企業にもよるでしょうが、個人的な肌感覚ではこれは言い過ぎです。(笑)
計算は以下です。
01年目~10年目:週3日×2時間 → 3,000時間 (妥当かな)
11年目~20年目:週5日×2時間 → 5,000時間 (妥当かな)
21年目~30年目:週5日×8時間 → 20,000時間 (言い過ぎ?)
合計 28,000時間 → 約30,000時間
10時間/日労働として、365日で割り算すると約8.2年
管理職になったら、会議のみで過ごす前提になっているので21年目以降のウェイトがすごいです。皆さまの会社ではいかがでしょうか?
とはいえ、
仮に半分としても相当な時間を会議に費やすのは確かです。
その会議の時間を短くしたり、生産性の高い会議にするための技術が本書で紹介されます。
ファシリテーションとは
ネットで調べると長々とした説明が散見されますが、本書では、「ファシリテート」「ファシリテーション(一般的な意味)」「会議ファシリテーション(会議特化の意味)」の3段階でシンプルに説明しています。
<ファシリテート>
促進する・容易にする
↓
<ファシリテーション>
あるゴールを達成するための活動を、促進する・容易にする技術
↓
<会議ファシリテーション>
何かを決めることを、促進する・容易にする技術
会議で内職をしてたり寝てたりする人を「聞いていなかったから悪い」で済ますのではなく、そうならないように会議を進めることもファシリテーション技術に含まれます。
理想は、会議メンバー「全員がファシリテーター」です。
❶確認する
1つ目のファシリテーション技術は「確認する」、これだけです。
この技術、「隠れファシリテーション」として紹介されています。
「隠れ」というのは、司会者/ファシリテーターじゃなくてもできること、ということです。
確認だけなら誰でもできますね。
つまり、新人や会議を改善したいメンバーが隠れファシリテーターとして会議をコントロールすることができるのです。
で、何を確認するのかというと、
①「会議の終了条件」
②「議題ごとの時間配分」
③「決まったこと」「やるべきこと」
の3つです。1つずつ、もうちょい詳しく見てみましょう。
①「会議の終了条件」を確認する
これって要は「会議の目的」なのですが、あえて言い方を変えているのがミソです。
会議の目的は何ですか?と聞いてしまうと、「目的は議論することだ」とか「目的は情報を共有することだ」とかの不明確な答えがでてきます(目的の履き違え)。それを避けるために「どうなったら会議終了と言えますか?」を確認するのです。
ちなみに、議論とか共有とか言う人は、議論の先に何を決めるのか?共有した先にどのような状態にしたいのか、の先を見ていません。
例1)週1の定例会議
× 先週出た課題を共有する
○ 先週出た課題の対応方法・担当者・期限が決まった状態にする
例2)新製品の説明会(開発部から営業部へ)
× 新製品の概要を説明する
○ 営業課長が、新製品の概要を部下に説明できる状態にする
このように、会議の最初に目指す状態を共有しておくことが大事です。
それだけで、全員がその目標に向かってくれる。
これがファシリテーションの考え方なのです。
②「議題ごとの時間配分」を確認する
これも、最初に確認しておくことで、「最初の議題に時間をかけ過ぎて、残りが駆け足になってしまった…」なんて状況を回避できますし、時間内に間に合うように集中できるので生産性が上がる、という効果もあります。
例)週1の定例会議
1. 先週出た課題一覧の確認 5分
2. 対応が必要な課題のピックアップ 15分
3. 対応方法の議論と担当者・期限の決定 35分
4. 決まったことの確認 5分
③「決まったこと」「やるべきこと」を確認する
会議の最後で確認します。
決まったこと、やるべきことは会議中に出てきているので、最後に再度確認することはムダなよう見えますが、
・参加者全員の認識合わせ
・決まったこと、やるべきことの抜け漏れ防止
のために地味ですが大事です。
❷書く
2つ目のファシリテーション技術は「書く」です。
この技術も「隠れファシリテーション」として紹介されています。
が、目立つ位置(ホワイトボードの場所)に出るので隠れてはいないかも。(笑)
ただし、会議をコントロールするという意味では強力です。
で、何を書くのかといういうと、
①意見:発言をそのまま
②論点:議題・質問
③決定事項:決まったこと(終了条件、時間配分、結論、やるべきこと)
です。
これによって何が避けられるのかというと、
・同じことを繰り返す
・何の議論をしているかわからない
・話が脱線して戻ってこない(元は何の話だったかわからない)
・意見か質問かわからない
・議論が嚙み合っていない
・過去の話を覚えきれない
「あ~、あるある」と思いませんか?
これを避けることで以下の効果がでてきます。
・議論が見える(たった今、何を議論しているか?)
・すべての話を記憶することに脳のパワーを割かなくて済む
→ 議論が楽になる
ちょこっとテクニック
・論点は「問に○」、決定事項は「決に○」などを書く → 一目瞭然
・項目に番号を振る
・記号(○、×、↑、↓)や略称を使って簡潔に書く
・色は黒、赤の2色を基本とする
❸準備(Prep)する
3つ目のファシリテーション技術は「準備する」です。
この技術は「隠れ”ない”ファシリテーション」として紹介されています。
会議を準備するなんて、主導する気満々ですからね。(笑)
本書では、「準備する」と言わずに「Prep(プレップ)」と紹介されています。Preparation(準備)のことですね。
で、何を準備(Prep)するのかといういうと、
◆Purpose 目的
①終了条件
◆People 参加者
②参加者
③参加者の状態(何を知っていて、何を知らないか)
④参加者の疑問・不満(何を疑問・不満に思うか)
◆Process/Property 進め方/装備
⑤議題
⑥議論の進め方
⑦必要なもの
⑧時間配分
この4つのPと8つの要素です。これをPrepシートとして準備します。
慣れてくれば、いちいちPrepシートを準備しなくてもOKですが、8つの要素は考えておく必要がある。何も考えてないからグダグダになるのです。
著者の企業サイトにエクセルシート(Prepシート)になって置いてあるので活用してみてください。
Prepシートの作成もしくは意識することで何がよいのか?というと、
準備(Prep)するメリット
→事前にシミュレーションできる
という点でしょう。
例えば、
・③参加者の状態、④参加者の疑問・不満を考えたときに、果たして①終了条件の設定は正しいだろうか?
・⑤議題を考えたときに、⑦必要なものとして事前に情報収集できることがあるのではないか?
などが事前に見えてくるのです。
特に2つ目の例。せっかく会議をやったのに「この情報収集しないと議論が進みませんね。来週までに情報収集してもう1回開催しましょう」のような1回分会議を無駄にすることありませんか?事前に準備しておけばスムーズに会議が進行できるのです。
では、誰が準備(Prep)するのでしょうか?
当然会議の主催者ですね。
主催する時にはPrepシートの作成もしくは8つの項目を意識してください。
主催以外の新人や中堅は隠れファシリテーターとして参加しましょう。
あれ?
「会議で時間がかかるのに、
事前準備でさらに時間をかけてしまっては本末転倒では?」
と気がつきましたか?
確かに主催者にとってはそのように見えてしまうかもしれませんが、全体を見るとどうでしょう?
×<グダグダ会議>
事前準備なし+10人で4時間会議 → 合計40時間
○<目指す会議>
主催者準備2時間+10人でサクっと2時間会議 → 合計22時間
全体の生産性を上げたいですよね。
ちなみに、準備に時間をかけ過ぎると<お膳立て会議>になってしまいます。
(これはこれで必要な場合もありますが…)
Prepシートができたら人に見てもらうことが大事です。
見てもらうことで自分では見えてなかった気づきがあるかもしれません。
読書期間 2020/12/14-2020/12/19
初版発行 2015/12/15
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