HSK06 - こんな仕事(1) Vacant Room
話は二日間の研修を終え、初めてソロで仕事をする日にまでいったんさかのぼります。
朝、ホテルに到着したら仕事が始まる前に、個々が持ち運ぶ掃除用具を入れたバケツを確保し、それぞれの薬品スプレーを補充します。その日使うラグ(洗濯されたキレイなぞうきん)も確保して、制服に着替え、その日のノルマのボードをもらいます。
ほやほやの新人ですから、先輩が働くフロアのそばのエリアをあてがわれ、部屋数も控えめになっていたと思います。
とりあえず、朝すでにチェックアウト済みの部屋があったので、掃除を始めました。研修中は、ずっと先輩と一つの部屋を手分けして掃除していたため、一人でまるまる一部屋の掃除をしたのはこの時がはじめてでした。
はじめてでしたから「えっと、どうするんだっけ?」というのが何度も続き、どうだろうこうだろう、どこになにがある、などと考えながら掃除を終えると、あっという間に1時間近く経っていました。(取り立てて掃除の大変な部屋ではなかったと思います。)
ソロですから部屋には一人きりです。
これでよかったんだろうか? と思いながらも、すでに疲れています。これがまだ5部屋とオキィもあるのかということにショックを覚えました。
本当にこれだけの部屋数を、1日で終わらせられるの?
(ソロ初日、「私にはできない」って泣いてしまう新人さんもいるのですが、気持ちはよくわかります。)
はじめの一年ほどは週3勤務でしたから仕事になかなか慣れず、なんとなく
「これでいいのかな?」
という気持ちで掃除していました。
仕事に行くたびに、新たにするべき作業を知り、
「こんなにやることあるのに、作業時間これだけっておかしいんじゃないの?」
って気持ちがだんだん発生しました。
しかし、そんなことを言ってもしょうがない。
ベテランさんの中には「こんなに早く仕事を終えた」と自慢げに話す人もいます。
うーん、やればできるのかな…。
そのうち働く日数が週4になり徐々に慣れて、この仕事の仕組みもわかってくると、今度は自分なりのキレイを追求したくなってきます。
その頃には、私は「キレイに掃除をする人」認定されはじめてきたんじゃなかったかな?
最終的に週5勤になった頃は、何も考えなくても勝手に体が動く、自分の掃除のルーティンを作り上げていました。
それが以下の通りです。
私は非常に真剣に思いだして書いた一覧ですが、関係のない方が見たら非常につまらない一覧かもしれません。
しかし
書きたいので書きます。
(ちなみに、これはコロナ以前の掃除の仕方です。念のため。)
まず「Housekeeping!」でドアをノック、開放。
1)掃除の事前準備
・部屋の窓を開け換気
・汚れたタオルとシーツ類、ゴミを部屋の外に出す。
・シーツをはがす時はベッドバグがいないか軽くチェック
・ベビーコット(ベッド)や予備のベッド、枕があった場合はサービスルームへ移動。
・ルームサービスのトレーが残っていたら、サービスルームへ運ぶ。その際、部屋備え付けのグラス類がのっていないか確認、あれば部屋に残す
・新しいシーツとタオル、アメニティ類を置くきれいな場所を確保し、部屋に持ち込む。
・エアコンのフィルターチェック。ホコリがたまっていたら外し、キレイにする。
・冷蔵庫の中をチェックし、いらないものは捨てる、掃除。
・冷蔵庫に霜がたくさんついていたら、電源を切りドアを開けっぱなしにして氷を溶かしはじめる。
・クローゼットにも忘れ物がないかチェック。
・予備の枕を一旦出してチェック。
・毛布を部屋に常備していた時は、毛布があるかチェック。なかったら探す。
・ベビーコットがあった部屋は、ベランダにおむつのゴミを出してあったりするので、それもチェック。
・コーヒーセットが使用済みなら、コップを洗い、コーヒーや砂糖類を補充。
数が足りなければ、割ったかベランダ等にあったりするので探し、数を揃える
(※部屋にあるグラス類を部屋の汚れたタオルやシーツなどで拭いている、みたいな噂話を聞きますが、洗剤をかけて手で洗い、きれいなラグで拭いていました)
・冷蔵庫にあるミルクの期限チェック
・湯沸かしケトルを空にする。拭く
2)初めはバスルームの掃除
・トイレの内側を薬品で洗う(まだ流さない)
・洗面台の掃除。鏡、蛇口、シンク、壁やシンク周りの拭き掃除
・ドライヤーの汚れ、動作チェック
・天井にある排気口の埃取り。ついでに天井の汚れチェック
・バスタブを洗い、シャワーで洗剤を流す。
・壁を拭き、蛇口&シャワー器具一式、タオル掛けを拭き、濡れたバスタブを拭く。
・バスタブ外側の面を拭く
・洗面台の下の部分を拭く(台の裏側、配管に積もる埃や奥の壁の埃、クモの巣、ゴミ箱横の壁は汚れ多し)
・ゴミ箱が汚れていたら拭く
・トイレの水を流し、全体をくまなく拭き掃除。
・床を拭く
3)続いて寝室の部分の掃除
・スイッチまわりを拭く
・出入り口のドア、ドアノブを拭く
・クローゼットの鏡(ドア)と中、スライドドアのレールを拭く
・アイロンとアイロンボードの状態をチェック。アイロンに焦げがついていたら削り、アイロンボードのカバーが汚れていたらキレイなものと交換する。
・金庫のドアが開いているか、作動するか、中はカラかのチェック
・引き出しに何もないか確認し、クリーニングの金額表の有無、なければ補充
・ぐるっと部屋を一巡するように壁に沿って拭き掃除
・同時にスカーティングボード(幅木)の埃取り
・家具の拭き掃除、引き出しの中のチェックも
・部屋にあるべきブックレットや、ペン、メモパッドなどの備品の有無、設置
・電話の拭き掃除、動作チェック
・電球が切れていないか、テレビとリモコンが動くかのチェック
・テーブルと椅子の拭き掃除
・ゴミ箱にゴミ袋を設置
・壁の目立つ汚れはこする
・カーテンやじゅうたんのシミも取れるか挑戦する
4)ベランダの掃除
・床がキレイか
・エアコンの室外機がキレイか、水が漏れていないかチェック
・窓ガラスとサッシ、レールの掃除
・手すりの拭き掃除
5)仕上げ
最後にベッドメイクをして、バスルームにタオルとアメニティを設置。
次のゲストの条件に合わせて、ベッドをキングからシングル二つに分けたり、くっつけたり、タオルやアメニティ、グラス類の数も調整します。
冷蔵庫の氷が溶けていたら、拭いて電気を戻す。巨大氷になっていて、溶けてなかったら後で戻ってきて拭きあげる。
床の掃除機がけをして、部屋の匂いを取るスプレーをかけて終了です。
フローリングの部屋はモップがけが最後。足跡がつかないようにそっと出る。
以上
リストには書きませんでしたが、
・バスルームの排気口の内部がすごく汚れていたら、取り外しシャワーで流す。乾かす。戻す。
・冷蔵庫の下の部分にホコリがたまっていたら冷蔵庫をスライドさせて掃除する(液体が乾いた後などあったりもする)
・冷蔵庫とコーヒーセットのある棚をスライドして裏側と壁の掃除(よく物が落ちてるしホコリも溜まっていたりする)
という作業も気づいたらするようにしていました。
リストに載せなかった3点の場所と冷蔵庫の霜(氷)取りなどは、一旦掃除してしまえば当分は触らなくても大丈夫なので、積極的に行っていくとのちのち同じ部屋を掃除する際に、楽に気持ちよく掃除を終えられます。
また、他のスタッフにとっても、気になるけどできればスルーしたい面倒な作業でもあるので、すでにキレイだと喜ばれます。
これだけの作業を意識して、ベッドが一つの部屋で35分、ベッドが二つだと40分くらいで終えたらまあまあいい感じだったかなと思います。
もともとキレイな部屋で、作業を25分とか30分で終えられることもありましたが、そんなときは「ひやっほう!」です。
業界の標準作業時間は、「ひやっほう!」をもとに作られていると確信しました。
一旦は時間をかけてきれいに掃除をすれば、次回からは軽く撫でるだけで済みつつキレイをキープ。時間短縮になるという信念のもと、毎日の作業を続けました。
もちろん、これらを毎日全てのチェックアウトの部屋で行うというのは難しく、チェックインの時間(14時)に近くなってくると特に、どうしてもあきらめなければいけない作業も出ます。
それでも
「0はいつまで経っても0だけど、0.1は10回で1になる」
という積み重ねを信じて、どこかちょっとだけでもきれいにしていました。
今日はちょっと長かったし、文章というかリストで退屈だったと思いますが、ここまで読みすすめてくださった方、感謝です!
ありがとうございました。
次は懲りずに、使用中の部屋(オキィ)の掃除の仕方です。
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