服に込められた想い。外見も中身もおろそかにしてはいけない。
ごきげんよう~ 写心家ツッシーです。
またの名をご近所カメラマン。
ここ最近急激に寒くなってきました。そろそろ本格的に冬物を投入しようかと思ってます。
じぶんは服好きで、冬物のアウター(上着のことです)は何着も持っているのに買ってしまうダメな?ヤツなんですが、今年はインナーに力を入れてアウターは今まで買った名作たちに活躍してもらおうと思ってます。
名作コートの一つ。
ピーコートのようなちょっと違うような?
服スキ方にはわかるかも知れませんが、色々な服のテイストがミックスされているんです。
特徴的な襟は「ショールカラー」日本語だと「へちま襟」
ショールカラーはタキシードに使われているドレッシーな襟ですが、US NAVYのジャケットでも見かけるデザイン。US NAVYの襟はもっとコンパクトな感じである。「オアスロウ」のカバーオールなどでよく見かける。
チェック柄も特徴的、おそらく「マッキーノクルーザー」の「バッファローチェック」をモチーフにしたと思われます。有名どころは「フィルソン」。
ちなみにマッキーノクルーザーはアメリカの森林作業員のために生まれた機能服、寒い冬山で作業をするために生まれました。こういう話を聞くと男心をくすぐられますね~
そして言わずと知れたピーコート。
皆さん一回は着たことのあるピーコートですが、実はイギリス海軍の軍服であったり漁師さんが着てたりと海の男の服なんですね~
ダブルになってるのも風向きに応じて風が侵入しないように右左どちらが前にできるからなんですね。
ちなみに現代の海軍のピーコートは右前にしかできないようです。
ここまで書いててこういう背景だけでブッ刺さりまくりですが、単に色々なアウターの「いいところどり」だけではないんです。めっちゃ細かいところまでこだわって作られてるんです。
ステンシル。アメリカの軍ものとかでみられる。N1デッキジャケットとか。
ボタンは皮?高級感溢れます。バッファローチェックのカジュアルさを引き締めてくれます。
バックスタイルも素敵、肩には「アクションプリーツ」が入ってます。
ライダースジャケットなどに見られる肩を動かしやすくするためのもの。
ポケットのフラップの裏側にもこだわりが!
ピーコートによく見られる「マフポケット」
ここにポケットがあると分からないデザイン。
ピーコートが軍服由来である理由の一つがこのマフポケット。軍隊ではポケットに手を入れるのは禁止されていましたが海軍ゆえにめっちゃ寒い。そこで手を暖めるために特別にポケットに手を入れるのが許されたそう。
ただし軍隊ゆえに姿勢は崩してはいけない。そのためあばら骨ぐらいの高い位置につけられたのがマフポケットの由来となってます。ポケットに手を入れても背筋が伸びる。
ハンドウォーマーと呼ばれるのもそういうことなんですね~
この素敵なハイブリッドなコートを作ったのは「M16」(エムシックスティーン)のデザイナーの村松周作さん。
じぶんが15年前に仙台から茨城に転勤になったとき、知り合い、親戚ゼロの全く手探りのゼロスタートの生活を支えてくれたのがM16の服。
村松さんはファッション関係者の方々には「ガマさん」の愛称で呼ばれてます。
採算度外視で着たい服を作り続けた村松さん。値段も高いですが衝動買いをしてしまう魅力がありました。
「本物」を知っているからこそ産み出せるデザインとクオリティー。決して外見だけではない奥の深さがありました。
村松さんがM16をやめてしまったためその後は違うブランドの服を買って着てましたが、2006、7年ごろに買ったこのコートは未だに全然へたらず現役で活躍してます。
ちなみに村松さんは人形作家でもあり、人形に服を着せているのですが人形が来ている服のこだわりも凄いんです。
残念ながら村松さんは亡くなってしまいましたが、村松さんのデザインした服を大切に着ていきたいと思います。
今はじぶんはほぼネットで服を買ってますが、デザイナーさんの想いや服そのものが放つ佇まいを感じるのは対面販売に勝るものはないと思います。もちろん販売員さんの熱量も大きなポイントです。
外見も中身も。どっちもおろそかにしてはいけない、それを見極める目と感性、人間性。
村松さんの名作コートから忘れてはいけない大事な事を学んだ2020年の冬でした。