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廃棄前の古本と、自然の手漉き和紙でつくる、〈古本×和紙〉
「日々廃棄されてゆく古本を、もう一度新しい紙としてよみがえらせたい。」
そんな思いから、伝統的な和紙の技術をもとに、〈古本×和紙〉という新しい紙が作られました。↓↓
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国産楮(こうぞ)の和紙原料に、古本を混ぜ込み、1枚の紙として漉き上げました。
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きっかけは、長野県上田のブックカフェ「本と茶 NABO」さんにて、「本だったノート」– 古紙になるはずだった本からできたノートをみせていただいたことでした。
NABOさんは、「株式会社バリューブックス」という、上田に拠点をもつ大きなオンライン書店が運営されているお店です。バリューブックスの倉庫には、1日に2万冊もの本が全国から届き、そのうちの半分は買い取れず古紙回収へとまわっているそうです。
そこで、古本をよりよく活用するため、「本だったノート」が生み出されたそうです。
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しかし、製紙工場では機械の性質上、これ以上の大きさにはもともと古本だったときの紙・文章を残せないそうです。
そこで「和紙」ならば、もう少し大きめにもとの紙を残すことができるのではないか、というお話をいただきました。
自然の繊維でできた和紙と、工業製品として作られた洋紙が、どのように交わり、馴染み、あるいは反発するのか、何分初めての試みでわからなかったのですが、いく度かの試作をもとに制作方法を研究し、古本の紙の大きさやかすれ具合など、ある程度コントロールできるようになってきました。
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〈古本×和紙〉は、現在「本と茶 NABO」さんのレジ横にて販売していただいている他、BASEのオンラインショップにても、レターセットやブックカバーを販売中です。ぜひ、ご覧下さい。
ちなみに、紙を作るため、NABOさんに頂いたのは、ジャック・ケルアック『路上』。
本のセレクトが予想外でかっこいい……まさかビート・ジェネレーションと和紙が交わることがあるとは思ってもみませんでした…!
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自分自身、本が大好きなので心苦しいですが、心を鬼にして…
実は、ケルアック作品は『地下街の人々』は読んで、『路上』にはふれられていなかったので、1ページ1ページ大事に読みながら紙の材料にさせてもらいました。
読み進むほどに、旅が進むほどに、本の嵩が減り、新しい紙が増えていく、不思議な感覚の日々でした。