脊髄腫瘍の体験談 #2 (入院から手術、退院まで) 首の手術
はじめに
前回の記事
前回記事は診断までの経緯でした。
本記事は、脊髄腫瘍と診断された方が一番知りたいであろう情報を先に載せます。
※すこしショッキングな画像を載せています。手術の傷跡画像です。グロとまではいかないですが、苦手な方は見ないほうが良いです。
※筆者は首(頸椎)の脊髄腫瘍です。
入院・手術費用
実際に払った金額
約19万円
内訳
手術、入院費用込み
ベッド代0円の部屋
入院中の食費込み
高額療養費制度を適用済み
高額療養費制度は、1ヵ月の自己負担額を約8万円+α にしてくれるものです。筆者は6月、7月と月をまたがっての手術、入院でした。そのため2か月分を払っています。
参考にしたページコチラ
明細書より計算した金額は、10割で295万円、3割負担で89万円でした。
(134,803 + 39,543) × 1.6919 × 10 = 約295万円
295万×30%=約89万円
3割負担でも89万円は大金です。
高額療養費制度は自分で申請しないと適用されません。
脊髄腫瘍の手術を行う場合は、ある程度大きい病院になると思います。
大きい病院は請求時に高額療養費制度を適用できる場合があります。
病院と相談することがお勧めです。
その他、入院前の外来や検査、退院後も治療方針によっては大きく出費があります。それぞれ個人の症状によって大きく異なることをご承知おきください。
手術で症状が回復するか
ほぼ回復しました
本記事は、手術後1カ月が経過して書いています。
術後の左手指先の痺れ、右足の感覚障害が起きておりますが、数カ月単位で回復すると言われています。
手術後にリハビリを行うのですが、ここでの頑張りが大切だと伺いました。手術後、早くやればやるほど回復もするそうです。
ちなみに、手術後は病状が少し悪くなりました。術後1日目は歩けず、7日目までは左手でおはじきを掴めませんでした。
どんな症状だったか
手術前の症状一覧
首の痛み、凝り
肩の痛み、凝り、痺れ、睡眠時痛み
両手の痺れ(肘から手のひらまで)
手の脱力感
特に左手はペットボトルの蓋が開けられませんでした左手の指が上手く動かせず、ぎこちない
足がしびれる、脱力感がある、力が入らない
筋力低下
10Kgのものが持てませんでした
子供を抱っこできなくなりました歩行障害
歩き方がぎこちない
転倒してしまう
階段が降りられない排尿障害
もよおしてトイレに行っても3分ほどでない
いつから自覚症状があったか
手術の半年前から痛みや痺れが出始めました。
手術や入院生活
初めての入院、手術前
手術前日に入院。入院日は特に何もなく過ぎていきました。
シャワーを浴びて清潔にしておいてくださいとのことでした。
シャワーが予約制で30分。長風呂派の私はちょっと焦る。
部屋は大部屋。
前日連絡だと半個室の有料の部屋とのことでしたが、空きがなくなったとのこと。さすが救命病院も兼ねているだけある。
扉側ベッドのため、人が出入りするたびに扉の開け閉めの気配が微妙に気になる。9時就寝が心配でしたが、病院の雰囲気にのまれ寝れました。
「消灯でーす」
問答無用で電気消される感じがなんとも言えない感じでした。
手術当日
※起床は6時です、看護師さん起こしてくる。
朝8時主治医のK先生の回診。
「筆者さーん」
と元気な声とともに、
「オープン!」
という勢いでシャーっとカーテンが開き、6人の先生が立っていました。
さすが大学病院、本当にこんなにたくさんで来るのね。
「今日は手術よろしくね」
と主治医のK先生。
点滴の管を手に刺され、看護師さんに荷物をまとめるよう言われ、ベッドごと手術室に移動。
首の手術の人は手術後1日はICU(集中治療室)に入るそうです。
(首の手術は高度な手術になり、難しいそうです)
女性の看護師さん1人で大きなベッドを移動してる。すごいな看護師さん!
手術
手術室の前で、まだ準備ができていないとのことで、ベッドの上で15分ほど待機。
看護師さん微妙に気まづそう。
「すいません!」
って、看護師さんのせいではないですよーと思いつつも、あまりに手術室への扉が多いので、数を聞いたら、なんとこの病院は28の手術室があるそうです。すごいな、この大学病院。
手術室に入った後、
「麻酔しますよー」
と注射と酸素マスク付けられ、その後記憶無いです。
ワープタイムです。
※手術は3時間30分ほどだったそうです。
手術後ICU
目が覚めた時、ちょうど看護師さんたちが処置をしていたのか、たくさんの看護師さんが、周りに居ました。
「筆者さん、目が覚めました!」
看護師さんたちがバタバタしだして、
「今、どこに居て、自分の名前言えますか?」
全身麻酔でモウロウとしてる中、なんとか答えたのを覚えてます。
これ、テストに出ますよー。
意識がしっかりしているか、必ず確認するそうです。
名前、病院名、日付くらいしっかり意識しておきましょう。
「そのあと立て続けに今日の日付わかりますか?」
手術日の日付は猛烈に嫌でも覚えてしまいますので、これは余裕で答えられました。答えられない場合、入院とか伸びちゃうのかしら。
「その後、手足動かせますか?」
緊張の一言でした。
手術後に動かなくなる可能性があったので、
「動けー」
と祈りながら、普通に動いて、安心したのを覚えています。
この瞬間は、真剣に覚悟がありました。
ICUにいる間は絶対安静で、首も横に動かせず。時計もなくひたすら24時間天井を見ながら過ごすのが苦痛でしょうがなかったです。
看護師さんが来るたびに、今何時ですか?と聞いて、あまりに時間が経っていないことに毎回絶望してました。ICU辛すぎ。
手術中に尿管カテーテルを入れられたみたいで、下半身を動かすと微妙にチクチク気持ち悪いし。
また、首に血抜きの管が入っており袋に自分の血がたくさん入ってました。
自分の血をこんなにたくさん見たのは初めてだよ。
朝になり、術後初めてのご飯は、ベッドを起こして自分で体を起こしますが、
首と肩周りに激痛が。
思わず「いって」と叫んでしまい、看護師さん驚かせてすいません。
なんとかゆっくり起き上がり、食べたご飯は、
涙が出そうなくらい美味しかったです。
※手術後、動けはしますが、結構痛いので、急に動かないことが重要です
一般病棟へ移動
ICUに来て24時間、午前中ついに一般病棟へ移動です。
しかし、昨晩から38℃の発熱をしており、
院内では
「おいおい、大丈夫か?の雰囲気が。」
絶対コロナ疑ってるよ!
「コロナ陽性の場合ICUから5日間出るの禁止になるからね、ちゃんと状態見てるんだよ!」
看護師さん、いくら新人研修でも本人に聞こえていますよ。
この地獄のような、ずーと瞑想でもしてろって言うくらいのICUに、更に5日間は無理無理無理。とビビってました。
筆者は意識もしっかりしており、体調も悪くなかったので、本当に体調が悪くICUが必要な方、軽口叩いて申し訳ありません。
結局、ICUドクターの見立てで術後の発熱でしょうということになり無事にICU卒業!もう2度と来たくない、グッバイICU。
移動中、病室の窓側空いたらしく窓側へ移動させてもらいました。
めっちゃくちゃ明るくて景色良い。
すげーな、12階だし、これなら大部屋でも全然OK!
手術前にベッドを移動してくれた看護師さんが
「筆者さん、おかえりなさい、お疲れ様でした」
と。めちゃくちゃ心が安らぎました。
マジでキュンというか、天使、と思いました。
一般病棟での入院生活
1日目
尿管カテーテル抜く、ものすごく痛い。
※男性は特に痛いそうです。
さきほど天使に見えた若い女性の看護師が実施。恥ずかしいし、私のプライドはズタズタです。
痛すぎて、抜いた後は悪魔に見えました。
体拭きも介助してもらいながら実施。気持ちいい!体には消毒液が付いているため、拭くとタオルに黄色く色が付きます。いくら仕事とは言え、こんなおっさんの体拭いたり介護したり、本当に頭が上がらない、看護師さん偉いよ、もっと給料上げてあげて!
その後リハビリスタート。
「もうやるの!?休ませてよ!まだ首切ってから24時間くらいしか経ってなくない?」
と思いつつ。
「トイレまで歩いてみましょう」
と天使の看護師さん、鬼だな。
立ち上がり歩こうとしましたが、足に力が入らず歩けませんでした。冷や汗ダクダクで、とても一人でトイレに行ける状態ではありませんでした。
看護師さん付き添い必須に。
いちいちナースコールで呼ばないといけないのがメンドイ。
2日目
リハビリの先生に色々ヒアリングされる。
作業療法士さんが上半身
理学療法士さんが下半身
それぞれ担当が違うらしい。
1日2回あり、この日はストレッチのみ。気持ちいい。
寝ていたところ、両親が面会に来て起こされた。
もう面会しても良いんだね。
3日目
昼間はリハビリのみ。
夕方気持ち悪く、頭痛がひどい。
ご飯が食べれない。
血抜きの袋の中の血の色が薄くなっており、術後の髄液漏れが起きているようだとのこと。
あまりの気分の悪さに、ずっと寝ていた。
低髄液状態というらしいです。
夜中に低髄液用の点滴を追加してもらい、血抜きの袋の管もハサミみたいな器具でハサミ止めてもらう(ドレーンって言ったいたと思います)
血抜きをやめると、血種ができるリスクもあるそうですが、ほとんど血が出ていなかったので、問題無し。
4日目
点滴のおかげか、気持ち悪さも頭痛も治り元気に。
髄液漏れって怖い。
全身の状態も良くなってきて、起き上がったり、歩いたりがスムーズにできるようになってきた。
嫁さんが面会に来た。
結構心配かけてると思う。
この日からリハビリがハードになってきた。
5日目
トイレに1人で行って良い許可が出た。これはかなり嬉しい。
ハードなリハビリのおかげだな。
リハビリの内容は以下。
上半身
主に肩と握力の筋トレ
おはじきを摘んで入れる動作
まだ上手くできない
↑これ苦手
下半身
下半身のストレッチ
歩き方の練習
↑いろいろあり、地味に辛い
6日目
点滴が取れ、シャワーも入れる
シャワーめちゃくちゃ気持ち良い
まだまだ首は絶対安静のため、首の固定具の外し方やシャワーの入り方は注意が必要で、最初は看護師さんと一緒に入ります。
マジで、一緒に入るので、ほんと、ちょっと恥ずかしい。
また若い女性の看護師さんで、ほんと、なんか、すいません。
義両親もお見舞・面会に来てくれ、、エレベーターまでお見送り。
6日間で、
「自分成長したな!」
となぜか誇らしげに自尊心が爆あがり。
しっかり歩けて、お見送りも出来たこと
日常生活を取り戻せそうなことが相当嬉しかった。
7日目
1週間もたつと元気になってくる
普通に歩けるし、トイレもシャワーも自立して出来るようになり、階段の昇り降りも可能になりました。
しかし、首に付けているネックカラーは1ヶ月取れず、季節は夏。
暑い!
また、歩く時に大きく衝撃があると、腕の中で楽器の弦をビーンっと弾いたような振動がある。
これは、手術のときに筋肉を切断し、骨を一度取り外している影響だそうです。まだまだ、安静にしないといけない期間が続きます。
8日目〜14日目
元気(?)に入院生活を送り、14日目に退院しました。
また入院中は外に出られないのですが、病理検査の途中検査の結果、皮膚がんのような疑いがあり、別病院の皮膚科に行くことに。
途中、外に出るのですが、久しぶりの外気に触れ、この時の気持ち良さは、最高でした。
手術後の病名
脊髄腫瘍の「硬膜内髄外腫瘍」
※病理検査の後、詳細が判明する
※筆者の場合、腫瘍が真っ黒だったらしく、悪性の可能性あり
※次回記事で詳細を書きます
手術の傷跡
手術後3日目の写真です。傷は5〜6センチです。右上のガーゼが貼られている箇所は、血抜きの管用の穴です。
手術後3周間後の写真です。医療用の傷保護フィルムを常に貼っているので腫れていますがだいぶ綺麗になってきました。
手術後1カ月後の写真です。医療用フィルムも貼らずに済み、だいぶが目立たなくなってきました。手術前に後頭部の髪の毛を剃毛しているのですが、傷跡ふきんはまだ毛が生えてきておりません。
傷が綺麗がになってきました。まだ毛が生えてきて来ない。
入院前に自分で用意するもの
履物、シャンプーやリンス、ボディソープ、歯磨きセット、髭剃りは電動のみ、マスク、ティッシュ、オムツ、お尻ふき、装具、ストロー付きコップ、着替え、タオルなど
オムツ
まさか40代でオムツをするハメになるとは思いませんでした。
しかし、安心してください。
手術中や後、尿管カテーテルが入っている間は全然トイレに行きたくなるようなことはなく、漏らす心配は無用です。
オムツは病院の売店で買えますよ。
装具(ネックカラー)
事前に入院前に購入
健康保険で補助が出るらしいですが、15,000円します。
退院後も首を守ってくれる頼もしい見方。
結構ごつい。
手術後1カ月はお世話になると思います。
ポリネック
シャワー時のポリネック。
シャワーのお供。
これも手術後1カ月はお世話になると思います。
ポリネックは事前に購入ではなく、病院から支給(?たぶん保険で適用で購入)されました。
持っていくと便利なもの
長袖の羽織るもの
病院内は空調がガンガン効いていて、結構寒いです。
7月なのに、筆者は長袖のTシャツで寝てました。
下着
多めに持っていったほうがいいです。
毎日面会に来て選択してくれる身内の方などでがいればよいですが、5日間分くらいあると良いです。汗も結構かきますからね。
寝巻・タオルのレンタル
ある程度持って行ったほうが良いのですが、病院によっては寝巻(病衣)と樽をセットでレンタルできます。
1日500円程度で寝巻、タオルが変え放題です。
手術後はなかなか自分で動けないため、何かと看護師さんに頼ります。
このときレンタルをしていると、看護師さんが新しい着替えやタオルをバンバン持ってきてくれるので、快適でした。
筆者は入院7日目までレンタルしていました。
退院時のお礼
特に必要なしです。
医師にお金とか渡さなくて良いです。
病院パンフレットにも書いてあります。
しかし、看護師さんやリハビリ、先生やその他関係者さんたち含み、あまりに一生懸命に看護に真摯に向き合う姿勢に感動してしまい、筆者は小分けで皆で軽く食べられるお菓子をナースステーションに置いていきました。
※関わってくれた方はざっと30~40人はいたと思います。
お渡しした看護師さん、嬉しそうに受け取ってくれたので、これはこれで良かったと思います。
あまり仰々しいものより、ライトにお礼の気持ちを伝えられれば良いと思います。
もちろん渡す必要なども全くないです。
最後に
ここまでが、入院~手術~退院までの私の脊髄腫瘍摘出術の体験談です。
本記事を書いている時点で、
手術から1カ月2週間経過
退院から1カ月経過
装具、ポリネックは生活の中で必要なくなっています。
首の痛みが長時間PC作業などするとまだ少し出ます。
左の指先の痺れが残っており投薬治療中です。
右足の感覚障害(水の温度がわかない)があり、経過で回復するのを待っています。
手術後、車の運転は3カ月不可でしたが、運転許可が出ました。
※首の手術をした後は、正式に医師のOKが貰えていないと、事故した場合などに全て自分の過失になってしまうそうなので、注意です。運動は3カ月禁止。
PCや読書など首に負担がかかる動作もまだ長時間禁止。
その他日常生活に支障なく、元気になりました。
次回は、腫瘍の病理検査の結果とその後の治療方針について書いていこうと思います。
この腫瘍が大変なことになっていました。
次回に続く。
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