エリックサウス・マサラダイナーのモダンインディアンコース 2023晩冬
久しぶりにエリックサウス・マサラダイナーのモダンインディアンコースを頂きに。
このコース、総料理長で食オタク食通の稲田俊輔さんがあれこれ趣向を凝らして、インド料理の新しい形や可能性を具現化した料理たちが並ぶ、新しい刺激に飢えたインド料理好きにはたまらないもの。それでいて気軽に入れる気さくな雰囲気と、良心的なお値段、そしてなによりひとり客でも問題なく頼めるコース料理、というのが素晴らしいところ。基本的にデザート含む6品構成+お好みで通常のカレーも少量から頼める(わんこカレー)。自分はおなか十分になるので、わんこカレーに行くことはほとんどないけど。
最近ちょっといろいろあって行けていなかったので、半年ぶりくらいになってしまった。でも、やっぱり行って良かった。各料理の詳しい食レポはここではしないので、気になった方はSNSとか検索するといろいろと載せてらっしゃる方がいると思う。その中でもとても気に入ったのが、「しいたけと大根のペッパーバルバル」と「牡蠣とカリフラワー 白菜のクートゥ・チャウダー」。
しいたけと大根というベジ料理で、ここまでの満足感ある濃厚なカレーが作れるのかという目からうろこ感。白菜とダールで濃厚なチャウダーになるというのも面白く、そしてとても美味しかった。チャウダーをロティですくって頬張ると、とんでもない満足感。美味しいなあ、幸せだなあ、と脳内ごちていた。
コース料理なのでやや長めの時間になるし、料理の間にぽっかりと空白な時間ができるけれど、自分は特に手持ち無沙汰と思ったことがない。まず、コースのお品書きに記された、これでもかというほどの「蛇足」(補足説明)が読んでいてとても楽しい。毎回これを楽しみにしてる。でも、いきなり全部読んだりはしない。最初は次に来る料理名だけ読んで、実際に食べて、その料理の説明を見ながらまた食べる。食べ終わったあとも読み返す。本当にいろいろな発見があって、ときには自分でなんとなく気付いたことが当たっていたりもして。これがあるから楽しいのかも。
あとは料理の内容について、どうやって作っているのか、とか、ここまではとても真似できないけど、こういう風になら家でも作れそうだな、とか考えているのが楽しいし、稲田俊輔さんのネット記事や本を読んだりして、どんなことを考えているのかな、とかを追いかけるのも良い。そうこうしていると次の料理がやってくるので、基本的に待ち時間という感覚があまり無い。
そしてなにより、新しい発見が毎回ある。なんとなくインド料理はもうだいたいひと通り巡った気がしていて、肉、魚、豆、だいたいどの店でも並ぶような定番のものはなんとなく分かってきちゃった感もあったりして(とんだ勘違いだけど)、まあだいたいこうなるよね、とかそういう風に落ち着いてきた部分も多いのだけれど、このコースだと「こういうのもあるのか!」「こんなこともできるのか!」という驚きがいくつもある。好奇心と探求心を刺激する、心に響くスパイス。
昨今、ネットの中で存在感を放つ料理家のひとはたくさんいるけれど、中でも特に好き&信頼している方が数人いらっしゃる。稲田俊輔さんはその中のひとりで、インド料理に限らずとても参考になるレシピをたくさん呈示してくれている。自分のレパートリーに取り入れたものが一番多いかも。間違いなく自分の料理人生(自炊生活+外食生活)に大きく影響を与えた人。崇拝するようなつもりはないけれど、本当に参考になる情報が多くて、日々の生活で助かってる。
そんな彼が放つ次の一手が、いつも気になってしまう。
今回も美味しい料理をごちそうさまでした。
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