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お米をテーマにモノを売ることについて考える(2)~お客様の事情を聞き出す

こんにちは。暮らしも経済も先行きが不安定な日が続いていますが、お元気ですか?前回お話したように、昨年(2020)の3月末は外出自粛要請で、大きな買いだめが起こりました。知り合いのお米屋さんも、新規のお客様で大忙しだったそうです。
「今後につながるといいですね」と水を向けると、彼は
「今回だけじゃないかな」と苦笑いしました。

もったいない!
新規のお客様を獲得してリピーターにするのは、どの業種でも最重要課題です。今回の場合、お客様が向うから来たのですから、これを逃す手はありません。そのためには、お客様がほんとうに求めているのは何かを深く探る必要があります。

お米屋さんに買いに来る人は基本的に、お米が好きです。でも、お米が好きなのに、毎日食べない人も多い。
主婦の友人たちと「今夜何にする?」と話すと、「ご飯を炊くのも面倒だから、麵にしようかな~」ということがけっこうあります。
そういえば夫も自炊していた独身時代、残業続きでくたびれると、毎夜パスタにしたみたいです。
「茹でて市販のソースをかければいいからね」
と言っていました。

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要するにひと言でいうと、お米は面倒ください。
計って研いで水加減しなきゃいけない、時間もかかる、おかずも必要だ…と、消費者の心理的な負担はお米屋さんが想像する以上なのです。お米屋さんがどんなにお米の味やおいしさを伝えても、それだけでは「面倒くさい」のハードルは越えられない。
だから、お米を選ばないのです。

友人が初めて行ったお米屋さんの話をしてくれました。
いつもスーパーで買っているように無洗米を買おうとしたら、お米屋さんは「それも便利だけど」と、やんわり言ったそうです。
「ウチの精米したてのお米をまとめて炊いて、一食分ずつ冷凍するといいですよ」

つまりこのお米屋さんは、彼女がほんとうに欲しいのは無洗米ではなくて、毎回研いで炊く面倒を解消するものだ、と気が付いたわけです。
消費者の視点に立ったからこそ、お客様の表面的な事柄ではなく、その裏にある欲求(潜在ニーズ)を見つけることができたのです。
その結果、お客様である彼女は
「前より断然ラクになって、ご飯もおいしくなったのよ!」
と多いに喜びました。

お客様の食卓事情を聞き出しましょう。そこから、お客様がほんとうに求めているものが見えてきます。
例えば学校が休みの時期なら、子どものお昼ごはんが大変なのかもしれません。なぜ大変なのかを、お客様の視点で考える。そうしたら炒飯やカレー向きのコメを勧めるとか、ご飯のお供を勧めるとか、いろいろできそうじゃありませんか?

まだまだ大変な日が続きそうですが、お互い笑顔でいましょうね。ではまた次回。ごきげんよう。


~たにりり(お米サービスデザイナー・商経アドバイス契約コラムニスト)
「料理がわかるごはんソムリエ」として、お米に携わっている人・毎日お料理する人を応援しています! ◆著書「大人のおむすび学習帳」


※このコラムはお米の専門新聞「 商経アドバイス 」2020年4月16日号に掲載されたものを一部改編して掲載しています。最新号はぜひ購読してお読みください。お米屋さん向けに書いていますが、農家さんなど直販生産者やお米以外のモノを売っている方にも、何かしらのヒントになると思います。よかったらどうぞ続けて読んでくださいね。

※題字とイラスト:ツキシロクミ

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