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留学|過食症だった私の留学中のダイエット方法
私は約10年前に軽い過食症になったことがある。
過食症に重いも軽いもあるのかわからないけど、当時の私はおそらく軽めの過食症だった。
これも、沼といえば沼なのかな。でも暗くて深くて怖い沼だった。
昔から痩せ体型で中高のころは細くて背が高くひょろっとしていたので、モヤシと言われてた。モヤシなんてほめ言葉じゃないけど特になにもせず好きなものを好きなように食べてるのに痩せてる(と言われる)自分を気に入っていた。
大学に入って、周りが優秀で自己主張の激しい集団の中で生きていかなくちゃいけなくなり必死に自分のアイデンティティが何か探した。結果、自分が誇れて人からも褒められていたのは細さだ!細くならなくちゃ!という謎な方向へと突き進み始めた。
今までカレーをつくったら3回くらいおかわりして食べていたのを、「ダイエットだから、がまん…!」とおかわりするのをやめた。
炒め物をつくったらお皿に盛り、「これ以上は食べちゃダメ。今日私の夕飯はこれだけなのだ」と制限をし始めた。
でも別に過激に体重が減るほどのご飯の減らし方はしていない。普通の定食屋さんの量。
だけど、「これ以上は食べてはならない。これで今日のご飯を終了させなくてはならない」と制限されると私は逆に猛烈に食べたくなってしまった。
最初のほうは我慢して制限された量で食べていたが、だんだん制限されることがつらくなり、3食のご飯は制限されているから、別のお菓子なりなんなりを食べるようにしよう!と不の発想の転換をした。
お菓子を食べると強い自己嫌悪が襲ってきて、どうして食べてはいけないのに食べてしまったんだろう、本当にこのくそデブ、バカ野郎、人生やり直せ、と思うとまたストレスが溜まって異常に食べてしまう。
クリームパン、ポテチ一袋、スティックパン一袋、ごはん、お味噌汁、プリン、おせんべい、おにぎり、エクレア、アイス。
1回でこれらすべてもぎもぎと胃袋に収めてしまう。
悪いことをしている、自分は最低だ、こんな餓鬼みたいな姿を家族に見られたらやばい、と思い絶妙に家族から見えない柱の陰で食べたり、ひどいときは机の下にもぐって涙を流しながら食べていた。
そこから3日間はジュースだけ飲んで絶食し、それが終わったらまた過食する、を繰り返していた。
私はモチベーションがないからダイエットが続かないんだ、雑誌をみてきれいなモデルさんを見て憧れの気持ちを増やそう、それでモチベーションをあげよう、と試みるも1日くらいでその効果は持続しない。きれいなモデルさんになりたいけど痩せたいけどそれ以上に胃袋にご飯を詰めたい。モデルさんみたいになれないことが悲しい、悲しさを埋めるためにご飯を食べたい。
24時間のうち眠っているとき以外はほぼずっと食べ物のことを考えていた。
3時に目を覚まして猛烈に食べたくなり、ササミならいいだろうとバンバンジーサラダを真夜中のキッチンで作って食べたことがある。
さらに、友達と遊ぶときに最中を持っていき朝10時の中央線に乗りながら最中を車内で食べていたこともある。
友達に食べる?と最中を差し出したらいらないと言われて、暇なのに食べる行為をしないことができるなんて、超人だ…と思った。
1年弱くらいそれを繰り返してへとへとに疲れていた。
こんなに食べもののことばっかり考えたくない。もうこんなに自分のことを責めたくない。
おそらく、沼の底を打ったんだと思う。思考を変えようと思った。
私はこれからどんなに食べても、意地汚く胃袋を満たしても、全然かまわない。
どんなに食べても私はかわいいし、細くなくても私は最高。
食べ続けて満足することこそ私のしあわせ。
昨日も冷蔵庫のものほぼ全部食べてしまった、私はなんて素敵なんだろう、冷蔵庫のもの全部食べれる人間なんてそうそういないよ。
今日も明日もいっぱい食べよう。
死ぬほど食べて自己嫌悪で涙を流してもそう思うようにした。
また食パン一斤全部食べちゃった。あーおいしかった。食パンってふわふわだなあ。
これをだいたい10年続けた。
10年続けてふと振り返ると普通に食事をしている自分がいた。
生活していてご飯のことを考えたりするけど、前のように憑りつかれたように考えていない、真夜中に起きて料理しない、電車でお菓子を食べていない。どんなことをしても素敵、と自分に対して思うようになって回復することができた。
それ以来、自分の設定したハードルを越えられなくても自分を責めることはやめた。その分腑抜けた人間になっているのかもしれないけど全然いい。
腑抜けた自分がいとおしい。
留学してから、最初の1週間ストレスや不安で普通の食事プラスデザートに食パン1斤程度を買って部屋で食べていた。
沼よ、久しぶり。
結果、過去最高の体重になった。それでも慌てず騒がず否定せず、過去最高体重を他国で記録する自分最高ー!かわいいー!と思うようにした。少し生活が落ち着いてから食パンを買ってくることをやめて、3食の食事オンリーにした。
結果、まだ元には戻っていないけど徐々に減っている。
私は体重計には健康診断の時以外は乗らないと決めているので、体感や見た目で体重を判断しているが、実感値として減っている。減っていなくたって別にいいのだ、誰にも迷惑をかけていないし減っていると思うことが私の幸せにつながっている。
重い自分も軽い自分も大好きだ。
だから、と繋げるのは強引かもしれないけど、私は留学で友達ができなくても責めない。
友達ができないって留学している意味あるの?と自分の中の沼から声が聞こえてくるけど、いーのいーのこの挑戦をしてる自分がまず最高なのと見ないようにしている。それでも沼に引きずりこまれそうなときは映画を見たり家族に電話したりしてやり過ごす。
私の生活するそばに一生沼はいるけれど、共存していくことだってできるのだ。