石川悌二著『近代作家の基礎的研究』(1)―森鷗外と谷崎
『幼少時代』との答え合わせができる本石川悌二著『近代作家の基礎的研究』は、著者が東京公文書館に勤務しながら、膨大な資料の中から近代作家の足跡をたどり、資料と共に発表したものです。ここに取り上げられる近代作家(森鷗外・夏目漱石・尾崎紅葉・泉鏡花・樋口一葉・谷崎潤一郎)には大きな共通点があり、私などはそこに何らかの意図を想像したりしてしまうのですが、この本を読むにあたっては、谷崎についての『幼少時代』の記述との違いのチェックから始めました。
『幼少時代』についてはかねてから随筆