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富と貴きはこれ人の欲する所なり。その道を以ってこれを得ざれば処(よ)らざるなり。 (論語 里仁篇)
(意味)
富や名誉は誰でも手に入れたいものである。だが、真っ当な生き方をして手に入れたものでないならば、しがみつくべきではない。
仁を持った利でなければならない
日曜日(6月20日)の「大河ドラマ 青天を衝け」で引用されていましたね。そこで急遽取り上げることとしました。「論語と算盤」(渋沢栄一)では、「第四章 仁義と富貴」という章に現れます。
孔子は、富貴を卑しんでいる訳ではありません。その利(富貴)は
正しい道に従って得られるべきである、ということを言っているのです。
渋沢もこれを引用して、役所が不当に利益を搾取することは正しくない、
民が正当な利益を享受して、ますます良いものを作ろうと励むべきである、
と力説しています。
三菱の三綱領
これは、三菱グループの理念「三綱領」にも現れる概念です。
三菱の事業は社会奉仕への貢献を第一に考えることから始まっているわけです。その社会的大義が大きいほど利益は大きくなります。
「三菱の三綱領」
・所期奉公 期するところは社会への貢献
・処事光明 フェアプレーに徹する
・立業貿易 グローバルな視野で
(岩崎小弥太)
(引用) プレジデント2021.3.19 号 p20
また、稲盛和夫氏は、
「動機善なりや、私心なかりしか」
という言葉を残しており、KDDIなどの設立やJAL再生など様々な事業に携わる際に自問した言葉だそうです。
このように、利益を第一に考えるのではなく、大義のための事業には利益がついてくる、という順序での考え方が事業家にとって重要なことなのだということがわかります。
(参考)