秋の読書リストに入れて欲しい、とっておきの2冊
夏の間に、2冊の本を読みました。
どちらも一目惚れをして買った本で、読んでいる間中ずっと恋しているような気持ちでいられた珍しい本です。
本は人との出会いと同じで、一度出会ってしまうと出会う前には戻れない。その本が良いほど、手放すのが辛くなってしまうこともある。でも、ちょっとずつ本の世界から抜けてまた新しい本に出会うと、やっぱりその新しい出会いはたまらなく良いもので...
と言う話は長くなるので、さくっとご紹介しますね。気になったら、ぜひ読んでみてください。よかったら感想を聞きたいです。
『〈あの絵〉のまえで』 原田マハ
私、原田マハさんの作品は、ほとんど読んでいます。何が素晴らしいって、とにかく物語がどれも輝いている、弾けるようなエネルギーを持ったお話が多いところ。しっとりした内容のお話も、やっぱり言葉が瑞々しい感じがして、きっとそれは原田さんのお人柄なのかなと思います。
この本は、短編集です。
タイトルの通り、一枚の絵にふれた人の物語を描いています。
読むと美術館に行きたくなってしまうので、要注意。週末の予定は空けておいてください。
ちなみに私は、本に出てくる絵に会うために、箱根のポーラ美術館に行きました。
『鳥たち』 よしもとばなな
この美しい装丁を見て、買わないわけがないじゃないですか。背表紙しか見えてなかったけれど、申し訳ないくらい周りの本から浮いていて美しくて、気がついたら買ってました。(写真じゃ伝わらないけど、タイトルはブルーの銀紙みたいに艶があるんです。すてき)
この本は、一冊を贅沢につかって男女2人の心の変化を描いています。その変化は、恋愛でもなく仕事でもなく、もっと大きくて大自然のような本能的な変化。
舞台となるのは、アメリカ・アリゾナ州のセドナと、東京のどこか。よしもとばななさんの言葉は、くっきりとセドナの情景を浮かばせてくれます。
一冊の本が詩のようで、いつのまにか詩が終わって、少し寂しいけれど反芻するものが心地よい。
そんな本です。
この本は読まないとわかりません。読んでもわからないかもしれないし、「わかる」本ではないかもしれません。
でも、好きです。
本はいいですよね。
すてきな本との出会いになりますように。