電脳虚構#20| 幽霊の証明
「どーですか?
私のかけてるこの”ゴーストグラス”。
一家にひとつ、いや個人にひとつ持っててもいいくらいですよ」
「これで本当に幽霊が見えるんですか?
なんかイマイチ実感わかないなぁ」
「いやいや、この商品は”幽霊が見えないこと”に意味があるんですよ」
「え?みえなければ、ゴースト・・グラス?
それの意味なくないですか?」
「この商品。我が社がNOSOと共同開発して何年もかけて実現した画期的な発明なのです。
現在、特許申請中ですが、いずれ大きなニュースになるでしょう。
これ使えば幽霊は必ず見えます。
確実に!100%です」
「・・はぁでも見えてないですよ、いま。」
「それはそうですよ〜いまこの場に幽霊はいないんですから。
と・・・いうことは!?
いま・・この場所に・・・なんと!
”幽霊がいないことが証明された”ということなんですよ!」
「えっ!?そういうことなんですか?」
「幽霊・おばけ・妖怪・エクトプラズム、、なんでもいわゆる心霊現象みたいなもの。
これは”いるのかいないのか見えないから怖い”・・ということなんですよ。
その場所にいない!と、はっきり誰かが証明してくれればもう”怖い”という感情はなくなるのです。
この商品のすごいところは、そのまだ誰も成し得なかった”幽霊の証明”ができるということなんですね!」
「もう10歳の娘は”おばけがでる”って夜にひとりでトイレ行けないんですよ。
つまりこのメガネで”幽霊がいない”って証明できれば、娘の怖がりも克服できるってことですか?」
「ズバリ!その通りですね!!
ぜひ、娘さんにおひとつ、プレゼントしてさし上げてください!」
「幽霊の証明かーー。確かにすごい商品だ。
で、いままで幽霊ってどれくらい見えたんですか?」
「この商品が完成し、研究チーム・テストチームが総力をあげて、全国各地、そして世界各国をこのメガネを持ってテストしてきました。
墓地や、いわゆる心霊スポットなんかもたくさんまわって。
その幽霊の検挙率は・・・ゼロです!!!」
「え?ゼロなんですか?
・・それは商品に問題があるんじゃ・・」
「いえ、まったくの逆ですね。
この”確実に幽霊が見える”商品でこれだけ世界中でテストをして、検挙がゼロということは・・
”この世界に幽霊の類は存在しない”
と、いうことを証明してしまったんですよ。」
「あ、そういうことなんですね!
この世に幽霊はいないんですね〜、それきいて安心しました。」
「で・・・あとは個人個人で”幽霊がいないということを実感してもらう”・・ただそれだけなんです。
だからこそ、この商品はもっと世界でみんなで使ってもらうべきなんです!そうすればこの世界から”幽霊の恐怖”が消えてなくなる。
御社さまにはその中心となって、世界で売っていただきたいのです。」
「世界で売るということは、大量の在庫が必要ですね。
一個、いくらなんですか?これ」
「世界で流通する際には、15,000円を予定してます。
御社さまにはまず商品認知度を高めていただきたいので、特別に半額の7,500円で卸させていただきますね。」
「それはありがたい。じゃあまずは1,000セットから販売してみましょう。
えーー・・っと、750万円ですね。」
「いやぁ・・ありがとうございます。
すぐに手配しますので。こちらの契約書にハンコを
(この客、チョロかったな。ただのサングラスなのに)」
「いやぁ本当に素晴らしい商品だ。
ただひとつ気になることが・・
さっき”検挙率はゼロ”って言ってましたが、正確には「1」ですね。
だってあなた・・そのメガネで
私のこと見えてるじゃないですか?
オススメの作品です👇
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