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【愛着障害】『愛着障害は何歳からでも必ず修復できる』◇まとめ その1【大丈夫】

「あの子って本当に乱暴だなぁ…」
「どうしてこんなウソをついたんだ!」
「この子,年齢のわりには憎たらしいことを言うなぁ…」

 子どもと関わるお仕事をされている方や,お子さんとの関わりに悩んでいらっしゃる親御さんなら,このように思われたこと,きっとあると思います。

 私も現在の職場が学童保育所なので,子どもたちの様々な言動にいつも振り回されます。

 昨今では「発達障害」という言葉もだいぶ認知されてきたように思いますが,その「原因」や「(これが適切な言葉かどうかは分かりませんが)治療法」などの全容は,まだまだ解明されていません。

 そして,最近少しずつ認知度を高めているのが「愛着障害」という言葉。

 本書を見つけたのは,私自身の仕事の中で,子どもたちとの関係作りのヒントになるかもしれないと考えたからでした。

 今回から,本書を少しずつ,読んでいってみようと思います。

 著者は,臨床発達心理士スーパーバイザーで,和歌山大学教育学部教授,日本の愛着障害研究の第一人者である,米澤好史氏。

 研究者からというよりは,子どもたちの目線,関わる人たちの目線で,とても分かりやすい内容で,愛着障害と子どもたち,その接し方などについて書かれていました。

全体の目次を,以下に示します。

この本をお読みになるみなさんへ
第1章 愛着障害と聞いてどんなこどもを想像しますか?
1,愛着障害について考える際に大事な視点
2,愛着障害はどのような原因で起こるのか?
3,愛着の絆ー3つの機能「安全基地」「安心基地」「探索基地」
4,愛着障害において大切な感情学習
5,愛着障害に対するさまざまな誤解
第2章 「愛着障害」の特徴
1,愛着障害を「愛着の問題」として捉える
2,愛着障害の具体的特徴
第3章 「愛着障害」と「発達障害」を鑑別する
1,愛着障害と発達障害をの見分け方
2,愛着障害と発達障害の関係
第4章 愛着障害支援としての愛着修復プログラム
1,愛着障害への適切な支援のために
2,「愛着障害」と「発達障害」の併存がある場合の支援
第5章 効果的な支援のために
1,現場でよくある、「困ったな」「どうしよう?」のご相談から
あとがき


この本をお読みになるみなさんへ

 早速ですが皆さん「愛着障害」ってご存じですか?

 この本のタイトルにもなっていますが,「愛着」という言葉は,ご存じの方も多いかもしれません。

「長い間使っていて,愛着のある鞄」「ペットの犬に愛着が湧く」など,「自分が長期間関わってきた生き物や事物に対して湧く愛情」といった意味合いで使われるかと思います。

 ですから,そのような「愛着」の「障害」と言われると,ピンとこないかもしれません。

 また,字面から推測すると,「愛情の不足」とか,「愛情を感じられない状態」というように思われる方もいるかもしれません。

 本書ではこの「愛着」について,次のように著者から説明があります。

「愛着は,英語の “attachment(アタッチメント)” の日本語訳で,英語では『くっつく』というニュアンスの言葉です。(中略)現在では,『愛着は,特定の人と結ぶ情緒的な(こころの)絆』と定義されています。」(p.10)

 ここで,本書で「愛着」は,物や出来事に対してではなく,「人と人との間で結ばれる情緒的な関係性」であることが示されています。

つまり,「愛着障害」はこの「愛着」が何らかの理由で形成されずに発達してきた「こころの状態」です。

(後の章で著者も述べていますが)ここで「発達」という言葉が出てきたのなら,「愛着障害は発達障害のうちの一つ」と思われる人もいるかもしれませんが,「発達障害」と「愛着障害」は全く別物です。

 どのような点が違うのか,それは後々分かってきますが,著者は本書のこの最初の部分で,「愛着障害」が,一般にはまだまだ理解されておらず,これまで様々な誤解を受けながら扱われてきたこと,また,精神医療従事者や心理臨床従事者などの専門家でさえも,この「愛着障害」についての正しい理解がなされていない場合がある,と述べています。(p.4)

 これを「風邪」に例えてみましょう。

 朝起きたら,熱と全身の倦怠感,鼻づまりと悪寒がありました。
 1つ目の病院に行って診察を受けたら「ただの鼻風邪だ」と言われ,2つ目の病院では「花粉症のアレルギーの症状だ」と言われ,3つ目の病院では「インフルエンザA型だ」と言われました…

 これでは診察を受けた患者も,困ってしまいますよね。

 しかし著者は,「愛着障害」では精神科や心療内科の医師,臨床心理士やカウンセラーなどの,いわゆる「こころの病気の専門家」でさえも,しっかりとした共通認識が持たれていないというのです。

 また,そのような現状に対して著者は,自身の「愛着障害を有する子どもたちとの実践的なかかわり」を通して得た経験から,今後「愛着障害」の共通理

 本書は,実際に子育てをしている保護者の方々,保育や教育,福祉の現場の方々に向けて書かれているので,非常に分かりやすく書かれています。

 もしこの記事を読まれている方の中で,お子さんとの関わりに悩んでおられる方,子どもたちのこころの支援に携わっておられる方がいらっしゃったら,少しお役に立てるかもしれません。

 気になった方は,ぜひ本書を手にとって,お読みいただくことをお勧めします。

 以下にAmazonのリンクを貼っておきます。

 次回から,第1章に入っていきましょう。

本書のリンク(Amazon)


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